コメント数: 88, 小説 ID: n289
【二十四獣伝】_本編開戦_ / 黒尾

【二十四獣伝】_本編開戦_ / 黒尾

(19/08/03 16:33:17) [ID: 6485d351]
名前
コメント
88:黒尾 [19/09/15 21:32:45] ID:6d78e941
【 お知らせ(?) 】
・私情により ここで更新停止させていただきます、申し訳ない
・はっきり言うと続き書けるかわかりません 。。このあとの展開は各々のご想像にお任せしま(くそ)
ここまで読んでいただき(?) ありがとうございました !
87:黒尾 [19/09/08 21:51:41] ID:066681f2
一体 あの人の瞳に オレ達はどう映っていたんだ 。

そのまま 、しんとした空気が漂う 。
.. と 、それまで静かに話を聞いていた豚沌が 口を開いた 。「 … 今の聞いて .. 思ったんだけど 」


「 .. 俺達から見た俺達が正義なら 間違ってたとしても 、わかった気になってただけだとしても 、そのままそれを信じて 前を向いた方が良いんじゃねーか … って 、絶対 、 」


しんだ皆なら言う 。と 。

「 .. だよね 、オレもそう思った 。 やっぱ 、信じるべきは己の心だね 錯覚であれ何であれ 、 」
豚沌からの意外な言葉を聞けばくす 、と笑って 。苦笑も混じりつつ 、困った様な笑顔で そんなことを言う 。
柄にもないのは 、皆一緒だな 。
畴視と馬者丸を見れば 、ふたりとも同じことを言いたかった と言う風な顔をしていた 。
86:黒尾 [19/09/08 21:38:35] ID:066681f2

黄鶏はそのまま 獅子 のことを話しだした 。そして 、「 本題はここからだ 。 」と言う 。


「 仙人サンは多分 、自分が新・十二支に殺されるのを知っていた 。
… 信用しきった訳じゃないけど 、新・十二支のとある一人から聞いたことだ 。

仙人サンはオレたちのなにかしらのせいで負担をひとりで背負ってて 、つかれてた 。から 、新・十二支が仙人を楽にしてやった __ ころしてやった 」


「 …! どう言うことだ 」畴視は声を荒らげた 。無理もない 。皆同じ気持ちだ 。黄鶏は畴視を片手で制しつつ 、続ける 。

「 オレ達から見た新・十二支達は悪者で 、新・十二支達から見たオレ達は悪者だ 。.. そして 、さっきの話的に言うと 、仙人サンから見たオレ達は 、悪者だ 。

… オレ達は 、なんだ 。 」


85:黒尾 [19/09/08 21:31:17] ID:066681f2
「 一回 、冷やせ 」
馬者丸は 怒っている様な 、悲しい様な 、辛い様な 、なんとも言えない表情で 、立っていた 。
黄鶏の思考の暴走を察しての行動だったのか 。さすがは親友 、なんて心の中で思いつつ (ああ 、)と気付いた 。

黄鶏は短く「 悪いね 」と言って 、上を向き 、両手で己の頬をぱちん 、と叩く 。そして 、馬者丸の頬をぱちん 、と張った 。「 これでおあいこね 、 」
そう笑めば 、皆の中心に立つ 。


「 皆に 言っておかなきゃいけないことがあるんだ 」
84:黒尾 [19/09/08 21:25:52] ID:066681f2
さっきの『狸』の言葉の意味を必死に分析しようとするも 、結論が見えない 。( 仙人サンにとってのオレたちって 、なんだ 。)
完全な行き詰まりなのに 、思考は止まるということを知らない 。

「 おい 、 」

止まることを知らずに考え続ける思考になすがままにされていた故に 、周りの声なんて耳に入らなかった 。

自分が最初に彼等の目的を知り 、隅々まで理解していれば 、こんな無駄な戦争もしないで済んだのかもしれない 。


もし 、自分が 。


そんな 黄鶏らしくもないことを考えていると 「 ぱあん 」と 、肌を張った音が 静まった空間に 響いた 。
驚いたように目を見開いた黄鶏は更に驚いた 。張られたのは己の頬で 、目の前には 己の頬を張ったらしい馬者丸が立っていた 。

83:黒尾 [19/09/08 20:51:28] ID:066681f2

そんなことを訊かれて 彼等が 「 NO 」と答えるのは当たり前だった 。
師の仇に知り合いなんて居る筈がない 。なら どうしてそんなことを訊いたのか 。
黄鶏は 『獅子』と顔見知り..知り合いであった 。だから戦闘スタイルもなんとなく知っていたし 、流浪を殺害したのが彼だとすぐわかった 。
敢えて味方の前で知っている情報を公表せず 、敢えて 他の者より情報の多い獅子との戦闘を避けていたが 、
まさかここまで己たちが追い詰められるとは思ってもいなかった 。今まで共に一人の者に支えていた仲間が 、ここまでころされてしまうとは思わなかった 。
もし最初に あのボールルームで獅子の情報を公表していれば今頃 、流浪は いつものへらへらとした態度を曲げずに ここに居たのかもしれない 。
もし 誰よりも先にボールルームでの皇虎の暴走を見抜いていれば 東雲も敵の手によって首をへし折られることはなかったのかもしれない 。

もし 、自分が 、最初に 敵の目的に気付いていれば 。

82:黒尾 [19/09/08 17:55:47] ID:066681f2
【 第八戦:虎の威を狩る狐 】

「 … という訳で 、」


そのボールルームに 十二支__『子』の畴視、『午』の馬者丸、『酉』の黄鶏、『亥』の豚沌の四名が集っていた 。
ここへ来るまでに拾ってきた 建物の瓦礫を書き物代わりにして 床に図や文字らしきものを書いているのは黄鶏だ 。
これまでの経緯と 、この戦争での(あくまで黄鶏の推測だが)現在の生存者数と生存者をまとめていた 。
( 海辺で見つけた流浪の死体の付近にも 別に死体があったはずなんだけど なかった 。
波打ち際だったから 流されていったんだろうな 、きっと 。十二支サイドの死亡者の死体で見つかっていないのは『巳』と『未』か__ 部分的にしか見つけられてないのも含めたら
『丑』『卯』『申』もだけど 、この三名は先刻の爆発に巻き込まれただけだ 。 ) なら流されていった死体は 、『巳』か『未』、敵側の死者のどれかになる 。
黄鶏的には( さっきの爆発を引き起こした誰かさんか 、あの蜘蛛のやつがしんでくれてたら幸いなんだけど )と考える 。
(爆弾投下犯のことは陰すら見ていないが)恐ろしく面倒臭い二名だ 。
己が遭遇している新・十二支は『蜘蛛』の彼位しか居ないから 、もっと面倒臭い奴が居ることにも気付かないのは当たり前だが 。
「 敵陣に知り合いとか 、居ない ? 」
黄鶏はそこに居る三名に問うてみる 。
81:黒尾 [19/09/07 22:07:22] ID:6c9d1f17
「 … 趣味が悪いって… …くれたっけ .. 自分が嫌でどうしようも … …から 他人を模倣することにしたんだ 。.. 模倣…ことが … 僕 … にとっての ____ 」


