コメント数: 82, 小説 ID: n485
限界ら死(体)支部!!!【くろむ】

限界ら死(体)支部!!!【くろむ】

(2021年6月6日 22:40:44) [ID: 98de68e0]
名前
コメント
1:ら死部 [2021年6月6日 22:44:37] ID:98de68e0
元ネタ
→lobotomy_corporation

ロボトミ自職員に対するクソデカ感情のあれこれを詰めた小説です。100%自己満足だよ
2:巣で育った完璧な弟 [2021年6月6日 23:10:16] ID:98de68e0
今までずっと努力してきた、その成果がやっと...
そんな思いを胸に、ロボトミーにやってきた。
どうやら俺の担当は懲戒チームらしくて、同僚のバジルとオリーブとも顔見知りになれた。そんな中、バジルから「せっかくだし、皆に挨拶してきたらどう?」とな。
まあ、挨拶した方が後々に楽だし、行っておこうか。
それから俺は、仲良しな福祉の二人組と、変わり者が多い中央本部と、一人だけいる男の人が可哀想な安全と、丁度お茶会をしていた教育と、後は情報に行った時、何故か青髪のチーフが綺麗な瞳で俺を見つめてきた。
「ここで最後か...」俺は最後の場所、コントロールチームの扉を開ける。すると...
「あ、おかえ...あれ?」
俺に良く似た目付き、俺と同じ髪色と髪質、そして何よりも名簿に書かれていた名前、.....サンチェスだ...
「あれ?お前も入ってきたのか、ロンド」「その名前を言うな...俺は新しい名前があるんだ...」
「はは、失礼。お前は...ミカになったんだな。」
どうしてだろう。
随分前に裏路地に捨てた兄が、その後に亡くなった扱いされた兄が、誰よりも嫌いな兄が......
俺の方が努力してきたのに、どうして...?
「...なんで...お前なんかが...」「知りたいか?」と鎌?を磨きながらお前は言う。
「んー......ま、その内わかるさ。」
その十年前から変わらない軽い対応にまた口答えしようとした時、いきなりドアが開き「あ、ただいま~」
「あれ?お客さん?」
「そうだぞ~、俺のかわいい弟が入社だ。」
「それはありがたいねえ。一緒にお茶でもしようか。」
どうしてだろうか、ここのチーフに流され、話す内容を忘れつい雑談を続けてしまったな.....
3:うらろじせんぱい [2021年6月6日 23:19:01] ID:98de68e0
「会社ではチェスの方が先輩だけど、裏路地では私の方が先輩だからね!」

「はいはい、わかったよジェリー。こんなに裏路地が恋しいの?」

そんな会話を続けていくのは、コントロールとサンチェスと情報のエンジェル。

「でもジェリーは、俺より3つも下じゃないか。」

「そんなことはどうでもいいの!!!」

「はいはい。でもここでは俺のが先輩だもんねー。」

今日も先輩争いは続く。
4:野良犬...? [2021年6月7日 18:48:20] ID:e776e6b6
そいつが入社してきた時、真っ先に目を向けてしまった場所がある。
......ごわごわで野良犬のような髪の毛だ...

「えっと...アーチャー...?だっけか.....その...」
「ん?どうしたんだ?ずっと上ばかり見て」
「いや...
その髪の毛、どうしたのか...?えらい事になってるぞ...」
「あ、これ?
いや~、過去に色々あってさ~、こうなっちゃったな」
「....そ、そうか.......」
このままじゃ確実にダメだ。

俺はその日からアーチャーの髪の毛を綺麗にする事を一つの目標に加え入れることにした。
5:  [2021年6月7日 18:54:26] ID:e776e6b6
X「もうダメです」

46日目「まだアタシのとこにも来てないでしょうが!!!」

下層コア抑制「早くしてくれない????」

中層コア抑制「あなたティファレト抑制でカティヤ殺して再挑戦しましたよね??????」

X「えーーーん!!!!!!!!!みんないぢめる!!」
6:福祉チームの白と黒 [2021年6月8日 23:38:47] ID:89a85cb2
「ほらほら、そんなのろまだと殺されちまうぞ?」

「あんたが早いんだって~、僕はまだ正義3ですよ」

福祉チームにいる白と黒。
二人は今日も仲良くだだっ広い廊下を走り回る。

「ったく、管理人は何を考えてるんだ...」

「そうですね...
でも僕はそんな嫌じゃないかな。」

「.....なんでだ...?」

「だって僕ら相棒じゃないですか。」

「...........」

「あ!そうやってまた僕を置いて行く...照れ屋なんだから...」

福祉チームの白と黒。
二人は今日も仲良くだだっ広い廊下を走り回る。
7:そのギフトは何のため? [2021年6月11日 22:10:57] ID:e2f45621
最近、嬉しい事があった。
レティシアからギフトをもらえた。
私の前髪も隠せるし、何よりカワイイし...

「あれ?リバー?」

「あ、ロバートの野郎........」

「そんな言い方はやめろって何度も言ってるだろ、せっかく可愛くなってんだし」

........?
コイツ今、
.....!?!??!!??!?

