コメント数: 73, 小説 ID: n289
【二十四獣伝】_本編開戦_ / 黒尾

【二十四獣伝】_本編開戦_ / 黒尾

(19/08/03 16:33:17) [ID: 6485d351]
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73:黒尾 [19/08/24 19:45:05] ID:4c1ff185

跡形もなくなって平たい土地となったそこに せめてもの誂え物としてか 無人の戦闘機が幾つも墜落する 。
墜落して 、燃える 。


一気に差をつけられた十二支サイド 。
このままやられてワンサイドゲームになるのか 、大逆転でハッピーエンドになるのか 。
戦はまだまだ終わらない 。

( 十二支-4 新・十二支-9 )
( 第六戦__終了 )
72:黒尾 [19/08/24 19:37:48] ID:4c1ff185

「 猿雷 、上___ !!! 」

再度 胡桃香の猛攻を受け続けていた猿雷には 、卯月の声に従って直ぐに上を向くことは難しかった 。
なにやらぶぅーーーん .. と騒がしく鳴るそれは 、飛行機 .. 否 、戦闘機だろうか 。
そしてその戦闘機がゆっくりと投下口を開けたら 次に起こることはすぐにわかった 。
「 避げるぞっ__ 」
そう言って周囲を見渡せば驚くことに 、四方八方 、電柱や建物を利用して 、てらてらと光る糸でとおせんぼされているのだった 。
最初 、ボールルームで見たあの糸だ 。
さっきまで近くに居たのだろうか 。
空からは時報代わりの塊がこのエリアだけに向けてタイミングはバラバラに 、大量に降ってくる 。
なすすべなく立ち尽くした猿雷を見れば卯月もこのあとの出来事を察する 。
何故だか自然と涙が溢れ出てきて 、最期 、「 亀一 … 」と呟いては 卯月と猿雷 、胡桃香 、その場にあった建物が

どっかーーーーん 、と 。


一気に吹っ飛んだ 。
71:黒尾 [19/08/24 19:21:50] ID:4c1ff185

青藍はその機内で薬の話を延々と続ける 。先程胡桃香に投与した薬のことだ 。
「 この毒はオリジナルで調合したの … 麻酔に少量の神経毒を混ぜて 、
それを相手に投与すると体は確実に動かなくなる 。 … で 、こっちのは … 」
それを業徒の声が遮った 。「 集中できない 」

この街とその付近は前前前記あたりに書いた通りに所々靄がかかっていて視界が遮られる 。
戦闘機も最新鋭のものではないようで 、レーダーや探知機能がついていない 。自家用ヘリの方が便利だったかもしれない 。
結局 、己が自力で敵の位置を探らなければならなかった 。
業徒は戦闘機の使えなさに酷く落胆した 。
「 … もうすぐ 落とす 」
そろそろ落とそう 。なんて考えればレバーに手をかける 。無人戦闘機ももうじき自動で効果を為すだろう 。
複数の戦闘機が固まって飛行しているのだ 。すぐに敵に見つかってしまう 。そんな焦りも 多少 、混じっていた 。

「 はい 、終了 」

レバーを引けば業徒はそう言った 。地上に居ない為に皆のリアクションを見ることができないのは残念だった 。
70:黒尾 [19/08/24 19:09:37] ID:4c1ff185

業徒や他の新・十二支もバカではない 。
ペアに固まっている十二支に正面から無策で勝負を挑もうなんて考えない 。本物のバカは例外だが 。
ならこちらがすべきことは複数以上の力で相手を一気にねじ伏せることだ 。
しかし 、それほど大きなことを成し遂げるには それほど大きなリスクが伴われる 。
地上で大きなことをしようとすれば 見つかって 始末される 。
建物の中で大きなことをしようとすればそれもすぐに見つかって 、始末される 。
なら 、見つかっても予知されても妨害が間に合わない所から攻撃するべきだ 。

__そんな訳で今 、業徒と茶々茉と青藍を乗せた戦闘機は 空を飛んでいる 。
.. その機体と 周囲を囲む様に飛んでいる無人戦闘機 に 大量の悪意を乗せながら 。

69:黒尾 [19/08/24 15:14:41] ID:4c1ff185
数分前 。

業徒は自家用ヘリから戦闘機に乗り換えた 。
久々に暴れられるのだから気分は上がっていてもおかしくはなかったが 、
己の座る操縦席の隣でぼそぼそとしゃべる茶々茉と青藍のせいで少し苛立ちも抱えていた 。
右のボタンを押せば複数の無人戦闘機も起動できる仕組みだ 。業徒は躊躇いなくそれを押した 。
やるならコソコソじゃなくて 大きいことしよう 。
業徒は隣の二人に「ちょっと、うるさい」と小声で制すと そのまま前を見た 。
これから起こる人工的なゲリラ豪雨に 十二支達は果たしてどんなリアクションをするだろうか 。そんな期待に胸を弾ませながら 。
68:黒尾 [19/08/23 11:51:58] ID:3e014fa8
「 はぁ?!」

卯月のその言葉は 、『もう話が通じない相手』と言う事と 『もう生かしておくのは断念しなければいけないと言う事を意味していた 。
己が 己の手で 己の仲間を ころす 。言ってしまうのは簡単だったが 実行するのは酷だった 。目の前で明らかに苦しんでいる仲間に刃を突き立てることなど 、できなかった 。
そして 、その動揺を利用して 胡桃香は猿雷の腕を掴み 、一本背負いすれば地面に押さえつける 。
卯月は 宙を舞ったところで猿雷の背中から離れ 、ころころと地面に転がった 。「 猿雷 ! 」
猿雷を押さえつけた胡桃香は 、そのまま猿雷の首に両手を伸ばす 。絞○するつもりか 。
全く身動きの取れない猿雷は 、ぎゅっと目を瞑った 。自分はここで味方にころされるのだと 。

しかし 、伸ばされた手は猿雷の首に触れる直前でピタリと止まった 。
違和感を覚えた猿雷は 、恐る恐る目を開けてみる 。すると 、胡桃香は 歯を食いしばって 、必死に手を抑えていた 。
若干の正気が戻ったのか 、胡桃香はさっきの様に荒ぶってはいなかった 。小さい声で 、とめて と言われた気がした 。
そのタイミングを見計らったのか 卯月が胡桃香に横から蹴りを入れる 。少し力の緩んだ隙に 猿雷がそこから脱出する 。
無意識に距離をとった猿雷は 、とめて 、と言われたことにひっかかっていた 。
何を止めれば良いのやら 。もしかして 、息の根を止めて 、とかそう言うのじゃないだろうな … なんて考えていれば 何かの動く音が聞こえて 上を見上げた 。

67:黒尾 [19/08/22 11:57:53] ID:b29be898
卯月は猿雷の背中にくっついて指示を出しているらしい 。「 右 、次は上に翔ぶ !それから左ストレート ! 」
しかし胡桃香の猛攻を受けている猿雷の背中に貼り付いていてはいずれ己もダメージを負う 。なんて考えれば短刀を取りだし 、もしもの場合に身構える 。