そこから先は聞き取れなかった 。
( 考える時間は与えない 、か … 正当防衛って __ 使い方よくわかんないな )
黄鶏は 安らかな微笑で上空から落下していく『狸』に 無意識に 手を延ばす 。
総スカンを食らわされることはわかった 。けど 、『仙人に楽させてやる』のと『執行人』と言うのに未だにひっかかる 。
彼から何か聞き出すべきだと考えたその間2.3秒 。畴視に「 吹っ飛んでも良いけど 死にたくなかったらしっかりつかまれ 」と言えばそのまま茶々茉を追う様に落下していく 。
畴視も黄鶏も 、( 間に合わない ) ということは落下する直前からもうわかりきっていた 。
でも本当のことを知りたかった 。から 、彼に向かって手を延ばした 。手遅れだとわかっても 。


結局 、最後の最後まで手は届かず 、上空490m地点で諦める 。
結局 知り得ることは なかった 。
二人の心に大きな靄を張った彼は 本当の自分の姿を遺して 落下死した 。

( 十二支-4 新・十二支-8 )
( 第七戦__終了 )
80:黒尾 [19/09/07 21:46:49] ID:6c9d1f17

「 オレたちは 君らを全員ころして こぞって総スカンを食らわせて 仙人さんを楽にさせてあげる執行人なんだって 」

( 仙人を__楽にさせる ? ) ( 執行人 ? ) 畴視と黄鶏は咄嗟にその言葉がわからない__けれど 、わからないなりに (あ 、) とも思った 。
この戦争がはじまる前 、新・十二支から送られてきた手紙の『 それは我々も同じ__ 』の 答になるように感じたからだ 。
でも それを確実な答とすると 、自分達十二支がまるで 仙人に負担をかけている悪者になってしまう 。どう言うことだ 。仙人を慕い 、敬い 、尊んできた我々が何故 、悪者に仕立て上げられているのだ 。
仙人をころしたのは彼ら新・十二支だ 。でも本当の動機がわからなかった 。
畴視は単に『十二支の座を乗っ取りたいから博愛主義者で平和主義者な 、邪魔な仙人を排除した 』んだと思っていた 。
しかし 、今の言葉を聞けば
『 十二支が仙人に何かしらの形で負担をかけているからそれを見かねて新・十二支が仙人をころした 』
と解釈してしまう 。でも解釈してもそこからが進まないのだ 。
黄鶏も同じ気持ちだろうか 。

完全な行き止まりに直面した二人の前で 、偽者は両手を広げて天を仰いで 翼をたためばそのままうしろに倒れた 。
二人の目の前には 、偽者の頭の上に乗っていた木の葉だけが残されていた 。

「 僕らがしたことは許されないけど 貴方達が無意識にしたことから 仙人を救うには そうするしかなかった 正当防衛って 、知ってる ? 」

79:黒尾 [19/09/07 21:24:12] ID:6c9d1f17

なにそれ 、最悪 、なんて顔をしかめる黄鶏に偽者は声をかける 。

「 まあいいや 、よく聞いてね偽者クンと十二支のおチビさん 。__ とりあえず オレたちの目的を教えてあげる 」



馬者丸と豚沌は 、もう人工的に創られたとしか言い様のないその地上を ただ無言で歩いている 。
豚沌の方は元々特定の相手としか喋らないし 、十二支の面々にも「 無口そう 」という印象を持たれている 。
流浪とはなんだかんだでそこそこ喋るから 、逆に周りから不思議がられる 。
馬者丸の方は普段 そんなに無口ではないと思われる 。他の面々よりまともな要素が多い為か知らない内に無口だと思われているかもしれないが 。
しかし 馬者丸はずっと口を堅く閉じたまま歩くのみだ 。その深刻な雰囲気から 豚沌も余計なことは言わない方が良いと察して そのまま何も言葉の飛び交わない空間に居座り続けた 。
78:黒尾 [19/09/07 21:09:49] ID:6c9d1f17

確実に敵メンバーの一員だとわかった 。


目の前に居るそれは 、己とそっくりな格好をして 己と同じ様に空を翔んでいた 。擬態だ 。黄鶏は笑みを崩さずに言う 。
「 他人のマネをするなんて 、趣味悪いんだね __ 本当の御前は誰だ ? 偽者クン 」
その問いに偽者黄鶏はまた 、表情もトーンもそっくりそのままの状態で言う 。「 なに言ってんの ? オレは黄鶏だよ 。そっちこそ誰だ 、偽者クン 」
( 腹立つ ) 本物の方の黄鶏は額に青筋を浮かべる 。何か情報を持っていないのか 、なんて顔で畴視を見れば畴視はすぐ「 こいつは『狸』の雑魚だ 」と 言う 。
「 容姿を擬態できる故に 黄鶏の雑魚の翼まで擬態しおった 」
77:黒尾 [19/09/07 18:01:43] ID:6c9d1f17
考える時間の要る黄鶏は 、同じく考える時間の要る畴視と共に空を翔んでいた 。


畴視・豚沌ペアと合流したのは 山羊 が爆発物..ミサイルetcを落とす少し前だった 。
これからもっと仲間を集めて作戦を立てようかと考えていたがまさか 己を含めて四名しか生き残っていないことに驚いた 。
特攻組や胡桃香なら二人以上敵を倒して生き残っていると推測していたが__
海岸の地面に引き摺ったときに付いたと見られる血の痕の数 地面に垂れた時に付いた血の痕 と 流浪の槍に付いた血 、散らばっていた細かい肉片を見れば 、
向こう側も最低二人以上は死亡していると考えられる 。
なら向こう側と己側のスコア差は半分以上であって 、形勢逆転なんてできそうもないことは明らかだった 。
しかしそれでも 胸に秘めた何かの決意を折らず 、目の前に現れた人物を真っ直ぐ見つめた 。恐らく 、
否 、確実に敵メンバーの一員だったが にこりと笑めばそのまま言った 。


「 君 、誰 ? 」
76:黒尾 [19/09/07 17:48:44] ID:6c9d1f17

一目瞭然 、十二支が新・十二支にボッコボコにされている 。
このままスムーズに事が進めば十二支が敗北し 、あっさりとこの戦争は終幕するだろうが 、さすがにそうもいかない 。
しかし 十二支側が新・十二支に対して反撃の一手ぐらいは思い浮かべているかと言えばそれも頷けない 。


( 打つ手が無いワケじゃ 、ないんだけどさ 。) 黄鶏は たった今 耳にした爆発音に耳を傾けつつ 、首を捻る 。
打つ手が無いワケではない 。何処かに潜伏して待ち伏せしたら敵一人くらいはころせるだろうし 、
護りが高くて体術も優れている己なら正面戦闘大歓迎だ 。
でもまあそんなに運良く大人しく 目の前に現れてくれるはずもない 。何かしらの罠を仕掛けてくるに違いないのだ 。
そして先程 、強行突破する為に要りそうな特攻型の『寅』と『辰』の双方の死亡を確認した 。ますます考える範囲は縮んだり広がったりする 。
強行突破は非常事態以外では使えない 。