「.......う"る"っ"さ"い"!!!!!
そんな事言ってるとまたハゲにするわよ!!!!............恵まれた髪質のくせに!」

「怒ってるからってそんなに深く被らなくても.....」
8:  [2021年6月11日 22:15:29] ID:e2f45621
X「ティファレトコア抑制ではレティシアと妖精がキバをむきます」
9:私を映さない鏡 [2021年6月13日 19:39:12] ID:628c1682
私は、ある日調整の鏡の使用を命じられた。
その鏡はどこまでも真っ黒で、私の方が吸い込まれそうで...

その鏡はちっとも私を映してはくれなかった。
私は鏡をじっと見つめ.......

...........

帰り道、足取りが何だか軽くなっていた。
このまま次の作業だ。
10:できる内に... [2021年6月13日 21:19:36] ID:628c1682
俺はダンテを抱きしめながら思う。
この腕いっぱいの命が突然肉塊に変わってしまったら。
それも相手にとっては、何の意味もない肉塊になってしまったら。
.......だから、今のうちに愛せるものは愛した方がいい。

「んー.......」

「どうした?今日のサンチェスは随分と甘えただな...?」

俺は抱きしめる手を強くし、この腕いっぱいの命を愛する事にした。
11:皆はしらない事 [2021年6月17日 19:41:48] ID:19d7b759
今日、今日だけ髪型を昔と同じものに戻してみた。
「可愛い~!」と褒めてもらえて嬉しかったな...
その中、ウェザービーが

「アイツにも見せにいけばいいじゃん、オーロラ。」
と小声で言ってくれた。
今の私はユミだけど、昔はオーロラだった。
私にもウェザービーにももう一人のザビエルにも、その事はしっかり根付いている。

私は少しばかり、ザビエルがいる中央本部に出かける事にした。
12:ぼくはできるはず [2021年6月17日 21:58:29] ID:19d7b759
僕は情報のチーフ。
僕はとってもつよい。
そう自分の胸に叩き込む。
僕はとってもつよいはず。
僕は......

「...僕はできる子、だよね?」

「ん?何を言い出すんだ、エンジェル」

「あ、いや...
僕がなんでチーフになったのかを考えてたんだ」

「そうか...
うーん、でもチーフだからって距離があるわけじゃないし、エンジェルは強いからな、皆も頼りにしてるんだぞ」

「...!ありがとう.....」

僕はできる子。
僕は強い。
13:会社の平和のために [2021年6月17日 22:11:35] ID:19d7b759
アブノーマリティと職員の絡みだよ、苦手だったら逃げてね




「私はここの平和を守りたいの!」

と話すのは、現在観測中の憎しみの女王だ。

「あなたのその銃は危険なの!一撃ちするだけで沢山の人が傷付く...」

「...はい、そうなんですか...?」

「そうよ!だからあなたには約束して欲しいの!
これは私からの贈り物よ!」

そう言われた瞬間、彼女の物と同じヘアアクセが付いた。
俺はその可愛らしいギフトの感触を実感しながら彼女に手を降り別れを告げた。

ただ、一つの問題がある。

「.....でも人が定期的に死なないと暴れだすんだよなぁ...」

どうしようか...
14:仲違いのまま [2021年6月17日 22:26:13] ID:19d7b759
「あ"ークッソ....最悪の気分だ」

「...なんでお前がここにいるんだよ...」

そうやって悪い空気に持ち込むカティヤとウェザービーの二人。

「なんだよお前?何でも変えて差し上げますで死んだんじゃねえのかよ」
「そういうお前こそまだ生き残ってたんだな?もう死ぬかと思ったのに」

「あ"ぁ"!?何だよお前は」
「あ"!?お前こそ何だよ」

止められない領域にまで行ってしまい、喧嘩はヒートして......


「.....すまんな、カティヤが...」

「...いや、ウェザービーが暴れん坊なのにも問題がある....」

「「謝りなさい...」」

カティヤはメイベルに、ウェザービーはログンに無理矢理頭を下げられながら、少しは反省しているようだ。
ほんの少しだけのようだったが......
15:おおあめ [2021年6月19日 22:35:03] ID:0e8a8e07
私は雨音を目覚まし変わりにされたかのように、スマホの目覚ましをセットし忘れ、変わりに会社の外から響く雨で目が覚めた。
今日はコア抑制でもなんでもないのに、やけに雨が自己主張を止めてくれない。