十二支同士が協力して戦うことがルール..というか絶対事項のこの戦いでは 、絶対に実現しないはずの 、垂涎の組み合わせだった 。…いや 、黄鶏と東雲の対峙もそうだが 。
( もっとも 、当事者としては 、厄介極まりないけどなっ __ )
両手に握る短刀の刃を胡桃香に向ける度に ずきり 、と心が痛む 。
しかし 、「 落ち着いて話をしよう 」と言ったとしても 聞いてくれそうな状態ではなかった 。
なぜなら彼女は明らかに正気を失い 、明らかに正体を失い 、明らかに何者かに 、その心身を弄ばれているからだ 。
荒い呼吸 、大きく開いて血走った目 、歯を剥いて襲いかかってくる彼女には何らかの 、取り返しのつかない処置が施されている 。
卯月は猿雷の肩越しに 、胡桃香の脚に針が刺さっているのを見た 。
「 だめだ猿雷 。胡桃香 、薬か毒でやられてる__ 」
66:黒尾 [19/08/22 11:44:32] ID:b29be898

そして現在 。

建物のみならず 、周囲のコンクリートごと掘り下げて移築されてきた 、摩天楼を想像するようなその街の中で 、繰り広げられているバトルがあった 。
日の光すら遮る様な高層建築物に囲まれており 、まるで誰かが住んでいるかのように周囲に放置されている自動車や自転車 、
バイクの転がる密集地帯での目にも止まらぬやり取りを観戦する人間は一人も居ないけれど 、しかしそれが惜しいと言わざるを得ないほどの好カードだった 。
__なにせ 、戦っているのは 、『申』の猿雷と 、あろうことか『丑』の胡桃香なのである 。
65:黒尾 [19/08/22 11:35:00] ID:b29be898

少し前 。

「 痛っ ! 」
胡桃香は黄鶏と別れた後 、そのまま交差点に一人で居座っていた 。
そんなときだ 。左脚に何か刺さった 。周囲に気配がないのを確認すると うずくまって 痛みを感じる場所を見る 。
小さい針が刺さっていた 。「 何これ 、! 」
ただの小さい針だ 。痛みもすぐに消えたし 、当然ながら 致命傷にも至らない 。引き抜いてぽいっとそこらへ捨てると 、立ち上がった 。

「 !? 」

突然 、視界がぐにゃりと歪む 。左脚に力が入らない 。左脚から崩れて 、気付いたら地面に伏せて倒れていた 。(何これ何これ何これ 。麻酔?麻酔としか考えようがない…あれ…)
そのまま意識が朦朧としてくれば 、がくん 、と頭を落とす 。
その時既に 、もう一発 、針が打たれていたのだが .. 彼女が気付かないのも 当然だった 。
64:黒尾 [19/08/22 11:22:44] ID:b29be898

「 この薬 ? … ああ 、これはねぇ 、投与した者の自我を奪って 、錯乱させるの 。… トラウマアリの十二支には 、 」
こうかはばつぐんだぁ 、なんて嬉しそうに笑う青藍を横目に 業徒は「 そう言うの 、やだ 」と呟く 。
しんと静まり返るその場の居心地の悪さに茶々茉は(鳥じゃなくて狸なのに__)なんて思いながら 、鳥肌の立つ腕をさする 。そして恐る恐る
「 … で 、いつ 効果が見られるんですか … ? それ … 」と聞いてみると 、青藍のいかにも寝不足な大きい瞳がこちらを向く 。

「 たぶんもうじき … アハハ ッ 」

青藍は乾いた声で笑った 。
63:黒尾 [19/08/22 11:16:52] ID:b29be898

なんで胡桃香だ ? と猿雷は首を傾げる 。しかしそれはすぐに理解した 。
十二支サイドで現在 ペアが居ないのは胡桃香だけ __故に 、胡桃香が狙われるリスクも高い 。
「 なるほどな 。じゃあ 、いくぞ !」
と 、地面を蹴って跳んで行く 。
62:黒尾 [19/08/22 10:02:36] ID:b29be898
【 第六戦:馬に乗るまでは牛に乗れ 】

『卯』の卯月をおぶってその街から外れた岩場を飛び回る『申』の猿雷は(今頃 、味方は大勢死んでいるんだろうな 。.. それにしても 、このフィールドは一体どこまで続いているのやら..)と考える 。
殺し合いが始まってはや一時間 。誰にも死んで欲しくはなかったが 、敵の進撃が続く限りは死者の数は増え続けるだろう 。
でもそれは敵も同じことだ 。そろそろ一人や二人は死にはじめている頃だろうか 。
そして 、卯月の視野の広さを利用して様々な場所を飛び回っていた猿雷は 、足を止める 。「 状況はどうだ ? 」
卯月は半分べそをかきかけながら 、唇を噛んでふるふると首を振る 。「 そうか 」
これで五人目だ 。敵の没者数を二人と仮定すると 、かなり押されている状況だとわかる 。
一回 、塊になって籠った方が良さそうだ 。「 一回 、集まろう 。.. 生存者の居場所は ? 」
「 最短距離は丑の方角に居る黄鶏たち 」だけど 、と卯月は続ける 。
「 胡桃香の所へ向かった方が良いと思う 」
61:黒尾 [19/08/22 9:22:34] ID:b29be898
寅 が力尽きたのを確認すると 「 あの 、」と背後の獅凰に呼ばれる 。

(大胆なことを思い付くな 、) と 影狼佐は思う 。
『 己が囮になって 影狼佐の力をできる限り最大限に近付ける 』。獅凰の負ったそれは致命傷に近かったらしい 。今己が発揮した力は七段階中で言えば六 、七段階目くらいの力だろうか 。
「 … なんだ 、 」と短く返事をすれば倒れたままの獅凰を振り返る 。彼は困った 、と言う風に笑っていた 。

「 腹に穴があいたんで 、動けないっす 」
続けてこう言った 。
「 なにか 、埋めるもんとか 、ないですかね ? 」

無い 。と言うか 、なにかで埋め合わせたとしても 絶対に助かりはしない 。腹に穴があいたのだから 。「 影狼佐 さんを 一人にしちゃいますね … 」
と笑った 。助からないのを知っていての冗談だったのか なんなのか 。
影狼佐は少し考え込むと 獅凰に背を向けて 歩いていった 。


「 … 一匹狼には 、慣れてる 」


( 十二支-7 新・十二支-9 )
( 第五戦__終了 )
60:黒尾 [19/08/21 20:11:57] ID:e430cb54

「 .. 何が手応えないじゃこのボケ!!!!!! シネ !!!! 」

正面からとびかかってきた皇虎を避けることなく獅凰の方もトドメを刺すべく攻撃の構えをとる 。「 結果は変わんないと思うっす 」
そして 、双方の拳が双方の身体の一部にそれぞれクリティカルヒットした瞬間 、とんでもないくらいの風が 風の音とは思えないくらいの轟音と共に発生した 。
さすがに獅凰も耐えられなくなったのかなんなのか 「 あとは任せたっす 」と 誰にともなく声をかける 。
そして 、皇虎の方も 本当に体力と気力を使いきってほぼ無心になっていた 。
故に 「 任された 」と言う小さな声に気が付かなかったのだった 。


ほんの数秒で風がおさまれば 、双方がその場同時に倒れ込んだ 。同じ体勢で 、同じ空を見上げながら 、同じ思いに浸っているだろうか 。
しかし 、ひとつだけ 違う光景があった 。
皇虎の視界に影ができた 。人が居る 。その人は静かに皇虎を見つめていたが やがてぽつりと呟く 。