…今の黄鶏には考える時間が居る 。己を含めた四名で九名の命を墜とすには 。


__そんな訳で 考える時間のいる黄鶏は現在 、上空にテイクオフ中である 。
少し邪魔ではあるが『子』の畴視も乗せて 。
75:黒尾 [19/09/07 17:26:42] ID:6c9d1f17
【新・十二支】
○(『猫』/ 生存中 / 0 )
○(『狸』/ 生存中 / 1 )
○(『狐』/ 生存中 / 0 )
○(『鹿』/ 生存中 / 0 )
○(『亀』/ 生存中 / 0 )
○(『蛙』/ 生存中 / 2 )
○(『山羊』/ 生存中 / 3 )
○(『狼』/ 生存中 / 1 )
○(『蜘蛛』/ 生存中 / 1 )
×(『烏』/ 4 / 0 /『寅』)
×(『熊猫』/ 5 / 0 /『辰』)
×(『獅子』/ 8 / 1 /『寅』)


【訂正】
【十二支】
誤: ×(『寅』/ 7 / 1 /『狼』)

正: ×(『寅』/ 7 / 2 /『狼』)
74:黒尾 [19/09/07 17:16:21] ID:6c9d1f17
【 第七戦:鶏口となるも牛後となるなかれ 】

さて 、十二支と新・十二支の戦いもいよいよ中盤に差し掛かってきた 。
現在の生存スコアはどうなっているか 、分析してみることにする 。

(名前/死亡順/殺害人数/殺害者)

【十二支】
○(『子』/ 生存中 / 0 )
×(『丑』/ 9 / 0 /『山羊』)
×(『寅』/ 7 / 1 /『狼』)
×(『卯』/ 11 / 0 /『山羊』)
×(『辰』/ 6 / 1 /『獅子』)
×(『巳』/ 1 / 0 /『蛙』)
○(『午』/ 生存中 / 0 )
×(『未』/ 2 / 0 /『狸』)
×(『申』/ 10 / 0 /『山羊』)
○(『酉』/ 生存中 / 0 )
×(『戌』/ 3 / 0 /『蜘蛛』)
○(『亥』/ 生存中 / 0 )
73:黒尾 [19/08/24 19:45:05] ID:4c1ff185

跡形もなくなって平たい土地となったそこに せめてもの誂え物としてか 無人の戦闘機が幾つも墜落する 。
墜落して 、燃える 。


一気に差をつけられた十二支サイド 。
このままやられてワンサイドゲームになるのか 、大逆転でハッピーエンドになるのか 。
戦はまだまだ終わらない 。

( 十二支-4 新・十二支-9 )
( 第六戦__終了 )
72:黒尾 [19/08/24 19:37:48] ID:4c1ff185

「 猿雷 、上___ !!! 」

再度 胡桃香の猛攻を受け続けていた猿雷には 、卯月の声に従って直ぐに上を向くことは難しかった 。
なにやらぶぅーーーん .. と騒がしく鳴るそれは 、飛行機 .. 否 、戦闘機だろうか 。
そしてその戦闘機がゆっくりと投下口を開けたら 次に起こることはすぐにわかった 。
「 避げるぞっ__ 」
そう言って周囲を見渡せば驚くことに 、四方八方 、電柱や建物を利用して 、てらてらと光る糸でとおせんぼされているのだった 。
最初 、ボールルームで見たあの糸だ 。
さっきまで近くに居たのだろうか 。
空からは時報代わりの塊がこのエリアだけに向けてタイミングはバラバラに 、大量に降ってくる 。
なすすべなく立ち尽くした猿雷を見れば卯月もこのあとの出来事を察する 。
何故だか自然と涙が溢れ出てきて 、最期 、「 亀一 … 」と呟いては 卯月と猿雷 、胡桃香 、その場にあった建物が

どっかーーーーん 、と 。


一気に吹っ飛んだ 。
71:黒尾 [19/08/24 19:21:50] ID:4c1ff185

青藍はその機内で薬の話を延々と続ける 。先程胡桃香に投与した薬のことだ 。
「 この毒はオリジナルで調合したの … 麻酔に少量の神経毒を混ぜて 、
それを相手に投与すると体は確実に動かなくなる 。 … で 、こっちのは … 」
それを業徒の声が遮った 。「 集中できない 」

この街とその付近は前前前記あたりに書いた通りに所々靄がかかっていて視界が遮られる 。
戦闘機も最新鋭のものではないようで 、レーダーや探知機能がついていない 。自家用ヘリの方が便利だったかもしれない 。
結局 、己が自力で敵の位置を探らなければならなかった 。
業徒は戦闘機の使えなさに酷く落胆した 。
「 … もうすぐ 落とす 」
そろそろ落とそう 。なんて考えればレバーに手をかける 。無人戦闘機ももうじき自動で効果を為すだろう 。
複数の戦闘機が固まって飛行しているのだ 。すぐに敵に見つかってしまう 。そんな焦りも 多少 、混じっていた 。

「 はい 、終了 」

レバーを引けば業徒はそう言った 。地上に居ない為に皆のリアクションを見ることができないのは残念だった 。
70:黒尾 [19/08/24 19:09:37] ID:4c1ff185

業徒や他の新・十二支もバカではない 。
ペアに固まっている十二支に正面から無策で勝負を挑もうなんて考えない 。本物のバカは例外だが 。
ならこちらがすべきことは複数以上の力で相手を一気にねじ伏せることだ 。
しかし 、それほど大きなことを成し遂げるには それほど大きなリスクが伴われる 。
地上で大きなことをしようとすれば 見つかって 始末される 。
建物の中で大きなことをしようとすればそれもすぐに見つかって 、始末される 。
なら 、見つかっても予知されても妨害が間に合わない所から攻撃するべきだ 。

__そんな訳で今 、業徒と茶々茉と青藍を乗せた戦闘機は 空を飛んでいる 。
.. その機体と 周囲を囲む様に飛んでいる無人戦闘機 に 大量の悪意を乗せながら 。

69:黒尾 [19/08/24 15:14:41] ID:4c1ff185
数分前 。

業徒は自家用ヘリから戦闘機に乗り換えた 。
久々に暴れられるのだから気分は上がっていてもおかしくはなかったが 、
己の座る操縦席の隣でぼそぼそとしゃべる茶々茉と青藍のせいで少し苛立ちも抱えていた 。
右のボタンを押せば複数の無人戦闘機も起動できる仕組みだ 。業徒は躊躇いなくそれを押した 。
やるならコソコソじゃなくて 大きいことしよう 。
業徒は隣の二人に「ちょっと、うるさい」と小声で制すと そのまま前を見た 。
これから起こる人工的なゲリラ豪雨に 十二支達は果たしてどんなリアクションをするだろうか 。そんな期待に胸を弾ませながら 。
68:黒尾 [19/08/23 11:51:58] ID:3e014fa8
「 はぁ?!」