「雨、ずっと聞こえてるね...」

「...そうだね......」

と、何処を歩き回っても聞こえる雨に不安になりながら、私はその雨音を無視して仕事をする事にした。

それから仕事が終わり、夜になる頃には喋り続けていた雨も眠ってしまったようで、私は少し安心した。

少しだけ、ずっと雨が止まなかったらと考えていたけど、その心配はなかった。
どうせ私達は、ずっとここから解放される訳がないんだからね。

おやすみなさい。
16:あなたに会えてよかった [2021年7月4日 5:56:03] ID:c17d4285
俺にとって愛すべき存在で、とっても可愛らしい、まるで愛されて生きてきた花のような存在。
俺はダンテを沢山愛す、また殺してしまわないように。
.....ダンテは昔、俺よりはるかに高くて、俺よりはるかに遠くて、けど俺の一番近くにいた。
それがとても愛らしくて、俺はめいっぱいダンテを愛でたよ。
でもそれがいけなかったのか、何なのか、俺はダンテを殺してしまって....
俺は酷く泣いたけど、ダンテの白い肌が光に当たって展示物のように光って綺麗で....
それから何が起こったのか、ダンテが入社してきて。
ダンテの身長は俺と同じくらいになってしまって、
でもダンテと同じ目線になれるのが嬉しかった。
それから今まで、
俺は殺してしまわないように沢山愛したけど、
あの時のダンテの遺体を忘れられていない。
17:カフェオレと談話 [2021年7月16日 18:09:56] ID:1923985f
「...あのさ」
「何?」
「カフェオレは、コーヒーとミルクと砂糖で出来てる訳だろ?」
「うん、そうだぞ
それが何か?」
「カフェオレ一杯分のコーヒーとミルク、砂糖を飲めば取れたカロリーや栄養は一緒だろ?胃袋に入れば同じってやつだ、
でも別々に飲むと美味しくなくなるんだ。俺はブラックは苦手だしな。」
「ああ、そう、
砂糖も砂糖でただの甘ったるい粉だからね、
一緒に混ぜなきゃ美味しくないはずだ。」
「ダンテ、例えるなら福祉チームのあいつらみたいな物さ。」
「福祉の......
ええ、確かにそうだな。あいつらは一緒に居ないと不思議に思う程だ、そう言うとカフェオレみたいだな。」
「....俺はよく分からないな、元々俺は真っ黒だけを飲んでるしな。」
「お前はカフェオレ飲まなそうだからな、それも一理あるもんだ。」
「おっと、管理人に作業命令を出されてしまった、またな。」
「私も、次の試練が完全食だから。」
「ええ、じゃあ私も、かわいい妹のお守りをするので、また。」
「......今日はお前が留守番しててくれないか?
俺は用があって席を外す。またな。」
「ああ。ではまた。
では私が今日の片付け当番だな。
今日も答えがわからないまま、時間切れになってしまったが。」
18:白黒珈琲と緑色 [2021年7月16日 18:33:19] ID:1923985f
「...これは偶然聞いた話だけど、最近上層の間であなたたちの事が話題になってます。」
「そんな話本人達に話していいんですか?」
「ええ、いいです、僕は下層ですけどね、
「福祉チームの白と黒はカフェオレみたいだ」って話を。よく。僕、上層にはよく行くです。」
「カフェオレ?それはコーヒーとミルクと砂糖の混合物です。
私たちに関係あるのでしょうか?」
「その話は俺もわからないな、詳しく説明してくれないか?」
「はい、コーヒーもミルクも砂糖も、バラバラじゃおいしくない、全部混ぜきって初めてカフェオレができます、
あなたたち、いつも一緒でしょう、一緒じゃなきゃ気味が悪い、そう聞いたのであります。」
「...俺達は確かにカフェオレみたいなのかもしれない、
けど、だとしたら俺らはバラバラなカフェオレの色と逆の性格なんじゃないか?」
「はは、そこは盲点でしたね、多分誰も気にしなかったでしょう、盲点なので。
えと.....僕は、こう思いましたね。真っ黒にも丸くて優しい場所がある。
まっさらにも角があって刺がある。
そうなんじゃない、とね。」
「...腑に落ちない場所があるが、確かにそうっちゃそうだな。」
「私も、あなたの話で納得しました。私達、よく白黒で呼ばれてるけど、ほんとはよく混ざったカフェオレなんだって。」
「ふふ、そうでしょう。そういえば、もう試練がありますよ、紫の。白昼。」
「ええ、そろそろ指示を出されるでしょう。あなたはここで作業を続けるんですよね。」
「俺らは多分、死ぬ時も一緒さ、それこそカフェオレをぶち撒けた時みたいに一緒に。」

「ふふ、そうですね。ではまた。」

「ええ、では。」
19:かすれて見える愛する人へ [2021年7月16日 19:15:34] ID:1923985f
「あのね、オリーブ」
「どうしたの?」
「俺、時々、いやずっと、思うんだ」
「うん、バジルの声は聞きやすいからね、
僕はバジルの話を聞くよ」
「オリーブは俺の声、補聴器付けててもちゃんと聞こえてないかもだし、俺の事もぼやけて見えてるんでしょ」
「うん、僕は補聴器がないと聞こえないし、目もほぼダメ。」
「オリーブは俺の事、少ししか見えてない、俺はオリーブの事全部見えてるのに、」
「俺がこんなに好きって伝えても、オリーブにはほんの少ししか聞こえてない、聞こえてないのに...........っ」