「『狼』の『新・十二支』__影狼佐 … 前門の虎 、後門の狼って .. このことかな 」

そのまま皇虎の意識はプツリと途絶えた 。
59:黒尾 [19/08/21 19:58:27] ID:e430cb54
残った20%の気力が 眠りかけた皇虎を呼び戻した 。
目を開くと随分離れた場所から獅凰がこちらにゆっくり歩いてくる 。
それにしても力のこもった蹴りだ 。獅凰と己の距離は 大分離れていた 。
吹っ飛ばされた後 、この背もたれになっている大木に頭を打ち付けて気絶したらしい 。.. 背もたれと言うか 若干 半身埋まっている様にも見えるが 。
未だ頭の中がぎんぎんうるさい為 、獅凰が今 何を言ったのかは分からなかったがそれでも 、半身が埋まっているその大木に両手をついて 力任せに引き剥がす 。
腕の骨が折れていようがいまいがもう関係ない 。唸り声をあげながら 力の限りで大木から身を引き剥がすと 、
均衡感覚を失いすぎて二足歩行で歩くのを諦めたのか 、本物の虎のように四つん這いになる 。「 わあ 、虎 」
獅凰の方も段々速度を上げてこちらに近付いてくる 。「 さっきから全く手応え無いんすけど…まあ 形上は強い訳だから 、強いってことで良いんすよね 」
獅凰もトドメをさそうとしているらしい 。皇虎はもう限界だと軋む身体を 無視して 地面に食い込むくらい爪を立て 、目の前の百獣の王を睨み付ける 。
58:黒尾 [19/08/21 19:46:05] ID:e430cb54
皇虎は後ろに吹っ飛んだ 。顎部を強く蹴られた反動で脳が揺れる 。視界は白くなり 、ぼんやりとした光に包まれる 。
.. 聞いたことがある 。どんなに強い奴でも 、顎を決められたら終わりだと 。ああ 、終わったわ 。最後まで喧しい人生だったな 。
なんて 、半分 諦めて 、目を閉じかけた 。 .. が 、その時 、急に視界に景色が戻った 。
見覚えのある山奥の 、御堂 。そこに皆が居て 、笑ったり 、ケンカしたり 、皆でヘトヘトになって寝転んだり 。真ん中で 、仙人がいつも笑っていた 。
あー 。なんだかんだ 結構 、楽しかったな 。なんて物思いに耽っていればいつの間にか景色は変わっていた 。
目の前に 、仙人が現れた 。
『 御前は それで いいのかい ? 』
と言えば 皇虎の頭を撫でる 。そう言われればハッとした 。
俺は今 天敵とも言える奴にトドメをさされかけている訳で 、
その俺はと言うと さされる前に瀕死で諦めかけてる訳で 、
このまま死んだらアイツに『 ダッセー 』とか言われる訳で 。

「 良い訳ッ ねェだろ !!! 」

57:黒尾 [19/08/21 16:34:07] ID:e430cb54
(__参ったな) と 皇虎は思う 。
さっきから獅凰の攻撃を躱したり受け流したり 、防戦一方なのだ 。気力や体力の温存、回復を理由に攻撃手段をとっていなかったが 流石にこのままでは防御を削られて倒れるだけだ 。
何か隙をついて反撃しようかなんて考えるが 相手の行動はひとつひとつが本能的で 隙なんてそもそも無いにも等しかった 。
舌打ちすれば爪撃を飛んでのける 。「 __ッ 、」
着地すれば 傷口 を塞いでいなかったのが原因なのか 貧血症状みたいな風に眩暈がして ふらつく 。それに戸惑った隙を逆に突かれ 、
「 あれ ? もう終わりっすか ? 」と 、獅凰が皇虎の顎部に強烈な蹴りを一発 、叩き込んだ 。

くそが の「く」の字も声に出せず 、視界が半分 、白くなる 。
56:黒尾 [19/08/21 16:05:16] ID:e430cb54
… その頃 、畴視は豚沌と共に下水道に潜伏していた 。ここなら 、空間探知能力を持っている敵に見つかったとしても逃げられることだろう 。
こんな下民が這うような狭い空間にわざわざ護衛まで連れて潜伏しているのには理由があった 。
今 、畴視は未来予知をしている最中なのだ 。先ほどの羊楽の件に責任を感じているのか犯人を速く叩きのめしたいのか 、いつもうるさい畴視はずっと黙り込んでいる 。
豚沌も畴視が真剣なことを察したのか 黙って周囲を警戒する 。
「 …×…×……だめだ 」クソッ、クソッ、とうつむいて舌打ちする畴視 。予知の結果が出たのだろうか 。豚沌は「 出たか 」と 訪ねる 。


「 __ だめだ 、全員しぬ 」

55:黒尾 [19/08/10 16:31:18] ID:3c297c3f

黄鶏が来るまで皇虎と獅凰は確かにそこに居たのだが 、何故だか直前に移動をしていた 。
今 、彼らが居るのは 海岸から徒歩でたどり着けそうなくらいの 小さな森林だった 。

「 あー 、やっぱりそっちの味方の人達みたいっす 。移動しなくて良かったかもしんないっすね 。 」獅凰は 距離をとって対峙している皇虎に言った 。
「 でも 強そうな人との戦いはじっくり時間をかけて終わらせるのが一番良いと思いません ? 」
余裕なのかおしゃべりなのか 、にこりと笑いながらぺらぺら喋る獅凰に皇虎は思わず「 思わねえよバカ野郎 」と言ってしまいそうになったが ぐっと堪えた 。
己が相手に攻撃をしかけようとした時 、唐突に首を掴まれてここまで連れてこられたのである 。移動中 相手のボディを殴ってやりたかったがしかし 首を掴まれていたため 、手に力が入らない 。
到着するまでに少しでも体力を温存しようと 無抵抗のままここまで来たのだった 。
( それでも勝率はそこそこ低めだな _ )
どうやってコロそうか 。気力がなくなる前に なんとかせねば 。と思っている皇虎の今の気力は 100%中で言うと 、もう20%にも満たないのだった 。
54:黒尾 [19/08/10 15:18:20] ID:3c297c3f

「 __ 黄鶏 」

振り返ったらそこには 馬者丸が居た 。
どこで拾ったのか 、 流浪の切断されたらしい腕を持っていた 。「 この砂浜に来る時に 落ちていたのを見つけて 拾ってきた 」
黄鶏も馬者丸のことを察して「 … そう 、 」とだけ返し 海を見た 。
馬者丸もまた なんとも言えない表情で その断面の 切り口が綺麗な腕を見つめてうつむいていた 。



ついさっきのことだ 。黄鶏が先に海岸付近へ行った為 馬者丸もそれを追い掛けて走っていた 。
海岸へ来ると 、浜辺に黄鶏が居るのがわかった 。.. その傍には 、なにやら赤い .. 誰かの死体もあるようだ 。
彼方へ向かわなければ 。なんて思って走ろうとすると 海岸の少し先に なにかが落ちていた 。
近付いてみるとそこらは地面に血が染み付いていて 、誰かの肉片の様な物も飛散していた 。 地面についた血痕は黄鶏の居るところまで繋がっているみたいだ 。
そして 、その落ちていたなにかを見て 馬者丸は一瞬 、体の力が抜ける気がした 。それは腕だった 。しかしただの腕ではなかった 。
金色の腕輪のしてある若干色白なそれは 、自分の大切だと思う人のものだった 。