卯月のその言葉は 、『もう話が通じない相手』と言う事と 『もう生かしておくのは断念しなければいけないと言う事を意味していた 。
己が 己の手で 己の仲間を ころす 。言ってしまうのは簡単だったが 実行するのは酷だった 。目の前で明らかに苦しんでいる仲間に刃を突き立てることなど 、できなかった 。
そして 、その動揺を利用して 胡桃香は猿雷の腕を掴み 、一本背負いすれば地面に押さえつける 。
卯月は 宙を舞ったところで猿雷の背中から離れ 、ころころと地面に転がった 。「 猿雷 ! 」
猿雷を押さえつけた胡桃香は 、そのまま猿雷の首に両手を伸ばす 。絞○するつもりか 。
全く身動きの取れない猿雷は 、ぎゅっと目を瞑った 。自分はここで味方にころされるのだと 。

しかし 、伸ばされた手は猿雷の首に触れる直前でピタリと止まった 。
違和感を覚えた猿雷は 、恐る恐る目を開けてみる 。すると 、胡桃香は 歯を食いしばって 、必死に手を抑えていた 。
若干の正気が戻ったのか 、胡桃香はさっきの様に荒ぶってはいなかった 。小さい声で 、とめて と言われた気がした 。
そのタイミングを見計らったのか 卯月が胡桃香に横から蹴りを入れる 。少し力の緩んだ隙に 猿雷がそこから脱出する 。
無意識に距離をとった猿雷は 、とめて 、と言われたことにひっかかっていた 。
何を止めれば良いのやら 。もしかして 、息の根を止めて 、とかそう言うのじゃないだろうな … なんて考えていれば 何かの動く音が聞こえて 上を見上げた 。

67:黒尾 [19/08/22 11:57:53] ID:b29be898
卯月は猿雷の背中にくっついて指示を出しているらしい 。「 右 、次は上に翔ぶ !それから左ストレート ! 」
しかし胡桃香の猛攻を受けている猿雷の背中に貼り付いていてはいずれ己もダメージを負う 。なんて考えれば短刀を取りだし 、もしもの場合に身構える 。

十二支同士が協力して戦うことがルール..というか絶対事項のこの戦いでは 、絶対に実現しないはずの 、垂涎の組み合わせだった 。…いや 、黄鶏と東雲の対峙もそうだが 。
( もっとも 、当事者としては 、厄介極まりないけどなっ __ )
両手に握る短刀の刃を胡桃香に向ける度に ずきり 、と心が痛む 。
しかし 、「 落ち着いて話をしよう 」と言ったとしても 聞いてくれそうな状態ではなかった 。
なぜなら彼女は明らかに正気を失い 、明らかに正体を失い 、明らかに何者かに 、その心身を弄ばれているからだ 。
荒い呼吸 、大きく開いて血走った目 、歯を剥いて襲いかかってくる彼女には何らかの 、取り返しのつかない処置が施されている 。
卯月は猿雷の肩越しに 、胡桃香の脚に針が刺さっているのを見た 。
「 だめだ猿雷 。胡桃香 、薬か毒でやられてる__ 」
66:黒尾 [19/08/22 11:44:32] ID:b29be898

そして現在 。

建物のみならず 、周囲のコンクリートごと掘り下げて移築されてきた 、摩天楼を想像するようなその街の中で 、繰り広げられているバトルがあった 。
日の光すら遮る様な高層建築物に囲まれており 、まるで誰かが住んでいるかのように周囲に放置されている自動車や自転車 、
バイクの転がる密集地帯での目にも止まらぬやり取りを観戦する人間は一人も居ないけれど 、しかしそれが惜しいと言わざるを得ないほどの好カードだった 。
__なにせ 、戦っているのは 、『申』の猿雷と 、あろうことか『丑』の胡桃香なのである 。
65:黒尾 [19/08/22 11:35:00] ID:b29be898

少し前 。

「 痛っ ! 」
胡桃香は黄鶏と別れた後 、そのまま交差点に一人で居座っていた 。
そんなときだ 。左脚に何か刺さった 。周囲に気配がないのを確認すると うずくまって 痛みを感じる場所を見る 。
小さい針が刺さっていた 。「 何これ 、! 」
ただの小さい針だ 。痛みもすぐに消えたし 、当然ながら 致命傷にも至らない 。引き抜いてぽいっとそこらへ捨てると 、立ち上がった 。

「 !? 」

突然 、視界がぐにゃりと歪む 。左脚に力が入らない 。左脚から崩れて 、気付いたら地面に伏せて倒れていた 。(何これ何これ何これ 。麻酔?麻酔としか考えようがない…あれ…)
そのまま意識が朦朧としてくれば 、がくん 、と頭を落とす 。
その時既に 、もう一発 、針が打たれていたのだが .. 彼女が気付かないのも 当然だった 。
64:黒尾 [19/08/22 11:22:44] ID:b29be898

「 この薬 ? … ああ 、これはねぇ 、投与した者の自我を奪って 、錯乱させるの 。… トラウマアリの十二支には 、 」
こうかはばつぐんだぁ 、なんて嬉しそうに笑う青藍を横目に 業徒は「 そう言うの 、やだ 」と呟く 。
しんと静まり返るその場の居心地の悪さに茶々茉は(鳥じゃなくて狸なのに__)なんて思いながら 、鳥肌の立つ腕をさする 。そして恐る恐る
「 … で 、いつ 効果が見られるんですか … ? それ … 」と聞いてみると 、青藍のいかにも寝不足な大きい瞳がこちらを向く 。

「 たぶんもうじき … アハハ ッ 」

青藍は乾いた声で笑った 。
63:黒尾 [19/08/22 11:16:52] ID:b29be898

なんで胡桃香だ ? と猿雷は首を傾げる 。しかしそれはすぐに理解した 。
十二支サイドで現在 ペアが居ないのは胡桃香だけ __故に 、胡桃香が狙われるリスクも高い 。
「 なるほどな 。じゃあ 、いくぞ !」
と 、地面を蹴って跳んで行く 。
62:黒尾 [19/08/22 10:02:36] ID:b29be898
【 第六戦:馬に乗るまでは牛に乗れ 】

『卯』の卯月をおぶってその街から外れた岩場を飛び回る『申』の猿雷は(今頃 、味方は大勢死んでいるんだろうな 。.. それにしても 、このフィールドは一体どこまで続いているのやら..)と考える 。
殺し合いが始まってはや一時間 。誰にも死んで欲しくはなかったが 、敵の進撃が続く限りは死者の数は増え続けるだろう 。
でもそれは敵も同じことだ 。そろそろ一人や二人は死にはじめている頃だろうか 。
そして 、卯月の視野の広さを利用して様々な場所を飛び回っていた猿雷は 、足を止める 。「 状況はどうだ ? 」
卯月は半分べそをかきかけながら 、唇を噛んでふるふると首を振る 。「 そうか 」
これで五人目だ 。敵の没者数を二人と仮定すると 、かなり押されている状況だとわかる 。
一回 、塊になって籠った方が良さそうだ 。「 一回 、集まろう 。.. 生存者の居場所は ? 」
「 最短距離は丑の方角に居る黄鶏たち 」だけど 、と卯月は続ける 。
「 胡桃香の所へ向かった方が良いと思う 」
61:黒尾 [19/08/22 9:22:34] ID:b29be898
寅 が力尽きたのを確認すると 「 あの 、」と背後の獅凰に呼ばれる 。