「バジル」

「バジル、見て、僕の左目ね、綺麗なんだよ、こっちと同じ、金色なんだよ」

「だからね、バジル、僕の目はちっとも雲ってない、バジルが僕の目を綺麗だって言ってくれるだけで、僕、幸せなんだよ」

「オリーブ、
うん、俺、何度だって言うよ、オリーブの目は綺麗。俺には雲って見えない。」

「うん、だからね、僕はそれで充分幸せ。
幸せなんだよ。見えなくたって聞こえなくたって。」

かすれて見える愛する人へ。
君が僕を綺麗と思うならそれでいいんだよ。
20:夜はさむいしこわいから [2021年7月20日 6:47:35] ID:3b10c1bd
「......あのな」
「どうしたんですか?」

「俺、夜はちょっと苦手なんだ、
見ての通り寒がりだし、夜は暗いからな。」
「ダンテの部屋っていつも薄明かり付いてますからね、
でもどうしてそんな苦手なんですか?」

「眠るように死ぬのが嫌いなんだ。
.....どうせ死ぬんなら、会社らしい死に方がいいな。
それに、夜は怖いから。薄明かりがないと耐えられないかもしれないね。」

「.......ダンテは暗所恐怖症なんですか?」
「いいや?違う。暗い所は平気さ。
でも夜だけが怖い。怖かった。一人の時はなおさらね。」

「..........俺にできる事は...?」

「ただ、サンチェスが俺の夜の明かりになってくれれば。」

「.....そうですね、
ずっと寄り添いますよ、明かりとして。」

そう言うサンチェスの顔は、カフェオレの湯気にまみれてよく見えなかった。
21:あなたはさかな [2021年7月27日 21:31:54] ID:d6d4d1e3
「チェス。ちょっと聞いてほしい事があるんだけど。」
「どうしたの?」
「僕、最近、時々自分が魚なんじゃないかって。ね。」
「......ジェリーは何でそう思ってるのかな。」

「時々、聞こえるんだ。僕の胸をノックして、こんな言葉が聞こえる。」
「......貴方は、綺麗な青色に塗られた魚。今も水を泳いでいる。
ってね。どうよ?」

「どうって聞かれても、俺には理解しがたい言葉だな.....
ところで、それがどうしたんだい?」

「僕は、本当にそんな青色に見えるのか、って。
僕たちは裏路地生まれさ。だから僕が泳いでいる水は、青くなく汚ない下水かな?って。
魚の鱗は、ゴミで剥がれ落ちているんじゃない?って。」
「だから僕が本当に綺麗な魚かが、気になるのさ。
チェスなら答えを知ってるんじゃないかい?」

「....君の瞳は下水なんて一筋も通ってない綺麗な青色さ。
その色を泳いでいる。それが答えなんじゃない?」
「少しは泡沫に身を委ねる事も大事だよ。」

「確かにそうかもしれないね。ならいっそ、水面を跳ねてみようか。」
22:白紙の絵描き [2021年7月31日 23:54:04] ID:b7794fdd
俺は........赤ん坊のころどんなんだったっけ、
多分親がいたんだ、俺と同じ赤い髪で光が当たる所で幸せにしてたと思うんだよな、なんとなくだが...
ただ......俺は物心付いた時には、既に筆を握っていた、俺はもう絵の描き方を知っていたようで、とにかく絵を描いてたんだ。
ただ家の中にあるキャンバスはお世辞にも多いとは言えねえ、だから気に入らないやつを消してまた描いてたりもしてたっけな、
あとかさばるから捨てなきゃならなかったんだ。
俺が捨てる場所に困って窓に飾ってたら、一人の人が俺の絵を気に入ってくれてな、あるもの全部買ってくれたんだ
これで金に余裕ができて、嬉しかったからキャンバスをまた買った。そして俺は1枚売れたら5枚キャンバスを買うようにしたんだ。
描いて、飾ってを繰り返すと俺はだんだん有名になっていってな.......
とうとう部屋中が真っ白いキャンバスで埋まった。それだけ有名になったって事だ。俺の売り場所は窓だけじゃなくもなった。
でも俺のやる事はただ、
.....ただ、光が少しだけ差し込む場所で永遠に筆を握り続けることだろうよ。
23:最高の最低を [2021年8月3日 22:00:30] ID:8ccca2ec
「もうやめてくれ!!お前はこんなのに耐えれるのか!?お前もわかってるだろ!?管理人がしてきた事全て!!!」

俺、俺は目の前にいる職員ハンターにそう訴えかける。
あいつは一番最初にここに来たらしい。ならこの話も取り合ってくれる。
そう思いながらただ、叫んでいると、奴のぐるぐるした混沌の目が

「......そんな事あったっけなぁ?今日は.....43日目。俺はここに入社してから43日目だ。それが何か?」

「う....嘘だ...今日は43日目なんかじゃない。もっと時間が経っていたはずだ。管理人が永遠に繰り返して、それで.......
....お、俺は見たんだ!!!お前が死んでいるとこも!!この目で見た!!この目で..........」