53:黒尾 [19/08/09 21:59:44] ID:ec81d3bf

( __ このあたりは”靄”が少ないな 。 ) 黄鶏は海岸の見える辺りを飛行していた 。視界を阻む物体が街中より少なくなっている 。
しかしまた見晴らしの良くなったそこで 、見たくなかったものまで見てしまった 。
あれは確か 味方の .. そのままゆっくり下降して 着地 。
やはり 流浪__の死体 だ 。出欠多量で死亡した様に見えたそれは 、あまりこう言うのを見ても驚かない黄鶏でも一瞬 、目をそらしたいと思う程に惨い仕打ちを受けたみたいだ 。
少しの間 なんとも言えない顔でそれを見つめた 。あいつがこれを見たらなんて反応するだろうか 。
「 勝手に死ぬとかバカかな 、こいつは 」
しかし黄鶏は眉間にしわを作る 。流浪のものとは異なる血の匂いがしたはずなのに 、自分が降り立った時には誰も居なかった 。( 逃げられた ? .. そんな筈はないと思うけど )

黄鶏が流浪を発見した時は既に皇虎や獅凰の姿はなく 、黒白転と八咫の死体も波にさらわれていっていたのだ 。

52:黒尾 [19/08/09 9:46:37] ID:ec81d3bf
【 第五戦:前門の虎 後門の狼 】

「『寅』の『十二支』__ 、」

倒れ込んだ流浪を間にはさんで 、『寅』と『獅子』が対峙する 。
しかし皇虎の本能は名乗りきる前に 「 今戦ったら負ける 」と察してしまった 。相手のコンディションは恐らく最高に近い 。
対してこちらは鳩尾がまだびりびりするし腹を負傷 、流血 の重傷に近い中傷である 。黒白転達との戦いで無理矢理な空中動作をしすぎて全身軋んで仕方ない 。
それに加えて味方が目の前で死んだのだから 精神的にもキている 。
だが背中を見せて逃げるとかそう言う情けないことはしたくない 。ヘンなプライドだな 。自分でもわらけてくる 。
「 戦んないんすか ? 」物思いに耽っていると 獅凰が痺れを切らして話しかけてきた 。
「 あ” ? 殺るわしゃべんな 」とは言ったものの 、強敵(であろう)相手と怪我持ちの自分 、どう考えても自分に勝ち目なんて なかった 。それでもぐっ と拳に力を込める 。


『 俺がいなきゃ てめぇは __ 』


51:黒尾 [19/08/08 23:07:36] ID:066681f2
【 »誤字« 】
50»「9」ってなんすか「)」ですよこん畜生()
50:黒尾 [19/08/08 20:21:49] ID:066681f2
 
「 ドラゴンの肉とか 、食ったことないっす … 毒味します ? __ あ 、

『獅子』の『新・十二支』__ 獅凰 」


獅凰が流浪の身体から手を抜くと 、流浪はそのまま膝から崩れ落ちた 。
一応 まだ息はあるが 、もうすぐに死ぬだろう 。
「 クソ獅子手前 … !! 」
ぐるるる … なんてホンモノの虎のように唸るのは皇虎だ 。最も忌み嫌っている相手に遭遇してしまった 。

流浪と皇虎の活躍により 、ダブルスコアをとり 一瞬だけ 逆転の可能性が見えたがしかし
前線の一角が死んでしまい 未だコールド負けなのは変わらないのだった 。

( 十二支ー8 新・十二支ー10 )
( 第四戦__終了 9
49:黒尾 [19/08/08 16:39:21] ID:066681f2

静まり返った海岸 。流浪と皇虎はそれぞれ新・十二支の黒白転と八咫をかついで渚まで歩いてきた 。運んできた死体を渚に下ろすと 、溜まりに溜まった疲労に耐えられず 皇虎はそのまま寝転がる 。
流浪も己が疲れていたのか皇虎のことを考えてだか 、「 ちょっとの間ここで体冷やそうぜ 」と言った 。
( つーか 、 )「 … こんな物騒な事して 旦那は喜ぶンかなァ 」「 は ? 」
流浪が 心の中で呟こうと思っていたそれは 、無意識に声に出ていたみたいだ 。皇虎は立っている流浪を横目で見上げ 、また空に視線を逸らす 。
「 … 俺様だってわかんねェ 。 」 この死んでる二人を見てると段々 、己が戦ってる理由がわからなくなってしまった 。仇を討つとかそう言うのは本当に建前だったのだろうか 。
「 別にここまでする必要 なかったンかもな 」なんて言えばぼーっと空を見上げる 。
「 … 」そろそろ戻るか 、と 言おうとした流浪の体に 、鋭い何かが 突き刺さる感覚があった 。
「 … げほ 、 」口から血液が滴る 。突然のことに膝の力が抜けた 。
柄でもなく「 逃げろ 」と 、己を見上げて硬直した皇虎に言いたかったが 哀しいことにそれは叶わなかった 。
体に刺さった何かが そのまま体内をぐしゃぐしゃに抉る様に動く為 、嗚咽みたいなのしか出せず 、喉の奥からひたすらに体内の肉やら血液やらがせり上がってくる 。
痛い 。かなり痛い 。息ができない 。落ち着け 、冷静に考えろ 。今体に刺さってるのはなんだ 。牙か 。爪か 。ミキサーか 。なんだ 。
頭が真っ白になった時 、犯人は名乗りあげた 。
48:黒尾 [19/08/08 16:08:19] ID:066681f2
「 冗談キツいなマジで ッ … !! 」
暗転したあの一瞬で左腕が切り離されたらしい 。一瞬 、肩が軽くなって そのあとから激痛が走る 。
ふざけるな__いや 、それを言うなら他の皆も同じ気持ちだろうが 。
血液が流れすぎるのを防ぐため 傷口を腰に巻いていた布と手でおさえれば 空を蹴って 、無理矢理距離を取る 。皇虎の方も腹に刃が刺さったまま同じ行動に出た 。「 ぐ … 抜けねックソ !! 」
あっちはどうだ 。( 立ち上がられちゃ 、もうどうしよーもねぇや )
… しかし 、新・十二支の二人が立ち上がる様子はなかった 。片方は脳天直撃で頭部を潰され 、もう片方は心臓を抉られている 。
「 勝ったな ァ .. ? 」左腕に布を包帯みたく巻きつければ流浪は皇虎の方へ寄っていく 。そのまま皇虎の腹に刺さった刃を握れば「 動くなよ 」と言った 。
「 あ”ぁ .. 楽勝つったろクソ野郎__がッ ?! 」
無理矢理だ 。流浪は皇虎が喋りかけたにも関わらず 容赦なく刃をひっこぬいた 。お蔭で皇虎は腹を抑えて悶絶している 。「 やっぱ手前もコロす … 」「 はァん 、やってみろや 」
47:黒尾 [19/08/08 15:48:24] ID:066681f2
..