(大胆なことを思い付くな 、) と 影狼佐は思う 。
『 己が囮になって 影狼佐の力をできる限り最大限に近付ける 』。獅凰の負ったそれは致命傷に近かったらしい 。今己が発揮した力は七段階中で言えば六 、七段階目くらいの力だろうか 。
「 … なんだ 、 」と短く返事をすれば倒れたままの獅凰を振り返る 。彼は困った 、と言う風に笑っていた 。

「 腹に穴があいたんで 、動けないっす 」
続けてこう言った 。
「 なにか 、埋めるもんとか 、ないですかね ? 」

無い 。と言うか 、なにかで埋め合わせたとしても 絶対に助かりはしない 。腹に穴があいたのだから 。「 影狼佐 さんを 一人にしちゃいますね … 」
と笑った 。助からないのを知っていての冗談だったのか なんなのか 。
影狼佐は少し考え込むと 獅凰に背を向けて 歩いていった 。


「 … 一匹狼には 、慣れてる 」


( 十二支-7 新・十二支-9 )
( 第五戦__終了 )
60:黒尾 [19/08/21 20:11:57] ID:e430cb54

「 .. 何が手応えないじゃこのボケ!!!!!! シネ !!!! 」

正面からとびかかってきた皇虎を避けることなく獅凰の方もトドメを刺すべく攻撃の構えをとる 。「 結果は変わんないと思うっす 」
そして 、双方の拳が双方の身体の一部にそれぞれクリティカルヒットした瞬間 、とんでもないくらいの風が 風の音とは思えないくらいの轟音と共に発生した 。
さすがに獅凰も耐えられなくなったのかなんなのか 「 あとは任せたっす 」と 誰にともなく声をかける 。
そして 、皇虎の方も 本当に体力と気力を使いきってほぼ無心になっていた 。
故に 「 任された 」と言う小さな声に気が付かなかったのだった 。


ほんの数秒で風がおさまれば 、双方がその場同時に倒れ込んだ 。同じ体勢で 、同じ空を見上げながら 、同じ思いに浸っているだろうか 。
しかし 、ひとつだけ 違う光景があった 。
皇虎の視界に影ができた 。人が居る 。その人は静かに皇虎を見つめていたが やがてぽつりと呟く 。

「『狼』の『新・十二支』__影狼佐 … 前門の虎 、後門の狼って .. このことかな 」

そのまま皇虎の意識はプツリと途絶えた 。
59:黒尾 [19/08/21 19:58:27] ID:e430cb54
残った20%の気力が 眠りかけた皇虎を呼び戻した 。
目を開くと随分離れた場所から獅凰がこちらにゆっくり歩いてくる 。
それにしても力のこもった蹴りだ 。獅凰と己の距離は 大分離れていた 。
吹っ飛ばされた後 、この背もたれになっている大木に頭を打ち付けて気絶したらしい 。.. 背もたれと言うか 若干 半身埋まっている様にも見えるが 。
未だ頭の中がぎんぎんうるさい為 、獅凰が今 何を言ったのかは分からなかったがそれでも 、半身が埋まっているその大木に両手をついて 力任せに引き剥がす 。
腕の骨が折れていようがいまいがもう関係ない 。唸り声をあげながら 力の限りで大木から身を引き剥がすと 、
均衡感覚を失いすぎて二足歩行で歩くのを諦めたのか 、本物の虎のように四つん這いになる 。「 わあ 、虎 」
獅凰の方も段々速度を上げてこちらに近付いてくる 。「 さっきから全く手応え無いんすけど…まあ 形上は強い訳だから 、強いってことで良いんすよね 」
獅凰もトドメをさそうとしているらしい 。皇虎はもう限界だと軋む身体を 無視して 地面に食い込むくらい爪を立て 、目の前の百獣の王を睨み付ける 。
58:黒尾 [19/08/21 19:46:05] ID:e430cb54
皇虎は後ろに吹っ飛んだ 。顎部を強く蹴られた反動で脳が揺れる 。視界は白くなり 、ぼんやりとした光に包まれる 。
.. 聞いたことがある 。どんなに強い奴でも 、顎を決められたら終わりだと 。ああ 、終わったわ 。最後まで喧しい人生だったな 。
なんて 、半分 諦めて 、目を閉じかけた 。 .. が 、その時 、急に視界に景色が戻った 。
見覚えのある山奥の 、御堂 。そこに皆が居て 、笑ったり 、ケンカしたり 、皆でヘトヘトになって寝転んだり 。真ん中で 、仙人がいつも笑っていた 。
あー 。なんだかんだ 結構 、楽しかったな 。なんて物思いに耽っていればいつの間にか景色は変わっていた 。
目の前に 、仙人が現れた 。
『 御前は それで いいのかい ? 』
と言えば 皇虎の頭を撫でる 。そう言われればハッとした 。
俺は今 天敵とも言える奴にトドメをさされかけている訳で 、
その俺はと言うと さされる前に瀕死で諦めかけてる訳で 、
このまま死んだらアイツに『 ダッセー 』とか言われる訳で 。

「 良い訳ッ ねェだろ !!! 」

57:黒尾 [19/08/21 16:34:07] ID:e430cb54
(__参ったな) と 皇虎は思う 。
さっきから獅凰の攻撃を躱したり受け流したり 、防戦一方なのだ 。気力や体力の温存、回復を理由に攻撃手段をとっていなかったが 流石にこのままでは防御を削られて倒れるだけだ 。
何か隙をついて反撃しようかなんて考えるが 相手の行動はひとつひとつが本能的で 隙なんてそもそも無いにも等しかった 。
舌打ちすれば爪撃を飛んでのける 。「 __ッ 、」
着地すれば 傷口 を塞いでいなかったのが原因なのか 貧血症状みたいな風に眩暈がして ふらつく 。それに戸惑った隙を逆に突かれ 、
「 あれ ? もう終わりっすか ? 」と 、獅凰が皇虎の顎部に強烈な蹴りを一発 、叩き込んだ 。

くそが の「く」の字も声に出せず 、視界が半分 、白くなる 。
56:黒尾 [19/08/21 16:05:16] ID:e430cb54
… その頃 、畴視は豚沌と共に下水道に潜伏していた 。ここなら 、空間探知能力を持っている敵に見つかったとしても逃げられることだろう 。
こんな下民が這うような狭い空間にわざわざ護衛まで連れて潜伏しているのには理由があった 。
今 、畴視は未来予知をしている最中なのだ 。先ほどの羊楽の件に責任を感じているのか犯人を速く叩きのめしたいのか 、いつもうるさい畴視はずっと黙り込んでいる 。
豚沌も畴視が真剣なことを察したのか 黙って周囲を警戒する 。
「 …×…×……だめだ 」クソッ、クソッ、とうつむいて舌打ちする畴視 。予知の結果が出たのだろうか 。豚沌は「 出たか 」と 訪ねる 。


「 __ だめだ 、全員しぬ 」

55:黒尾 [19/08/10 16:31:18] ID:3c297c3f

黄鶏が来るまで皇虎と獅凰は確かにそこに居たのだが 、何故だか直前に移動をしていた 。
今 、彼らが居るのは 海岸から徒歩でたどり着けそうなくらいの 小さな森林だった 。