ただただわかって欲しいと、俺は焦りで舌が早く回る。
クソ、しらばっくれやがって。俺は全部知ってるんだからな....
あいつならこの話も取り合ってくれる。
そう思っていた。
あいつはぐるぐるした目をこっちに向けて、

「はは、」

.....
...面倒なんだよなぁ。こういうオフィサー。
たまにいるから困ってしまうよ。
24:脳に血を綴る [2021年8月3日 22:30:51] ID:8ccca2ec
........俺に「何でも変えて差し上げます」の作業命令が来た。
もう観測は終わっている。その観測によると
....入った職員は死亡するまで永遠に出られない。
震えが全身に走る。その痙攣は恐怖による物じゃない。
興奮による物だ。

足を一歩、また一歩、着実に、収容室に、向かって。
また、俺が、ぐちゃぐちゃに、されて、しまって。
これが、俺が、本当に、愛するべき、な物だ、って。

俺は収容室に入り、すべすべした白い肌を撫でる。
無機物特有の冷たくて愛がない感触。
ただ、それでいい。いや、それがいい。

「早く俺の脳みそに針で文字を綴ってくれよ......」

そうぽつりと呟いて、俺は針だらけで冷たい床に足を踏み入れた。
25:あわのなかできえさって [2021年8月7日 14:56:21] ID:e776e6b6
ゴボゴボと、まだ真っ暗で見えない液体のなか、ゆっくり息を吐く。
それが、それだけが上に上がっていくのを私は確認した。
「....まるで海に食べられたみたいだな。」
口には出すことができないその言葉を、息を吐き泡で言葉にした。

私はその液体がずっと何なのかわからないまま、ただ、ただ、深く沈んでいき、まるで自分が水草の一員になったかのように。
いずれ答えがわかる、だから身を委ねていた。

...結論から言うと、私が溺れていた液体はエンケファリンで。
どこから溢れてきたのかは知らないが私は溺れ、エンケファリンを少し飲んでしまい記憶があやふやになっていたんだ。

本当の海だったらよかったのにな。
26:私の首を絞めて [2021年8月13日 20:10:30] ID:628c1682
「.......Stran......neck.................my.........ck...............」

真っ暗な闇に、聞き覚えのある誰かの声が混じる。

「Stran......gle......................my...........」

俺は音のする方に向かい、ベランダに出ると、よく知っている愛した人がそこに立っていた。
「......ダンテ?」
「Stra..........あ、サンチェスか。
こんな時間にどうしたんだ?」
「それはこっちの台詞ですよ....
ダンテこそ、ベランダで何を?」
「俺か........
俺の.......いや、なんでもない。ちょっと眠れなかっただけさ。」
「そうですか.......」
「ああ。だからサンチェスも夜更かししないで早く寝ろよ?」
「わかりました、
おやすみなさい。」
そう言い残し、俺がベランダから立ち去ったのを追うように

「..........Strangle my neck.」

と、また真っ暗な闇に聞き覚えのある声が混じる。
27:獲物を喰らう海 [2021年8月13日 21:35:58] ID:628c1682
海は突然やって来て、あなただけを食べ、澄ました顔で帰ってくる。
ゆったりとした海が表情を変えて、また食べ、また笑顔に戻り。
そんな中で、僕たちは生きてきたんだ。
「..........」
何も言えない。
いつもなら、二人きり、でも全然喋れるのに。
僕は、ゆっくり、目線を気配がする方へ向ける。
「.......あの」
一言話すだけでも、疲れるようで、頭のからまりが取れなくて、あなたはからまりに手を突っ込んでほどくような声で、
「.........何...?」
って、話してくれた。
僕は怖がりながら、息を整え、からまりの中の手を取らないように。
「あのね.....?ユリ.........確かに無理はしないでって言ったよ?言ったけどね........
僕、怒ってない、ないからね....もげた、のが、生足じゃないだけ、よかった、なって.......」
そんなこと、言ってほしくないのは、わかってるんだけど、それ以外に、言うことが思い付かなかった。
あなたは、
「.........わかってる...
.......明日には新しい足、届くから.....今日は無理するな...って.....」
あなたの声が、だんだん小さくなっていくのを、僕は感じた。
「うん.....無理、しなくてもいいからね...?
僕は、生きてる方の手足も無くなっちゃったら、悲しいから.....」
僕にとっての海は、世間とはかけ離れたここで、表情がころころ変わって、獲物を食べたらまた戻るんだ。
そんな海の中で、僕たちは生きてきたんだ。
下層の冷たい空気を帯びながら、僕はゆっくり、ゆっくり、あなたと海の中で、すこしだけ過ごした。
28:楽園 [2021年8月15日 15:03:57] ID:78fbd96b
楽園、なんの為にあり、貴方は何を思う、
人の救い、どうか僕をそこまで連れていけ、
また楽園で会おう。
何かぶつぶつ呟く青頭、私よりも小さな青くて幼い頭、
「何してるの?」
話しかけるとこっちを向いて、
「考えごと。」
ここじゃ一番幼くて、一番肉体が子供だった、
「何の考え事?友達?家族?それとも今日の献立かな?」
私を笑い飛ばしてくれ、と遠回しな言葉が天井を空回り。
「ううん、どれもちがうかな。
エデンの園、本にそんな言葉が書いてあった。」
「んと.....
僕って難しいこと考えられないし、ほんのちょっと思ったんだけど....
僕にエデンってつけたパパやママはどんな気もちだったのかなって。
楽園のようにあってほしかったのか?」
そうエデンの言葉は普段より静けさが増した天井によく響き。
「.....私はまだそんな事を考えるべきじゃないと思うけど。
いずれわかる物だよ、いずれね。」
エデンは失楽園の底をコツ、と叩き
「.......わかった、じゃあまたね。」
「またね。」