黒白転の視界には 、先程投擲された槍が映りこんだ 。( … あれだ )
間もなく十二支の特攻型の二人が此方にまとめてかかってくるだろう 。
後ろにくっつく様に隠れている八咫に合図を送れば黒白転は目の前の十二支の二人に向かって駆け出していく 。
「 来るぜ 」「 ぶッころしてやらァ .. ! 」皇虎と流浪も此方に向かって特攻してくる 。( 殺気に満ち溢れてて怖いな … ) しかしビビってはいられない 。

__確かな情報かは解らないがパンダって強いって言われていた気がする 。

ならこんなネコの巨大化したみたいな奴と存在すらはっきりしてないような空想生物に負けるハズはないだろう 。
双方が距離を詰めたその時 。八咫以外の全員の視界が暗転した 。
「 なァるほど 」先程皇虎が吹っ飛ばされたのはこれか 。と流浪は納得する 。
( .. 見えなくたッて 、ニオイとか聴覚で分かるんだけどよ .. なんだ 、案外余裕じゃね ? )
皇虎の方も 、さすがに同じ手で敗れると言うことはないだろう 。敵の脳天に拳でもぶち込んでトドメを刺すだろうか 。
肉の切れる音と 、肉の潰れる音と 、肉に刺さる音が重なって聞こえた 。ちょうどその時 、視界は元通りになったが 。

「 ぉ … 」「 __ッ !? 」「 うそ … 」

八咫の脳天に拳を御見舞いしている皇虎の腹には八咫の折れた刃が 。

黒白転の鳩尾上..心臓あたりを抉った流浪の左腕は 、黒白転が拾っていた流浪の槍にそのまま切り落とされた 。

46:黒尾 [19/08/08 12:43:09] ID:066681f2

流浪は肩を鳴らす 。
「 いやァ 、てめぇを使って敵の戦略を見てたわけだから 、動けなかったってこと__ 」なんて言えば皇虎が黙ってはいそうですかと納得するわけがなく 。
「 はぁ!?!? 俺様を実験台にしてたんか手前 !!!! 」案の定 、キレる 。
「 でも俺がいなきゃてめぇは今頃三度目の鳩尾負傷してたかんなァ 、感謝しろよ 」皇虎は流浪が何を言うでもなく唐突に槍を投げたのを思い出す 。
ああ 、あの時踏み台を作ったのはそう言うことか 。皇虎は「 頼んでねェのに余計なことすんなシネ助かったわクソ野郎 」と 舌打ちする 。
あの投擲がなければきっと 接近しすぎて逆に間合いを詰められ 、また鳩尾を痛めるところだった 。
機転なんてそんなに利かないクセして妙に慎重派なこいつが腹立つ 。
しかし 流浪は眉を潜めた 。( ただ 、槍がもう手元にねぇからなァ 。遠くからの援護は無理ってワケだ )
「 さてさて 、動物園の人気者と住宅街の荒くれ者 __ 両方唐揚げにして食ってやろうや 」うし ! と声を張れば 前屈みになって 。
皇虎もそれに続く 。「 唐揚げは鶏肉野郎の特権だろうが !! ボケ !!! 」
45:黒尾 [19/08/08 12:01:17] ID:066681f2
 
八咫は咄嗟に降ってきた皇虎の攻撃を回避するべく拳に刃を突き立てた 。
「 くそが !!!! 」一撃で仕留めようと思っていたのに 、避けられてしまった 。拳に突き刺さった刃の破片を引っこ抜きつつ 、棍棒で突かれる前に 宙で体勢をひねる。
黒白転の頭を踏み台として軽く踏んづけ 定位置に戻り 、敵と距離をとる 。
なんとか会心の一撃は避けたが 、刃が折れてしまった 。八咫は「 ああー … 」と 、黒白転を見上げる 。
「 え … 」「 がんばれ ! 」「 え ?! 」「 サポートはするから ! 」ちょ、それはむりだよ と猛抗議する黒白転 。なんとか彼にも頑張ってもらわないと 。
頭を悩ます黒白転の視界に 、転がる槍が映った 。「 …あれだ 」

皇虎は隣で腕を組んでいる流浪を睨む 。「 手前 、戦う気あんのか 」 さっきから彼は全く動いていない 。まるで己が流浪の代わりに動いているみたいではないか 。
流浪は罰の悪そうな顔で 、「 バレたか 」と にたぁ 、と笑う 。


44:黒尾 [19/08/08 11:34:50] ID:066681f2
 
黒白転の視界から皇虎が消えた 。

というか 、黒白転の視界が真っ暗になった 。
慌てたのは黒白転の後ろに隠れていた八咫だ 。急接近してきたと勘違いして 、己の能力を発動させてしまった 。
己の周囲を暗闇に包み込むそれは 、敵が周囲に踏み込んで初めて意味(効果)を成すのだが__

皇虎はあろうことか 、”真上”に飛んだ 。

鳩尾に喰らったクリティカルヒットがそんなに応えたのか 。しかしそうではなかった 。「 どこ見てんだ 、ボケェ !!! 」
八咫が真上を見上げると 、皇虎がこちらに向かって落下してきているのだった 。「 え__! 」

43:黒尾 [19/08/08 11:25:47] ID:066681f2
 
「『寅』の『十二支』__ 皇虎 」
「『辰』の『十二支』__ 流浪 」 

威勢よく名乗れば二人同時に飛び出していく 。「 先にどっちか狩れた方が最強な 」「 は?楽勝だわシネ 」なんて言う彼等には緊張感が無いらしい 。
おまけに息ピッタリな名乗り 。「 仲良し 」と黒白転が呟けば「 あ”!? 」と二人 声を揃えて叫ぶ 。
流浪が黒白転と八咫めがけて手に持った槍を投擲した 。しかし距離が 凡そ20m以上離れたそこからでは 、標的をまとめて貫通させることは不可能だ 。
失礼ながらこいつバカなのか 、なんて思ってしまった黒白転は 数拍後 、それが意図的に行われたのを悟る 。
それを 皇虎が踏み台にした 。一気に間合いをつめる気だろうか 。それならそれでこちら的に都合が良い__が 、違ったようだ 。



42:黒尾 [19/08/07 17:27:39] ID:6c9d1f17
「 今の内に普通のフライドチキンにされるのが良いかスパイシーチキンにされるのが良いか選ばせてやるから選べ 」
「 チキンはカシワの特権だろうが 」「 うるッッせぇな じゃあドラゴンフライにしてやろうか 」「 なにそれ超かっけえ(笑) 」「 手ッ前 … 」

そんな仲睦まじい会話を見届けながら黒白転は思った 。( もしかしてだけど … 存在 忘れられてるのでは …… ? ) と 。
すると 八咫が同じく退屈していたのかその気持ちを代弁するように
「 さっさと来いよ雑魚共ー!ばーかばーか!やーいやーい!! 」と 黒白転の背後で楽しそうに跳び跳ねる 。「 ちょ … !! 」

「 あ” … ?? 誰に向かって雑魚つったコラァ … 手前は笹揚げにしてやらぁ 」と皇虎 。味方にも敵にも貶されて怒り心頭である 。流浪の方も
「 おう 、てめぇみたいなクソ生意気な野郎大好きだぜぶっころす 」と 満面の笑みで告げる 。
八咫はまるで先程の己の発言を黒白転が言ったかの様に「 ほら 、そんなこと言うから怒ったじゃん … 」
と言いたげな顔で彼を見上げ 、その黒白転が顔面蒼白になっているのを見て必死に笑いをこらえる 。「 あ 、無理なやつだしぬ … 」