「 あー 、やっぱりそっちの味方の人達みたいっす 。移動しなくて良かったかもしんないっすね 。 」獅凰は 距離をとって対峙している皇虎に言った 。
「 でも 強そうな人との戦いはじっくり時間をかけて終わらせるのが一番良いと思いません ? 」
余裕なのかおしゃべりなのか 、にこりと笑いながらぺらぺら喋る獅凰に皇虎は思わず「 思わねえよバカ野郎 」と言ってしまいそうになったが ぐっと堪えた 。
己が相手に攻撃をしかけようとした時 、唐突に首を掴まれてここまで連れてこられたのである 。移動中 相手のボディを殴ってやりたかったがしかし 首を掴まれていたため 、手に力が入らない 。
到着するまでに少しでも体力を温存しようと 無抵抗のままここまで来たのだった 。
( それでも勝率はそこそこ低めだな _ )
どうやってコロそうか 。気力がなくなる前に なんとかせねば 。と思っている皇虎の今の気力は 100%中で言うと 、もう20%にも満たないのだった 。
54:黒尾 [19/08/10 15:18:20] ID:3c297c3f

「 __ 黄鶏 」

振り返ったらそこには 馬者丸が居た 。
どこで拾ったのか 、 流浪の切断されたらしい腕を持っていた 。「 この砂浜に来る時に 落ちていたのを見つけて 拾ってきた 」
黄鶏も馬者丸のことを察して「 … そう 、 」とだけ返し 海を見た 。
馬者丸もまた なんとも言えない表情で その断面の 切り口が綺麗な腕を見つめてうつむいていた 。



ついさっきのことだ 。黄鶏が先に海岸付近へ行った為 馬者丸もそれを追い掛けて走っていた 。
海岸へ来ると 、浜辺に黄鶏が居るのがわかった 。.. その傍には 、なにやら赤い .. 誰かの死体もあるようだ 。
彼方へ向かわなければ 。なんて思って走ろうとすると 海岸の少し先に なにかが落ちていた 。
近付いてみるとそこらは地面に血が染み付いていて 、誰かの肉片の様な物も飛散していた 。 地面についた血痕は黄鶏の居るところまで繋がっているみたいだ 。
そして 、その落ちていたなにかを見て 馬者丸は一瞬 、体の力が抜ける気がした 。それは腕だった 。しかしただの腕ではなかった 。
金色の腕輪のしてある若干色白なそれは 、自分の大切だと思う人のものだった 。

53:黒尾 [19/08/09 21:59:44] ID:ec81d3bf

( __ このあたりは”靄”が少ないな 。 ) 黄鶏は海岸の見える辺りを飛行していた 。視界を阻む物体が街中より少なくなっている 。
しかしまた見晴らしの良くなったそこで 、見たくなかったものまで見てしまった 。
あれは確か 味方の .. そのままゆっくり下降して 着地 。
やはり 流浪__の死体 だ 。出欠多量で死亡した様に見えたそれは 、あまりこう言うのを見ても驚かない黄鶏でも一瞬 、目をそらしたいと思う程に惨い仕打ちを受けたみたいだ 。
少しの間 なんとも言えない顔でそれを見つめた 。あいつがこれを見たらなんて反応するだろうか 。
「 勝手に死ぬとかバカかな 、こいつは 」
しかし黄鶏は眉間にしわを作る 。流浪のものとは異なる血の匂いがしたはずなのに 、自分が降り立った時には誰も居なかった 。( 逃げられた ? .. そんな筈はないと思うけど )

黄鶏が流浪を発見した時は既に皇虎や獅凰の姿はなく 、黒白転と八咫の死体も波にさらわれていっていたのだ 。

52:黒尾 [19/08/09 9:46:37] ID:ec81d3bf
【 第五戦:前門の虎 後門の狼 】

「『寅』の『十二支』__ 、」

倒れ込んだ流浪を間にはさんで 、『寅』と『獅子』が対峙する 。
しかし皇虎の本能は名乗りきる前に 「 今戦ったら負ける 」と察してしまった 。相手のコンディションは恐らく最高に近い 。
対してこちらは鳩尾がまだびりびりするし腹を負傷 、流血 の重傷に近い中傷である 。黒白転達との戦いで無理矢理な空中動作をしすぎて全身軋んで仕方ない 。
それに加えて味方が目の前で死んだのだから 精神的にもキている 。
だが背中を見せて逃げるとかそう言う情けないことはしたくない 。ヘンなプライドだな 。自分でもわらけてくる 。
「 戦んないんすか ? 」物思いに耽っていると 獅凰が痺れを切らして話しかけてきた 。
「 あ” ? 殺るわしゃべんな 」とは言ったものの 、強敵(であろう)相手と怪我持ちの自分 、どう考えても自分に勝ち目なんて なかった 。それでもぐっ と拳に力を込める 。


『 俺がいなきゃ てめぇは __ 』


51:黒尾 [19/08/08 23:07:36] ID:066681f2
【 »誤字« 】
50»「9」ってなんすか「)」ですよこん畜生()
50:黒尾 [19/08/08 20:21:49] ID:066681f2
 
「 ドラゴンの肉とか 、食ったことないっす … 毒味します ? __ あ 、

『獅子』の『新・十二支』__ 獅凰 」


獅凰が流浪の身体から手を抜くと 、流浪はそのまま膝から崩れ落ちた 。
一応 まだ息はあるが 、もうすぐに死ぬだろう 。
「 クソ獅子手前 … !! 」
ぐるるる … なんてホンモノの虎のように唸るのは皇虎だ 。最も忌み嫌っている相手に遭遇してしまった 。