また会おう、楽園。
29:手を止めないで [2021年9月2日 18:42:17] ID:085781e3
『やさしい野原と、そこにねっころがる私がいる。
菜の花もタンポポも、綺麗に咲いて、私はとても気分がよかった。
このまま昼寝を....って思った。だけど一つだけ間違いがあったようだ。
その菜の花やタンポポは、実はユリの花とカーネーションで、私はその花弁を散らすくらい激しく地面に打ち付けられ。そして.............』

「......ダンテ...」
「なんだ...?いい所だったのに...」
「詩を書くのもいいと思うんですけど、ちょっと休憩しません?」
「そうだな....?
じゃあカフェオレ作ってくれ」
「わかりました。」
30:英雄の讃美歌 [2021年9月6日 21:51:35] ID:98de68e0
ただ、溢れてくる。
オルゴールの中のけむたい蒸気に塗れ、むせる。
ただそれだけだったから。
ゆったりと命を投げ棄てて私は声を出すの。
枯れそうなくらい、いいや、もう枯れているけど。
私がただそこにいればよかった。
私の声を聞いて、そして私が私であればいいの。
私には、
ただそれだけだったから。
あのね、

「私の声を聞いて、そして
31:英雄にならなくていい [2021年9月6日 21:59:33] ID:98de68e0
あなたの手で私に裁きを与えてください。」

ただそれだけだったのに。
オルゴールの回す手を止めると、あなたの咳き込む音も消えて。
あなたはそれでも枯れたと自称する声を風の流れに乗せて消していった。
あなたはどうして命を投げ棄てるなんて事を。
阿呆らしいけど、あなたらしい。
ただそれだけだったのに。
なので、
そっと喉の奥を潰して、もうあなたが声を出さないように、
もうあなたが英雄にならなくて済むように。
32:  [2021年9月6日 22:04:04] ID:98de68e0
きゅっと、して、
これでもう声が出せないね。
33:堕天 [2021年9月6日 22:35:09] ID:98de68e0
こんなくだらない場所、どんくさいと思わないかな?
そんなしかめっ面しないでくれよ。
これは私が君にしたい事だ。
君を必ず見下ろそう。
君を必ず見下そう。
君を必ず大切にしよう。
はは、君が死ぬなんて事させる訳がないだろう。
君が崖から飛び降りようとしたら、
私も一緒に落ちようか。
一分弱ばかりの静寂と、狂犬だらけの円舞曲を。
さあ、墜ちる所まで墜ちようか?
34:ごみとひとだらけのまちで [2021年9月12日 10:12:30] ID:6032e00f
「僕は昔、けっこー大変だったんだよ!」
産まれた時から目の前の景色は既に裏路地。
僕は綺麗なおめめを太陽にきらきらさせながら生きてたの。
でもね、聞いちゃった。
「綺麗な目の人間はどこかに連れていかれて、裕福な暮らしをするんだって」
みんなが僕を羨んだの。僕はいやだったよ。
男の子より女の子の方が価値がある、女の子の方が幸せになれる。
でも僕はここから離れるのが嫌だったの。あたらしくできた弟もいたの。
家族と友達と、離ればなれはいやだから。
だからね、僕はおめめをきらきらさせないで、ずっと隠して歩いてたの。
ここで。
塵と人だらけの街で。
35:夜に住む住人 [2021年9月15日 18:37:40] ID:78fbd96b
私と私、それはきっと影に飲まれてもう動けない。
強い泥沼きっとすぐ、影に飲まれてもう動かない。
ぐるぐる回り回り...目を開けても、閉じても、すぐに見えるのはいつも夜ばかりのはずだった。
夜はやだ、夜より酷い物はない、ない、ないと信じてる。
夜より酷い物、それは実在していた物、真っ暗が光を全部吸いとる事より怖い物。
夜すら来ない、朝もこない、昼と夕焼けもまだいない。
酷いものすら来なかった。
私らは夜の住人、影がない。
また光を蝕む。
36:水銀の海 [2021年9月16日 21:43:39] ID:1923985f
私の体を食べ尽くす、私の心も食べ尽くす。
そんな人間が、目の前にいたんだ。
私が常に座り込んでいた人工の池は、あなたと言う水銀で溺れる程に溢れ海になって。
私の周りに鮫が泳いで、その鮫肌で私の腕を傷付けるほど撫でた。
水銀に蝕まれ、食まれ、食べられ、飲まれ、
海に溺れて、幸せな夢を見る。
君みたいな人は初めてだよ。
37:甘ったれの味 [2021年9月22日 18:44:19] ID:a09b9564
夢に溺れる物の体は実に美味な物なのである。
性格、性格、ただ性格だらけを食べる。それがどれだけいいものか。
その軽蔑と嫌悪にまみれた顔から食べる?それとも命ごいをしきれずに震えるばかりの足?
貴方は外に出たいはず。だが私達はもうここから出る必要はなくなっているのだ。いつか玄関に蜘蛛の巣が張ってジョロウグモが住み着くだろう。