「『寅』の『十二支』__ 皇虎 」
「『辰』の『十二支』__ 流浪 」
41:黒尾 [19/08/07 17:03:51] ID:6c9d1f17

視界が元通りになるといつの間にか己はその黒白転とやらの懐まで飛んできていた 。
そして戸惑った一瞬の隙を突かれ 、 容赦なく 鳩尾に棒の様なものが叩き込まれる 。本日二度目の鳩尾負傷 、今度はクリティカルヒットだ 。完璧に決まった 。
そのまま軽く元居たところまで吹っ飛ばされれば 「 う”ォ”ェ” … ゲホッ 、何ッだアイツ … !? 」と 口から胃液を吹き出す 。
見れば黒白転は棍棒を持っている 。此方はほぼ素手と言うのに 、それはセコではないか 。… とは言わず 。
隣を見上げれば「 ほらな 」と言った顔の流浪が腰を低く落とし 、槍を片手に構えている 。「 あれあれェ ? 皇虎サァン ?? もう天に召されるんですかァ ? __ダッセw 」
「 あ"?!?! 誰がしぬっつった寝言は寝て言えこん畜生が .. !! 」皇虎の額にピキッと青筋か浮かぶのが分かった 。
ああ 、こいつほんとに扱い易いな 。なんて思いながら笑っていると 若干よろけつつ 立ち上がる相手に胸ぐらをつかまれた 。
「 あいつらノしたら手前もころしてやるかンな … 覚悟しとけ 」

「 上等だぜ 」

40:黒尾 [19/08/07 16:46:16] ID:6c9d1f17

「 な … 何も見てないと思う … はい ……… いや 、ちょっと見てたけど … 」

立ち止まり 、焦ったようにぼそぼそと弁解を始める彼は敵らしい 。なんだこのデカくてヒョロっちいのは 。鼻を鳴らせば皇虎は彼に怒鳴り付ける。
「 あ”?!!! 何言ってんのか全然聞こえねーんだよ !! もっとでけぇ声で喋りやがれくそ野郎 !!! 手前みてぇなウジウジした野郎がコイツの次に嫌いなンだよぶっころしてやらぁ ! 」
流浪は苦笑する 。「 軽く俺にも喧嘩売ってくれたな野獣よ … 何も考えずに飛び出すんじゃァねぇぞ 、罠があるかもしんね___ 」
心優しい忠告空しく 、案の定 皇虎は考えるより先に 目の前のそのヒョロっちい挙動不審な白黒野郎に突貫していった 。「 人の話ちゃんと聞けや !! 」
しかし 、皇虎がその白黒野郎との距離およそ半径11mに近付き 、間合いに入ろうと脚を踏み込んだ時 、視界は唐突に真っ黒になった 。「 はぁ !?!? 」


「『熊猫』の『新・十二支』… 黒白転 」
「『烏』の『新・十二支』__八咫 」


39:黒尾 [19/08/07 16:23:51] ID:6c9d1f17

「 あーそれ今気付いたか … まァそう言うこった 。 」流浪も苦笑しては鳩尾をさする 。
なんせ彼は半分素肌な訳で 、おまけに鳩尾部分なんて布一枚も装備してない状態で殴られた訳で 、本当を言えばあの時ゲロを吐いていてもおかしくなかったんじゃないかなんて考える 。
「 … でもそれ手前の都合だろ 」じと … と相手を睨む 。「 ありゃ 、バレた ? 」なんて言う彼に「 バレバレだわボケ 」と言って足を踏んづけてやる 。
声は笑いつつも鈍い声を出してうずくまる彼を見下ろしながら「 … 別に 今回ばかりは手前の好きにさせてやってもいーけどよ 」と 言う 。初めて見下ろせた 。なんて言う優越感に浸っているのも束の間 。
流浪はにこにこしながら立ち上がると 皇虎の額に「メキッ」と音が鳴るくらいのデコピンをかます 。能力を使用したらしい 。足を踏むのも攻撃に入るのか 。
「 これでイーブンよなぁ 」にたにたと笑うそれはまるで鬼だ 。
少し赤くなった額をおさえつつ 、イーブンじゃねェよこンのクソが殴らせろ!! 、と言いたかったがそれは敢えてのみこんだ 。
目の前から歩いてきたそいつに今の会話を一部始終見られていたらしい 。


「 何見てんだよぶっころすぞコラ … !! 」
38:黒尾 [19/08/07 16:03:34] ID:6c9d1f17
【 誤字訂正(»»» KY «««) 】

・【 第三戦:鶏鳴狗盗 】
×(第二戦__終了)→○(第三戦__終了)

すみません 。

それと 、
・コメント表示順序切り替えて一番上に1コメが来てる表示の方が見やすいしネタバレしないと思われます 。
・基本は十二支視点なので 後々新・十二支視点も考えます
37:黒尾 [19/08/07 15:57:30] ID:6c9d1f17
【 第四戦:竜頭蛇尾 】

黄鶏達が反撃作戦について話し合っているちょうどその頃 、皇虎と流浪の犬猿ペアは ボールルームからかなり離れた 海岸付近を歩いていた 。
皇虎は真横を歩く流浪に己の前を歩いてほしくないが故に「 隣を歩け 」と言った 。「 俺様の後ろを歩け 」と言えば己の足を踏んでくると思ったからだ 。
しかし 隣を歩かせても何をさせてもこいつの口を閉ざすことはできないんだなと改めて痛感させられる 。
先程から「 野獣さん太郎は俺より身長低~い 」だの 喧しいったらありゃしない 。
その度キレて言い返すのも段々面倒になってきて今は一方的に喋りかけられているといった様子である 。
もういっそ早く敵に見つけてもらいたい 。
すると流浪は歩を進めながら 唐突にこんなことを言い出した 。

「 … 、これからどォするよ ? 」

どうする 、とは 。はて 、と首をかしげる皇虎 。何をどう言う風にどうする為に言ったのか さっぱりだ 。
「 あー … 知能の低いネコ科には主語が必要ですかそうですか 」なんて溜め息をつく彼に「 あ”ァん? 分かるわシネ 」と中指を立てつつ暴言を吐く 。
「 俺らは 今から 敵を ボコボコに するわけ です が 他の 奴等と 合流 しますか !! しませんか !! 」
は?する訳ねえだろ なんなら俺様一人でも戦えるわ と言いたかったが 、皇虎は何も言わず流浪の顔を見て無意識に腹をさすって ハッとした 。正確には鳩尾だが 。
最初 、ボールルームで余計な事を言ったせいで 二人とも コンディションが少しばかり悪いのだ 。

36:黒尾 [19/08/07 13:10:34] ID:6c9d1f17

「 あ 、遅いよ遅い … 珍しいねえ 、馬者丸がオンナの子連れてくるとか … 」

意地悪に目を細めて言う黄鶏 。その視線の先には 、馬者丸と胡桃香だ 。
「 …… 」胡桃香は無言で東雲の死体へ近寄る 。死亡してから時間が経っていたのか 、東雲の体はつめたく 、硬直していた 。
そして彼女の身体のあらゆる関節に絡み付いていた糸を見詰めると 、「 あのときの … 」と 唇を噛む 。
「 たまたま近くに居たから連れてきただけだ 。 」と 馬者丸は黄鶏の言葉をやんわり否定して 。視線を落とせば味方の死体が視界に入る 。「 間に合わなかった 。すまない 」
黄鶏は へえ 、そうですか なんてどうでも良いような返事をすれば「 いや 、この場に居る誰のせいでもないからね 」と言う 。
己は正論を言っただけだがなんだか味方を慰めてるみたいで馬鹿らしくなり 、ぱん 、と手を叩いた 。
「 … さ 、そろそろ反撃開始といこうじゃないの 」なんて 車の上に仁王立ちし 、二人を見下ろす 。

