コメント数: 13, 小説 ID: n307
あの夏が飽和する。/<よみ>

あの夏が飽和する。/<よみ>

(19/08/21 17:18:46) [ID: c78b6760]
名前
コメント
13:<よみ> [19/08/23 23:17:40] ID:e597b65d
完結です。何か感想やリクエスト等があれば是非…!
12:<よみ> [19/08/23 23:16:24] ID:e597b65d
「そう言って欲しかったのだろう? なぁ?」

ベランダで外を眺めながら、君に届くようにと思いを込めて、そう呟いた。


              ---end
11:<よみ> [19/08/23 23:13:11] ID:e597b65d
あれから時は流れる様に過ぎていき、現在。
ただ暑い日が過ぎてった。
今では家族もクラスの奴らも居る。
なのに、君は、楓は何故か何処にも居ない。
あの夏の日を思い出した。あの夏の、全てを。僕は今でも忘れることは無い。忘れたくなんかない。
だから、僕は今も今で君への思いを歌い続けている。
君に、ずっと言いたい事があるんだ。
君をずっと探しているんだ。
9月の終わりにもう考えるのを止めて、6月にまた思い出す。
君の無邪気さが、君の笑顔が、僕の頭を飽和している。

君は、何も悪くないよ。

君は何も悪いから、

もういいよ、投げ出してしまおう。
10:<よみ> [19/08/23 20:30:45] ID:e597b65d
こんなの、まるで映画のワンシーンじゃないか。白昼夢を見てる気がした。
「おい!居たぞ、捕まえろ!!」
だの、
「一人死んでるぞ!」
だの、大人達の怒号とサイレンが鳴り響く。
あまりのショックさに我を忘れてしまい、その音さえも耳には届かなかった。

気付けば僕は捕まっていた。聞けば、窃盗等の罪にあたっていると言う。しかし、捕まっているのは僕だけで、君は何処にも居なかった。
君だけが、何処にも居なかった。
その悲しさと悔しさとどうしようもない感情が僕を渦巻き、ただひたすら何も考えず過ごしていた。
親の心配だとか、恥だとか、全く気にならなかった。君が、楓が居ないことがただ1つの気がかりだった。
9:<よみ> [19/08/22 22:54:11] ID:d58d9a0b
思わず、間抜けな声を出してしまった。
君はナイフを持ち、笑いながら口を開いた。
「春が今まで一緒に居たから、此処まで来れたんだ。」
そう、いきなり告げられた。君は震えながらナイフを掲げ、また言葉を紡ぐ。涙が溢れ出していた。
「だから、もういいよ。もういいよ。」

「死ぬのは私一人でいいよ。」



そして、君は首を切った。大きな音と同時に大量の血が溢れ、飛び散る。
大人達の声なんて、全く耳に入らず、ただただ君の方を見つめていた。呆然としていた。
君は、今さっきまで笑ってて、水を飲んでて。急に何かを言い出して、それで、それで…………
もう何も考えられなくなり、へたり、とその場に座り込んだ。倒れた君に触れる。もう冷たくなって、血溜まりが出来ている。
「楓…楓…?」
君の名前を呼び続ける。
8:<よみ> [19/08/22 22:44:09] ID:d58d9a0b
海に着き、しばらく遊んだ。疲れも吹き飛んだ。その後また歩いて、走って、盗んで、逃げて……
そうしている内に、どんどん水や食料が無くなっていった。
「そろそろ水もなんとかしないと…」
「そうだね…何かくらくらしてきた…」
近くにコンビニは無く、水も無く、揺れだしていく視界にそろそろ耐えれなくなっていた。
そうしてしばらく歩くと、スーパーを見つけた。
「彼処なら…!」
「うん、行こう…」
僕らは考える間もなく、スーパーに入った。

「ちょっと!!!待ちなさい!!!」
という大人達の怒号に、聞こえないふりをして水を持って走り出した。ふと目が合うと競争のようなのが始まって、二人して馬鹿みたいに逃げた。
逃げて、走って、走って……
そして姿すら見えない遠い遠い所に来てまた笑った。仲良く水を飲み干した。
「ぷはぁ…美味しいね」
「美味しい!」
と言い合った。しかし、ふと、君はナイフを取り出した。
「……え?」
7:<よみ> [19/08/22 22:32:34] ID:d58d9a0b
君は僕の思ってる事が分かっているかのようにそう言って、また歩き出した。
今は盗んだ金や食料もあってまだ苦しくはないが、こんな逃げて歩いてばっかりの生活をしているとふと思う事があった。
「なぁ、今思ったんだけど、」
「ん?何々?」
「僕らがいつか夢見た、優しくて誰からも好かれる主人公なら、汚くなった僕たちもちゃんと見捨てずに救ってくれるのかな?」
と淡々と言うと、君はふっと笑いこう言った。
「そんな夢なら、もうとっくに捨てたよ。だって現実を見てみなよ、シアワセの4文字なんて無かった。今までの人生で思い知ったじゃないか…」
諦めた様にも聞こえるその言葉は、僕に語りかけているようだ。
「それに、」
君は、僕の反応を待たずに続ける。
「自分は何も悪くねぇと、誰もがきっと思ってる。」
君は向こうの方を見て、呟いた。
そうか。僕らの生きてきた世界は、何もが駄目だったんだ、と改めて実感してしまう。
「そう、だね」
そうとしか返せなかった。でも君は
「そうでしょ?」
とまた笑い、次は急に走りだした。
「何か、海見たくなってきた!早く行こー!」
と。
「ちょっと!急は駄目だって…!」
僕は何とか焦りながらも追い付いた。
6:<よみ> [19/08/21 19:28:06] ID:c78b6760
「あは、ありがとう。」
ニッと笑う君。良かった、と心底安心した。