貴方だけじゃない、多分他の皆も幸せにはならない。
腐りきった鼠、死んだ蛞蝓と硫酸で溶けた蟻。
飛ばなくなった蛾と、蝉の泣き声。
さあ、明日まで鉈で脅して。踊ろう、ね?
早く、早く、明日まで終わらないよ。
38:あなたを連れて [2021年9月23日 20:53:00] ID:f89a295d
前が見えない。
「こっちだよ」温もりを感じる手、優しい声色、少しだけ見える目からうっすらと映る綺麗な赤茶の髪。
「ここに座って」雨上がりの悪い物を全部打ち落とした空気、さわやかでどこか悲しい風、そしてあなたの温もり。
それでどれだけ幸せなんだろうな、俺。
ゆっくりとあなたのいる方に肩を預け、体を傾ける。
「この曲好きなんだ」ちょっと冷めたジャズの音に、あなたの暖かい声が混じる。
ちょっと珍しいね、あなたがそんな曲を気に入るなんて。
あなたは暖かい人だ、とっても暖かい人だ。
だからこそ、あなたの心が冷めきってしまわないようにする必要があるんだ。
39:大鍋 [2021年9月23日 21:00:42] ID:f89a295d
ただ、ただ、ただ、ぐらぐらしている。
ぐらり、くらり、くらくら、ゆらり。
そんな擬音の言葉だけを重ねても言霊にも何にもならないとは分かっているのに。
ぐら、ぐら、ゆら、ゆらら。
魔法を唱えるように、狂ったように。
擬音だけを言霊にしていく。
ぐら、ぐら、ぐらり。
ぴたりと足が止まる。
ぐら、ゆら、ふらり。
口は止まらない。
ぐら、ぐら、ゆら、ゆら。
ぐらり、ぐらり。
40:魔法だけの弾丸 [2021年9月23日 23:14:49] ID:f89a295d
もう終わりよ私達、もうダメなのよ私達。
弱音を吐くオフィサーがいる。
そんな人たちは、まとめて撃って、撃って、
撃ち殺してしまえ!
俺の持つ銃は何もかもを突き通す!
オフィサーを逃げたアブノーマリティと一緒に一人だけでなぎ倒していく。
陰気な俺が今だけ変われる。魔法少女になった気分だ。
撃って、撃って、ただ撃って、
弱音を吐く人だれだ?と探して、
まとめて、まとめて
撃ち殺してしまえ!
俺の頭に付いた愛と憎しみの名のもとにが光った。
41:酸化銅 [2021年9月23日 23:32:58] ID:f89a295d
感情だけの線を造った。
感情だけの、私の腕を造った。
足が、動かせずに10万年とあとちょっとだけ。
まだ、ちょっと、ちょっと、
働けにいけないな。
明日に落ちた石榴の実が、
私を蝕んで、食んで。
私を、私を、私を、見つめ出して、見つけ出して。
明日に落ちた宝石の身が、
腕ごと、すり抜け、溶け落ちて、
もうわからないね。
ただ、散り、散り、塵に、なる、なら、
次は、次は、もっと、わかりやすく話そうか。
42:道化師と暗黒紳士 [2021年9月25日 0:01:59] ID:32c9e36c
劣等の感情を持ち、更にはそれを人に投げつける。
助けて、助けて.....とこだまするだけの声。
救いを求め、俺は見付ける。
ただ一人で黄昏ている男を見付け。
俺は救いを求め、終わりを告げる。
「助けて、助けてくれ」
「...何故」
「もう、終わりなんだ」
「...そうか。」
男は俺の懺悔に見向きもせず。
「助けてくれないか」
「私と関わるとろくな事がない、そういう職業だ、それでもいいのか」
「もう何でもどうでもいいから早く助けて、助けてくれよ」
俺が苦しそうに言うと、その男は
「私は人の弱さにつけこむ事はできない。
何故なら私が人に酔ってしまったら後戻り出来なくなるからだ。」
男はそれだけを言い放ち、何処かへと消えた。
43:隣の蜂が死んだらしい [2021年9月25日 16:03:47] ID:32c9e36c
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は琥珀色だった。
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は翡翠が好きだったそうな。
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は常に誠実だった。
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は果たして生きていたのだろうか?
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は本物の「蜂」になっていた。
隣の蜂が死んだらしい。
隣の蜂は。
隣の蜂が、
44:寒気 [2021年9月26日 23:41:43] ID:14c6e75a
あなたと二人、それがきっとわからないのなら。
あなたがごろり、それもきっとわかるのなら。