「 新・十二支 、ぶっころすよ 」

( 十二支-9 新・十二支-12 )
( 第二戦__終了 )
35:黒尾 [19/08/07 12:58:29] ID:6c9d1f17

「 きゃっ ?! 」と声をあげ 、地面へ転がる東雲のなりすまし 。馬者丸は跳び蹴りを御見舞いした後 ざざーっと音を立てながら着地する 。
胡桃香は驚いた様子で 、なりすましと馬者丸を交互に見つつ身構える 。「 一体どう言う … 」
「 答えるまでもないが 一応 。 」馬者丸は 「 いてて .. 」と 倒れこんだなりすまし__『狸』を組み敷き 、制圧する 。「 今ここに居る東雲は新・十二支 .. 恐らく『狸』か『狐』だ 。 」
本物は恐らく .. と言ったところで動きを止めた 。「 .. 詳しい話は後だ 。私が東雲の元まで案内するから ついてこい 。 」

取り抑えていた狸からさっと離れ 、それだけ言えば馬者丸はすぐ走っていく 。
まだ少し混乱している様子の胡桃香も頷いてついていった 。


「 … ああ 、遅かった … この毒でじわじわころしてやろうと思ったのにぃ … !! 」

地面にへばりついたみたいな体勢の茶々茉の元へ 青藍がやってきた 。「 あ 、青藍さん … すみません 、時間稼ぎできませんでした ……… と 、 そう言えば 、二人の死体はどうしたんです ? 」
うつ伏せのままの茶々茉が青藍を見上げる 。「 貸した 」

34:黒尾 [19/08/07 12:44:47] ID:6c9d1f17


( __にしても 、) 交差点付近に味方はおろか敵もまったく居ない 。計24もの人間がそれぞれ散っているはずなのに これはどう言うことだ 、なんて考えつつ 馬者丸は走る 。
交差点から出発してかれこれ数10分は経つだろう 。黄鶏はうまくやっているだろうか 。否 、彼のことだろうから どうせ血に汚れても何食わぬ顔で笑いかけてくるだろう 。
そんなことを考えながら景色を眺める 。もちろん動きながらなのでピントはぶれぶれなのだが 。
そして 、そんなぶれぶれの景色に味方の姿が映ると急ブレーキをかけて停止する 。
胡桃香だ 。馬者丸は一歩踏み出した足をまた引っ込めた 。女性に話しかけられるのはもちろん話しかけるのだって苦手だ 。少し様子を見て声をかけようと 近くの茂みに身を隠す 。
なにやらペアの東雲と話しているらしい 。… いや 、待て 。東雲はさっき黄鶏と対峙していたではないか 。ならここに居る東雲は誰だ 。
馬者丸は東雲の頭に木の葉が乗っているのを見逃さなかった 。

東雲(に扮した何者か)が胡桃香へ短刀を振り上げるのと 、馬者丸が東雲(に扮した何者か)に蹴りを御見舞いしたのは ほぼ同時だった 。
33:黒尾 [19/08/07 12:00:38] ID:6c9d1f17

東雲の首が 、ありえない方向にひん曲がった 。

「 『蜘蛛』の『新・十二支』__糸 」

そう言って 目が合った己に不気味な笑みを見せた彼は そそくさと去っていってしまった 。
黄鶏はその場に崩れる東雲の死体に近づいた 。
操っていた糸でそのまま首を折ったのだろうか 。これは手の施しようがない 。即死だ 。
「 お疲れ様 」とだけ言うと黄鶏は己の服をぱんぱんとはたいた 。近接戦はかなりの確率で汚れるから嫌なのだ 。
味方は死んでしまったが 、敵の居場所が少しだけ分かった 。それも割と厄介な奴の 。
満足そうな顔で 交差点の近くに放棄されていた車の上に座る 。放棄されている割にはやけに綺麗なのが気になったがしかし そんなことはどうでもいい 。
敵をどういたぶりころすか考えつつ 、馬者丸の帰りを待った 。

32:黒尾 [19/08/07 11:49:05] ID:6c9d1f17
 
__対峙してから数十分経過 。

馬者丸はまだか 、なんて考えつつ黄鶏は目の前から飛んでくる拳や蹴りやらをかわす 。受け流そうと思ったのだが 、思ったより狂犬化の効果が大きい 。
先ほど蹴りを腕に受けてみたのだが 、今も若干じんじんする 。このまま攻撃を受け続けたら流石の黄鶏も耐えられない 。
でも黄鶏はにっと笑った 。もうじき東雲の背後に見える糸が絡まって身動きがとれなくなる筈だ 。
攻撃された分(の倍)ボッコボコにしてやりたいが 、流石に味方を打ちのめすのも気が引ける 。身動きがとれなくなった相手を気絶させてデカい奴らに運んでもらおうか 、なんて考えていたまさにその時だ 。

東雲の首が ありえない方向にひん曲がった 。


31:黒尾 [19/08/07 11:33:17] ID:6c9d1f17

 
「 クフフ … 楽しいね ぇ 、楽しいけどねぇ 」
物陰はそんなことを言いながら手をくにゃくにゃと動かす 。もうすぐ 相手も死んでくれるだろうと思っていたのだが 、さすが十二支 、中々粘る 。段々と 蜘蛛の糸も絡まってきた 。
( ああ 、つまんないの 。) チッと舌打ちすれば 、糸を一方向に向けてぐん 、と引っ張った 。
引っ張った反動で 指にくっついていた蜘蛛の糸はプツンと切れ 、その場にぽとりと落ちる 。
「 『蜘蛛』の『新・十二支』__糸 」
物陰からひょっこりと顔を出してそう名乗れば 、目が合った十二支の人間ににたりと笑みを見せて あっという間にその場から居なくなった 。

30:黒尾 [19/08/07 9:29:54] ID:6c9d1f17
黄鶏が馬者丸に「 味方がいたらなるべく近くに誘導してきて」と伝えて別れてから数分経った現在 、黄鶏の前に姿を現したのは馬者丸ではなく 、

「『戌』の『十二支』__東雲 」

どこか様子のおかしい東雲だった 。
「 … ああ 、なるほどね 。ネクロマンサーでも居んのかな 」とだけ呟けば黄鶏は戦闘態勢に入る 。
なぜ黄鶏は味方に戦闘態勢をとったのか 。理由は単純 、目の前の彼女は本物ではないからだ 。
自我は数%程度で残っているようだが 、身体を己の意思で動かせないように見える 。東雲の身体の動きはマリオネットのようにかくかくとしていて 、不自然だ 。
そして微かな光に照らされちらちらと姿を現す糸 。
「『酉』の『十二支』__黄鶏 」そう言い切る前に 、東雲は容赦なく飛びかかってくる 。自我のほぼない東雲には現在 、狂犬化してもデメリットがない 。
彼女を影で操っているであろう黒幕も そこらへんを計算しているのだろうか 。なら目の前の味方よりそっちの方が厄介…潰し甲斐があるだろう 。
29:黒尾 [19/08/06 17:42:21] ID:dbc7ea9b


その同時刻 、胡桃香はとあるエリアの小さな森でペアの東雲とはぐれていた 。
「 はぐれちゃった 、! 」と 誰も居ない場所で舌を出しては 東雲の捜索を開始する 。そもそもなんでこんな色んな建物が聳え立ってるところに森があるんだろうか 。
( 敵の罠が仕掛けられているかもしれないもんね .. あ 、私より先に森を出てたりして .. ? )
「 ああ 、ここちょっと汚い .. すぐ抜け出して 東雲ちゃんを見つけなきゃ … ! 」なんて 言いつつ森の草木を掻き分けて歩いていった 。


そこからなんとかして森を抜け出た胡桃香は 、ふと空を見上げる 。靄がかかってよく見えなかったが 、味方が空を飛んでいたような .. 不確かだったがしかし胡桃香はその足を止めることなくその味方の所へ歩いていく 。