大分歩いた末、気付いた。
結局、僕らは愛された事など無かったんだ、と。そんな嫌な共通点で、簡単に信じあってきた。
嫌な事に気付いてしまった僕は、ぎゅっと君の手を握った。
あの時酷く震えていた君の震えも、今ではもう無くなっていた。またニッと笑った君と、誰からも縛られず自由な環境で、線路の上を歩いてった。
歩いて、歩いて、色々と不自由になってきた頃。
「よし…早く、逃げよう…」
「うん!」
金を盗み、二人で颯爽と逃げた。追われずにもっと走って、歩いて、逃げて。
「はぁっ、はっ…」
「やった…!逃げ切れたよ!」
心から達成感のようなものが込み上げた。
もう何処にでも行ける気がした。ここまでした僕らには今更怖いものは無かったんだ。
額に滲んできている汗も、いつの間にか落ちていた眼鏡も、
「今となっちゃどうでもいいさ。
 あぶれ者の、小さな逃避行の旅だ。」
5:<よみ> [19/08/21 19:14:23] ID:c78b6760
そしと、靴を履いて、僕らは逃げ出した。この狭い、狭いこの世界から。
「家族に心配とかされないのかな…」
今更不安になってきた僕に、君は
「大丈夫だよ、もう何もかも捨てて逃げよう」
と優しく言った。
「……そうだね」
安心した僕はふっと笑みを溢した。
そうだ。何もかも、捨てて、誰も何もない場所で、君と二人で死のう。もう、価値など無いのだから。
少し経って、次は君が不安そうにしていた。
「どうしたの?」
そう問う僕に、君は
「え、あ、いや、罪悪感があってね…」
と困った様に笑った。心にチクッと痛みが走る。
「楓は大丈夫だよ、人殺しなんて、そこらじゅう湧いてるじゃんか。だから楓は何も悪くないよ。何も、悪くない。」
楓、そう、楓。君というのは無礼な気がしたから、そう呼んでいる。
僕は何回も悪くないと言った。僕と同じように安心させるために。
4:<よみ> [19/08/21 18:55:52] ID:c78b6760
涙を流していた君は、驚いた顔をして固まった。
「……へ?」
「僕も、連れてってよ」
更に驚いた顔をする。
「え、だって、死んでくるって」
「うん。分かってる」
僕は食い気味に答えた。すると君は何か決心した様に涙を拭き立ち上がった。
「うん。わかった。一緒に行こう」

そして僕らは、旅に出る為に支度を始めた。
財布を持ってナイフを持って、携帯ゲームも鞄に詰めて、久々に自分の物を探った。
思い出のあの写真や、いつか書き留めたあの日記。今となっちゃいらない物ばかりだ。
もう、僕らには必要ないんだ。全部壊していこう。
さぁ、始めよう。

人殺しの君と、ダメ人間の僕の、旅だ。

3:<よみ> [19/08/21 18:30:15] ID:c78b6760
__
君はまた口を開き、話し始めた。
「殺したのは隣の席の、いつも苛めてくるアイツ。もう嫌になって肩を突き飛ばして…打ち所が悪くて死んじゃったんだ。」
あぁ、アイツか、と想像する。嫌がらせ等をちょくちょくしていたので、苦しくなるのも当然だろう、と思う。
「もう此処には居られないと思うし、どっか遠い所で死んでくるよ。」
そう言う君に、僕は扉を開いていつの間にか、言った。
「それじゃ僕も連れてって。」
2:<よみ> [19/08/21 17:52:48] ID:c78b6760
「昨日、人を殺したんだ。」
君は震えた声でそう言った。
梅雨時ずぶ濡れのまんま、部屋の前で泣いていた。
夏は始まったばかりというのに、君は酷く震えていた。僕は何も言えずにいた。




__
蝉の声が鳴り響く、暑い日。
あぁ、またこの季節か。全てが変わったあの日、あの夏の日。
その思い出が次々と脳裏に浮かんでくる。
それじゃぁ、話そうか。あの夏の日の記憶を。
1:<よみ> [19/08/21 17:23:09] ID:c78b6760
※あてんしょん!
・これは「あの夏が飽和する。」という曲を自己解釈して小説化したものです。
・自己解釈や歌詞を含みます。
・語彙力は埋めたので暖かい目で御覧下さい。
・是非感想やアドバイス等下さってくれれば嬉しいです。
・随時更新型です。

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