空間がよく見えなくて、それでもきっといいので、私の口から出るのは黒で、それでもあなたが死んだ時にぶち撒けたのはピンク色だった。
その夢に溺れていたのか?
それで何かを図ったとしても。
その夢は叶う訳がない。
それに敵う訳もない。
ああ、私の脳の綺麗な色、白と赤を混ぜた桃色、それがきっと愛だ。
私は何色に見えるかな?
45:ぐらり [2021年10月10日 22:59:17] ID:d0e7bf5e
ふらり、ふらり。
口から出る憎悪。
ゆや、ゆや、くるり。
お前が踏み潰した虫。
ぐるり。
それはただの虫でしかなかった。
妬み、ふらり、ふらり。
口から出る憎悪。
ゆや、ゆや、くるり。
お前が踏み潰した虫。
ぐるり。
それはただの虫でしかなかった。
妬み、蔑み、ただの肉の塊。
ぐらり、ぐらり。
傾く画面と血で固まった尻尾。
断面はカビだらけのようだ。
ぐる、
異様な魚。
ただのスラックティビズムだったようだ。
46:大口を開けて待っている [2021年10月12日 23:57:11] ID:6032e00f
それはまた、大変な事だった。
丈の長いスーツ、それをなびかせて、また沈んでいったのだから。
それは生暖かくて、気持ち悪い何かに囲まれていて。
その何かの中で、もがき、足掻いた。
それも無駄なようで、無駄な体力だけを消費して倦怠感だけが残る。
それが揶揄のようで、気持ち悪くなり、邪推が私を襲う。
その胸に気持ち悪く残る邪推が、さらに私の中の何かを掻き立てる。
暗く、息ができない。苦しく、溺れているような感覚に陥った。
私はここで溶かされてしまうのか?分からない。一つ言えること以外には、ただ、
幸いなのはここがどこなのかが分からないことだ。
47:なかれるさかなとなくさかな [2021年10月13日 0:03:32] ID:628c1682
お魚が泣いてるよ。
「魚はなんで泣くの?」
お魚は悲しいから。
「魚はなんで鳴くの?」
お魚は仲間を見つけたいから。
「魚はなんで啼くの?」
お魚は鳥ではないけれど。
「魚はなんで哭くの?」
お魚はとっても苦しかった。
「泣く魚は溶けてゆくの?」
いつかそうなったらいいね。
泣かれる魚と哭く魚。
48:それが愚かな愛でした。 [2021年10月13日 0:12:25] ID:628c1682
ドライフラワーの造花に足を入れる、その暖かみのなさにどれだけ救われた事か。
その時から夢を見ていたと言うのか。
嗚呼、なんと盲目な、愛とはその事を言うのですか。
神よ、神よ。愚かで忌まわしい私めを、どうか殺してください。
それが、それが。貴方にできる、神にできる唯一の裁きなのだから。
どうか、どうか。貴方のタガーで、その黒光りする正義と言う名の光で。
私を、私を。どうか。
49:ぐるり回ったオルゴール [2021年10月13日 0:22:03] ID:628c1682
君とオルゴールを回すの。
楽しいね。
豊かな自然の中だよ。
清々しいね。
「こうして笑い合っているだけで、私たちは生きていけるんだよ」
水の冷たさ、柔らかさ。
木漏れ日の葉に付いた朝露。
ぽたぽた落ちて、誰かの涙みたい。
ゆらりゆらり、木漏れ日がまた泣く。
死にかける前でも、どんなに絶望しても、そんな何気ない外の日常があってもいいかな。
幻想を絵に描き、無機質で寒い空気を二枚の布団で誤魔化す。
明日も頑張らなくちゃいけないんだよね。
50:緑の葉と虚ろな髪 [2021年10月14日 18:37:23] ID:8376c372
ああそうだ、貴方と話してて思い出した事がある。
ああそうか、それは一体何だろうね。
ああそうだ、それは私の兄の事。
ああそうか、それの何を思い出したの?
ああそうだ、それは貴方によく似てた。
口調と声色がよく似てた。
ああそうか、俺で思い出すという事はよっぽど似てたんだね。
ああそうだ、まるで兄と話しているような気分になる。
ああそうか、顔が見てみたいね。
ああそうだ、顔は私によく似てた。
私と違って社交的だった。
ああそうか、ところで名前を聞いてもいいかな?
ああそうだ、今まで思い出せなかった。
だけど貴方と話していたら思い出せた。
ああそうか、その名前は?
「ああそうだ、
名前はバジル。貴方と同じ、バジルでした。」
「.......
ああそうか、偶然だね。」

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