28:黒尾 [19/08/06 17:31:57] ID:dbc7ea9b
【 第三戦:鶏鳴狗盗 】

ボールルームがあったところから少し離れた 、広い交差点みたいなところに出てきた 。
「 それにしても 、随分と戦いづらい場所だねえ 、ここら一帯は 」ゴーグルをずらしつつ 、地面にゆっくりと着地するのは黄鶏だ 。
たった今 少し空の上から偵察を行っていたのだが 、ここはどうも環境が悪い 。
立ち込める霧の様な靄のようなものが視界を阻む故 空から地上の様子を見ることができないのだ 。敵勢かなんかがスモークでも撒いてるのか 、なんて思いつつ 「 どうする ? 」と 隣に立つ馬者丸に声をかける 。
「 どうすると言われても … 私にはさっぱりだ 」なんて真面目に返すあたり彼はちゃんとしてるんだろうなあ 、なんて改めて思う 。他の奴等ならきっと
「 知らねえよ自分で考えろ 」だの「 それはァ 、てめぇのぉ 、仕事だろォ 、イケメン探偵カシワク~ン 」だの「 それより何か俺を楽しませることでもしろ 雑魚 」だの
問題放棄するに違いない 。きっと彼は純度100%の真っ直ぐな人間だ 。
なのに何故そんな真面目な彼が不真面目なアイツと絡むのかがよくわからない 。
… しかし当然そんなことに頭を使う時間など無く 。 心の中で「 や 、そんなのはどうでもいいや 」と一蹴し 、この先どうするかについて考え込む 。
( オレにとったら空中戦が一番好ましいけど 無理そうだな 。… てか 、あっちに空飛べる奴 、居たっけ ? .. まあ 、近距離戦でも良いけど別に )
近距離戦なら近距離戦ならではのいたぶり方があるので悪くはない .. この純度100%ボーイとどう連携を取るか のみを頭にいれておく 。
27:黒尾 [19/08/06 17:01:07] ID:dbc7ea9b


茶々茉と青藍が路地裏を去って数分後 。

豚沌は息を切らしてそこに走ってきた 。「 …… はぁ … はぁ … まったく … 人使い荒いんだよ ……… お前 …………」
しかし畴視は何も言わず 、なんとも言えぬ表情で豚沌から飛び降り 、奥へ奥へと進んでいった 。
地面には そのまま入り口まで引き摺られていったと見られる二人分の血痕 。
「 …… 遅かった 」
畴視はそれだけ言うと 、唇を噛み締め黙り込む 。後ろから歩いてきた豚沌も察したようだ 。「 くそ … 」
と 吐き捨てれば地面についた血痕をじっと見詰め 。 「 行くぞ 」
畴視はまた豚沌によじ登り 、路地裏を出ていった 。


遂に始まった 十二支と十二支になれなかった者達の殺し合い__死者の名前は 倍速再生で刻まれる 。


( 十二支-10 新・十二支-12 )
( 第二戦__終了 )
26:黒尾 [19/08/06 16:49:58] ID:dbc7ea9b

羊楽がそこへ辿り着く数分前 。

『狸』の茶々茉と『蛙』の青藍は既に巳己を殺害していた 。

「 僕が毒に耐性持ってるのに気付かないで攻撃してくるなんて 、よっぽど馬鹿なんだねぇ十二支サンは !! きっと他の連中も馬鹿ばっかなんだろうなぁ 」
あははははと笑う青藍に少し恐怖を覚えつつ 、茶々茉はそこらに落ちていた葉を拾い上げた 。「 えっと 、…… もうすぐ 、味方が来る頃です … ! 奥に隠れましょう 」
と 、青藍を無理矢理路地裏の奥にあった社のうしろに詰め込んで 、己は巳己の死体を盾にする形で 社の付近に隠れた 。
この辺は濃霧地帯みたいに視界が悪い 。路地裏の入り口から見たこちらは恐らく“ 奥になんかの物影が見える ” 。
完璧なる十二支ホイホイの完成だ 。このまま待機して __


そして現在 。ホンモノの巳己の体には致死量を遥かに越える毒が回っており 、心臓には羊楽の放った矢が突き刺さっている 。今頃胃や肺に入り込んだ毒が効果を発揮しているところだろう 。
青藍と茶々茉は巳己と羊楽の死体を引き摺り 、その場を離れる支度をする 。「 え .. えっと … この死体 、どこまで持って行くんですか … ? 」「 ああ 、解剖するから … どこか人気の無いところまで 」「 ヒッ 」



「 うまくできて良かったねぇ 、他の十二支もこの調子でホイホイしようかなぁ …… キモチワルイ ゴキブリみたいに 」

25:黒尾 [19/08/06 16:31:28] ID:dbc7ea9b

羊楽に遭遇するまでに敵と争ったのか 、巳己の体には小さな傷があちこちに見られる 。今 生きていると言うことは 、敵を倒したか逃げきったかの二択だろうか 。
「 無事で何より .. 」にこりと笑えば羊楽は 本物の蛇みたいに這いずってきた巳己に手を差しのべた 。


「 うわぁ 、だぁまさぁれたぁ 、 」


巳己が悪そうな顔で にたりと笑ったかと思えば 、懐から短刀を取り出してそれを羊楽の胸へぶっ刺した 。
( … ? ……… え … ? ) 突然止まる心臓 。回らなくなる頭 。傷口から溢れる血液 。口から出るのは「 何故 」と言う疑問ではなく 生暖かいそれだった 。
羊楽が反撃してこないのを確認すると巳己と思われる人物は 短刀を引き抜き 、頭に乗っていたそこらへんの葉をはらった 。そして羊楽はそのまま地面に突っ伏し 、己を刺した巳己の正体を知ることになる 。
「 .. へへ 、成功しましたよ ! 」そして 己のうしろで十二支の一角の死体を解剖しようとそわそわしている人物を振り返り 、嬉しそうに言う 。

「 … 毒には耐性ついてるの .. 同属性なの 、気付かなかったの 可哀想 …… せめて仲良くしてあげてから 解剖すれば良かったかなあ …… でもでも そっちのひつじさんも 早く解剖したいなぁ 」

「『狸』の『新・十二支』 茶々茉 」
「『蛙』の『新・十二支』__ 青藍 」
24:黒尾 [19/08/06 16:12:23] ID:dbc7ea9b


羊楽は 人の気配やなにかのニオイを探ってその路地裏へ辿り着く 。.. なんだか寒気がするが気のせいだろうか 。
奥には妙なお社のような物影が見えるし 少し 周りとは違った変なニオイがする 。
左手には弓を 右手には矢を持ち 、攻撃の体勢に構える 。目を瞑り 、深呼吸 。 耳を澄ませば物音が聞こえた 。それはどんどんこちらへ向かってくる 。

「『未』の『十二支』.. 羊楽 。 」

そう言って弓を引けば真っ直ぐ前方へ飛んでいき 、「 ぶすっ 、 」と肉に突き刺さる音がする 。

「 .. おやまあ 、そこに誰か居たのかのう .. ? 無法者でも 狩れたなら善いのじゃが .. 」

なんてもう一度 弓に矢を添え 構えつつ 、路地裏の奥地へ声をかける 。
そこで 、奥から誰かが這い出てきた 。

「 .. ふう 、おっせぇなこのノロマジジイ !! 」

巳己だ 。

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