流浪と皇虎の活躍により 、ダブルスコアをとり 一瞬だけ 逆転の可能性が見えたがしかし
前線の一角が死んでしまい 未だコールド負けなのは変わらないのだった 。

( 十二支ー8 新・十二支ー10 )
( 第四戦__終了 9
49:黒尾 [19/08/08 16:39:21] ID:066681f2

静まり返った海岸 。流浪と皇虎はそれぞれ新・十二支の黒白転と八咫をかついで渚まで歩いてきた 。運んできた死体を渚に下ろすと 、溜まりに溜まった疲労に耐えられず 皇虎はそのまま寝転がる 。
流浪も己が疲れていたのか皇虎のことを考えてだか 、「 ちょっとの間ここで体冷やそうぜ 」と言った 。
( つーか 、 )「 … こんな物騒な事して 旦那は喜ぶンかなァ 」「 は ? 」
流浪が 心の中で呟こうと思っていたそれは 、無意識に声に出ていたみたいだ 。皇虎は立っている流浪を横目で見上げ 、また空に視線を逸らす 。
「 … 俺様だってわかんねェ 。 」 この死んでる二人を見てると段々 、己が戦ってる理由がわからなくなってしまった 。仇を討つとかそう言うのは本当に建前だったのだろうか 。
「 別にここまでする必要 なかったンかもな 」なんて言えばぼーっと空を見上げる 。
「 … 」そろそろ戻るか 、と 言おうとした流浪の体に 、鋭い何かが 突き刺さる感覚があった 。
「 … げほ 、 」口から血液が滴る 。突然のことに膝の力が抜けた 。
柄でもなく「 逃げろ 」と 、己を見上げて硬直した皇虎に言いたかったが 哀しいことにそれは叶わなかった 。
体に刺さった何かが そのまま体内をぐしゃぐしゃに抉る様に動く為 、嗚咽みたいなのしか出せず 、喉の奥からひたすらに体内の肉やら血液やらがせり上がってくる 。
痛い 。かなり痛い 。息ができない 。落ち着け 、冷静に考えろ 。今体に刺さってるのはなんだ 。牙か 。爪か 。ミキサーか 。なんだ 。
頭が真っ白になった時 、犯人は名乗りあげた 。
48:黒尾 [19/08/08 16:08:19] ID:066681f2
「 冗談キツいなマジで ッ … !! 」
暗転したあの一瞬で左腕が切り離されたらしい 。一瞬 、肩が軽くなって そのあとから激痛が走る 。
ふざけるな__いや 、それを言うなら他の皆も同じ気持ちだろうが 。
血液が流れすぎるのを防ぐため 傷口を腰に巻いていた布と手でおさえれば 空を蹴って 、無理矢理距離を取る 。皇虎の方も腹に刃が刺さったまま同じ行動に出た 。「 ぐ … 抜けねックソ !! 」
あっちはどうだ 。( 立ち上がられちゃ 、もうどうしよーもねぇや )
… しかし 、新・十二支の二人が立ち上がる様子はなかった 。片方は脳天直撃で頭部を潰され 、もう片方は心臓を抉られている 。
「 勝ったな ァ .. ? 」左腕に布を包帯みたく巻きつければ流浪は皇虎の方へ寄っていく 。そのまま皇虎の腹に刺さった刃を握れば「 動くなよ 」と言った 。
「 あ”ぁ .. 楽勝つったろクソ野郎__がッ ?! 」
無理矢理だ 。流浪は皇虎が喋りかけたにも関わらず 容赦なく刃をひっこぬいた 。お蔭で皇虎は腹を抑えて悶絶している 。「 やっぱ手前もコロす … 」「 はァん 、やってみろや 」
47:黒尾 [19/08/08 15:48:24] ID:066681f2
..


黒白転の視界には 、先程投擲された槍が映りこんだ 。( … あれだ )
間もなく十二支の特攻型の二人が此方にまとめてかかってくるだろう 。
後ろにくっつく様に隠れている八咫に合図を送れば黒白転は目の前の十二支の二人に向かって駆け出していく 。
「 来るぜ 」「 ぶッころしてやらァ .. ! 」皇虎と流浪も此方に向かって特攻してくる 。( 殺気に満ち溢れてて怖いな … ) しかしビビってはいられない 。

__確かな情報かは解らないがパンダって強いって言われていた気がする 。

ならこんなネコの巨大化したみたいな奴と存在すらはっきりしてないような空想生物に負けるハズはないだろう 。
双方が距離を詰めたその時 。八咫以外の全員の視界が暗転した 。
「 なァるほど 」先程皇虎が吹っ飛ばされたのはこれか 。と流浪は納得する 。
( .. 見えなくたッて 、ニオイとか聴覚で分かるんだけどよ .. なんだ 、案外余裕じゃね ? )
皇虎の方も 、さすがに同じ手で敗れると言うことはないだろう 。敵の脳天に拳でもぶち込んでトドメを刺すだろうか 。
肉の切れる音と 、肉の潰れる音と 、肉に刺さる音が重なって聞こえた 。ちょうどその時 、視界は元通りになったが 。

「 ぉ … 」「 __ッ !? 」「 うそ … 」

八咫の脳天に拳を御見舞いしている皇虎の腹には八咫の折れた刃が 。

黒白転の鳩尾上..心臓あたりを抉った流浪の左腕は 、黒白転が拾っていた流浪の槍にそのまま切り落とされた 。

46:黒尾 [19/08/08 12:43:09] ID:066681f2

流浪は肩を鳴らす 。
「 いやァ 、てめぇを使って敵の戦略を見てたわけだから 、動けなかったってこと__ 」なんて言えば皇虎が黙ってはいそうですかと納得するわけがなく 。
「 はぁ!?!? 俺様を実験台にしてたんか手前 !!!! 」案の定 、キレる 。
「 でも俺がいなきゃてめぇは今頃三度目の鳩尾負傷してたかんなァ 、感謝しろよ 」皇虎は流浪が何を言うでもなく唐突に槍を投げたのを思い出す 。
ああ 、あの時踏み台を作ったのはそう言うことか 。皇虎は「 頼んでねェのに余計なことすんなシネ助かったわクソ野郎 」と 舌打ちする 。
あの投擲がなければきっと 接近しすぎて逆に間合いを詰められ 、また鳩尾を痛めるところだった 。
機転なんてそんなに利かないクセして妙に慎重派なこいつが腹立つ 。
しかし 流浪は眉を潜めた 。( ただ 、槍がもう手元にねぇからなァ 。遠くからの援護は無理ってワケだ )
「 さてさて 、動物園の人気者と住宅街の荒くれ者 __ 両方唐揚げにして食ってやろうや 」うし ! と声を張れば 前屈みになって 。
皇虎もそれに続く 。「 唐揚げは鶏肉野郎の特権だろうが !! ボケ !!! 」
45:黒尾 [19/08/08 12:01:17] ID:066681f2
 
八咫は咄嗟に降ってきた皇虎の攻撃を回避するべく拳に刃を突き立てた 。
「 くそが !!!! 」一撃で仕留めようと思っていたのに 、避けられてしまった 。拳に突き刺さった刃の破片を引っこ抜きつつ 、棍棒で突かれる前に 宙で体勢をひねる。
黒白転の頭を踏み台として軽く踏んづけ 定位置に戻り 、敵と距離をとる 。
なんとか会心の一撃は避けたが 、刃が折れてしまった 。八咫は「 ああー … 」と 、黒白転を見上げる 。
「 え … 」「 がんばれ ! 」「 え ?! 」「 サポートはするから ! 」ちょ、それはむりだよ と猛抗議する黒白転 。なんとか彼にも頑張ってもらわないと 。
頭を悩ます黒白転の視界に 、転がる槍が映った 。「 …あれだ 」

皇虎は隣で腕を組んでいる流浪を睨む 。「 手前 、戦う気あんのか 」 さっきから彼は全く動いていない 。まるで己が流浪の代わりに動いているみたいではないか 。
流浪は罰の悪そうな顔で 、「 バレたか 」と にたぁ 、と笑う 。


44:黒尾 [19/08/08 11:34:50] ID:066681f2
 
黒白転の視界から皇虎が消えた 。

というか 、黒白転の視界が真っ暗になった 。
慌てたのは黒白転の後ろに隠れていた八咫だ 。急接近してきたと勘違いして 、己の能力を発動させてしまった 。
己の周囲を暗闇に包み込むそれは 、敵が周囲に踏み込んで初めて意味(効果)を成すのだが__

皇虎はあろうことか 、”真上”に飛んだ 。

鳩尾に喰らったクリティカルヒットがそんなに応えたのか 。しかしそうではなかった 。「 どこ見てんだ 、ボケェ !!! 」
八咫が真上を見上げると 、皇虎がこちらに向かって落下してきているのだった 。「 え__! 」

43:黒尾 [19/08/08 11:25:47] ID:066681f2
 
「『寅』の『十二支』__ 皇虎 」
「『辰』の『十二支』__ 流浪 」 

威勢よく名乗れば二人同時に飛び出していく 。「 先にどっちか狩れた方が最強な 」「 は?楽勝だわシネ 」なんて言う彼等には緊張感が無いらしい 。
おまけに息ピッタリな名乗り 。「 仲良し 」と黒白転が呟けば「 あ”!? 」と二人 声を揃えて叫ぶ 。
流浪が黒白転と八咫めがけて手に持った槍を投擲した 。しかし距離が 凡そ20m以上離れたそこからでは 、標的をまとめて貫通させることは不可能だ 。
失礼ながらこいつバカなのか 、なんて思ってしまった黒白転は 数拍後 、それが意図的に行われたのを悟る 。
それを 皇虎が踏み台にした 。一気に間合いをつめる気だろうか 。それならそれでこちら的に都合が良い__が 、違ったようだ 。



42:黒尾 [19/08/07 17:27:39] ID:6c9d1f17
「 今の内に普通のフライドチキンにされるのが良いかスパイシーチキンにされるのが良いか選ばせてやるから選べ 」
「 チキンはカシワの特権だろうが 」「 うるッッせぇな じゃあドラゴンフライにしてやろうか 」「 なにそれ超かっけえ(笑) 」「 手ッ前 … 」

そんな仲睦まじい会話を見届けながら黒白転は思った 。( もしかしてだけど … 存在 忘れられてるのでは …… ? ) と 。
すると 八咫が同じく退屈していたのかその気持ちを代弁するように
「 さっさと来いよ雑魚共ー!ばーかばーか!やーいやーい!! 」と 黒白転の背後で楽しそうに跳び跳ねる 。「 ちょ … !! 」

「 あ” … ?? 誰に向かって雑魚つったコラァ … 手前は笹揚げにしてやらぁ 」と皇虎 。味方にも敵にも貶されて怒り心頭である 。流浪の方も
「 おう 、てめぇみたいなクソ生意気な野郎大好きだぜぶっころす 」と 満面の笑みで告げる 。
八咫はまるで先程の己の発言を黒白転が言ったかの様に「 ほら 、そんなこと言うから怒ったじゃん … 」
と言いたげな顔で彼を見上げ 、その黒白転が顔面蒼白になっているのを見て必死に笑いをこらえる 。「 あ 、無理なやつだしぬ … 」



「『寅』の『十二支』__ 皇虎 」
「『辰』の『十二支』__ 流浪 」
41:黒尾 [19/08/07 17:03:51] ID:6c9d1f17

視界が元通りになるといつの間にか己はその黒白転とやらの懐まで飛んできていた 。
そして戸惑った一瞬の隙を突かれ 、 容赦なく 鳩尾に棒の様なものが叩き込まれる 。本日二度目の鳩尾負傷 、今度はクリティカルヒットだ 。完璧に決まった 。
そのまま軽く元居たところまで吹っ飛ばされれば 「 う”ォ”ェ” … ゲホッ 、何ッだアイツ … !? 」と 口から胃液を吹き出す 。
見れば黒白転は棍棒を持っている 。此方はほぼ素手と言うのに 、それはセコではないか 。… とは言わず 。
隣を見上げれば「 ほらな 」と言った顔の流浪が腰を低く落とし 、槍を片手に構えている 。「 あれあれェ ? 皇虎サァン ?? もう天に召されるんですかァ ? __ダッセw 」
「 あ"?!?! 誰がしぬっつった寝言は寝て言えこん畜生が .. !! 」皇虎の額にピキッと青筋か浮かぶのが分かった 。
ああ 、こいつほんとに扱い易いな 。なんて思いながら笑っていると 若干よろけつつ 立ち上がる相手に胸ぐらをつかまれた 。
「 あいつらノしたら手前もころしてやるかンな … 覚悟しとけ 」

「 上等だぜ 」

40:黒尾 [19/08/07 16:46:16] ID:6c9d1f17

「 な … 何も見てないと思う … はい ……… いや 、ちょっと見てたけど … 」

立ち止まり 、焦ったようにぼそぼそと弁解を始める彼は敵らしい 。なんだこのデカくてヒョロっちいのは 。鼻を鳴らせば皇虎は彼に怒鳴り付ける。
「 あ”?!!! 何言ってんのか全然聞こえねーんだよ !! もっとでけぇ声で喋りやがれくそ野郎 !!! 手前みてぇなウジウジした野郎がコイツの次に嫌いなンだよぶっころしてやらぁ ! 」
流浪は苦笑する 。「 軽く俺にも喧嘩売ってくれたな野獣よ … 何も考えずに飛び出すんじゃァねぇぞ 、罠があるかもしんね___ 」
心優しい忠告空しく 、案の定 皇虎は考えるより先に 目の前のそのヒョロっちい挙動不審な白黒野郎に突貫していった 。「 人の話ちゃんと聞けや !! 」
しかし 、皇虎がその白黒野郎との距離およそ半径11mに近付き 、間合いに入ろうと脚を踏み込んだ時 、視界は唐突に真っ黒になった 。「 はぁ !?!? 」


「『熊猫』の『新・十二支』… 黒白転 」
「『烏』の『新・十二支』__八咫 」


39:黒尾 [19/08/07 16:23:51] ID:6c9d1f17

「 あーそれ今気付いたか … まァそう言うこった 。 」流浪も苦笑しては鳩尾をさする 。
なんせ彼は半分素肌な訳で 、おまけに鳩尾部分なんて布一枚も装備してない状態で殴られた訳で 、本当を言えばあの時ゲロを吐いていてもおかしくなかったんじゃないかなんて考える 。
「 … でもそれ手前の都合だろ 」じと … と相手を睨む 。「 ありゃ 、バレた ? 」なんて言う彼に「 バレバレだわボケ 」と言って足を踏んづけてやる 。
声は笑いつつも鈍い声を出してうずくまる彼を見下ろしながら「 … 別に 今回ばかりは手前の好きにさせてやってもいーけどよ 」と 言う 。初めて見下ろせた 。なんて言う優越感に浸っているのも束の間 。
流浪はにこにこしながら立ち上がると 皇虎の額に「メキッ」と音が鳴るくらいのデコピンをかます 。能力を使用したらしい 。足を踏むのも攻撃に入るのか 。
「 これでイーブンよなぁ 」にたにたと笑うそれはまるで鬼だ 。
少し赤くなった額をおさえつつ 、イーブンじゃねェよこンのクソが殴らせろ!! 、と言いたかったがそれは敢えてのみこんだ 。
目の前から歩いてきたそいつに今の会話を一部始終見られていたらしい 。


「 何見てんだよぶっころすぞコラ … !! 」

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