コメント数: 41, 小説 ID: n393
【十二支】本編(続き)

【十二支】本編(続き)

(2020年4月17日 22:07:19) [ID: 4b4b24d6]
名前
コメント
41:黒尾 [2020年4月22日 19:39:33] ID:ea561233
【あとがき】

完結~語彙の無さに絶望しながら書いてたのでちょっと不安(なにが)
一応さいご解説すると、

最後、カシワくんのコケコッコーで畴視くんの目が覚めたって感じ(??)
夢の中でカシワくんが追い詰められてコケコッコーする前にしんでたら
畴視くん夢から覚めずにBADENDにする予定でした(くそ)
業徒くんの能力は幻覚などを魅せる能力だったんですけど大幅に履き違えた結果こうなりました(死)
40:黒尾 [2020年4月22日 17:59:43] ID:ea561233

『 畴視へ。元気にしてるかい? この手紙を読んでいるということは、目が覚めたのかな。直接会えなくて残念だ。
…私は今、長旅に出ているよ。あのね、言っておかないといけないことがあるんだ__



「!」畴視はその続きを見るなり、





大山鳴動して鼠一匹。地を揺るがすほど大きな事が起こり、一体どんな結末が待っているのかと期待したが結局、ちっぽけな結末に終わること。


(終)
39:黒尾 [2020年4月22日 17:30:33] ID:ea561233
【終戦:大山鳴動して鼠一匹】


「__はっ、」

畴視は目を覚ます。目の先には天井。
はて?…先程まで自分は屋外に居たし、こんなに暖かい部屋には来た覚えもない。
業徒が運んだのか?なんて寝転んだまま悶々と考えていると、誰かが襖を開ける。
「おい、くそチビ」と顔を覗かせたのは流浪だ。「な、貴様……どうして生きてる??!!」
畴視は驚いてとび上がる。そんな畴視に流浪は、「はァ?なァに言ってんだ、しぬわけねーじゃん俺が」
なんてへらりと笑い、「それよかお前、ここ1週間眠ったままだったんだぜ、俺なら普通だけどさァ、
誰よりもガキなお前がしんだように眠ったままだから、心配してたんだって。」
これ、旦那がお前に。と 言って何かを投げてからまた廊下を歩いていった。

遠くから卯月や猿雷の笑い声、皇虎の怒る声が聴こえた。…死後の世界にでもたどり着いたのか?しかし頬をつねると痛い。
(旦那…?確かあいつが言う旦那は仙人のことだったが……)なんて考えつつふわふわとした布団に投げられた紙封筒を手に取り、開封する。

38:黒尾 [2020年4月22日 11:46:06] ID:ea561233

未来を見たことによって黄鶏が死亡したことを知った畴視は、へなへなとその場にへたりこんでしまった。

「ああ…どうしようもなくなった。おい山羊雑魚、どうとでもするがいいさ。…もう、僕の手元には何も残っていないのだから」
なんて言ってうずくまる。業徒のほうは、関心があるのかないのかわからない顔でじっとそれを見ていて、そしてやっと口を開く。
「どうして私の能力がわからないかわかりますか?」と。畴視はうずくまって顔を上げないまま
「そんなもの、わからない…言えるなら、…僕の…力不足だとしか…」なんて小さい体をもっと縮こませる。
「物語に出てくる生きる石ころみたいですね」なんてぼそっと言えば業徒は立ち上がった。「簡単に言うと、僕は人に夢を見せることができます。」それがいいか悪いかは別…
と 言うと畴視の目の前まで歩いてきて、しゃがみこむ。「貴方いま、悪夢なら覚めてほしいと思いましたよね」畴視はその声にゆっくり顔を上げる。
「みっともないですね、その顔__いつも通りの幸せが壊れただけで人はどうしてそんな顔をするんでしょうか」
すぐ何かにすがりついて不幸せから遠のこうとする。
なんて誰かに語りかけているような口調で、業徒は不思議そうに首をかしげた。
「雪が降ってきたし、日が昇る頃なので、僕はここを去ろうと思います なにより寒いし」と呟けば、
遠くから、朝を知らせる声が聴こえる。その声の聴こえる方角を見る業徒、「一番鶏だったんですか?あの人____



畴視の視界と意識は、そこでぐにゃりと歪んで、真っ白になって、途切れた。

(十二支ー? 新・十二支ー?)
(第十二戦__終)
37:黒尾 [2020年4月22日 11:26:26] ID:ea561233
黄鶏はこれ以上に激しく動くと右の肺にできた傷口がぱっくり開いてそこから臓物がせりあがってぽろりするのではと判断したが仕方なく、
猫叉の顎部を槍の柄で突いて両脚で彼の胴を踏みつけ、地面に組み伏せた。
その衝撃で、黄鶏の肺には余計に血が溜まり、喉にもあがってくる。残る左の肺を機能させてなお、ぎりぎりだ。
猫叉は両腕から感じる激痛に表情を歪めた。この際に彼の両腕を切断しており、もう抵抗はできないぞといった形である。

「一個、聞きたい、ん だけど…」

血を吐きながら、黄鶏。己の方も長くは持たないし、しょうもない質問でもしておこうと口を開いた。口を開く度一緒に血液が出るのが鬱陶しかったが。
「君たちは、何がしたかったの、」と。猫叉は「……」と黙ってから(というか死の間際だったのでいちいち呼吸を整えなければ喋れなかった)、
「…何もしたくなかったんだよ」と言った。「もうすぐしぬってのに、萎えること聞くなよ」

そこで黄鶏は、(__あっ!) と気付いた。猫叉が目を閉じ、己が地面に後頭部を打ち付ける直前、ようやく気付いた。
自分が倒れたことにも気付いたが、もっと大事なことに気が付いた。それは、新・十二支がこんなことをしてまで十二支を滅ぼそうとした理由だ。
今までぐるぐる考えていたが、こんなに簡単にわかるとは思わなかった。(ああ、そうか__)
なんてふっと 笑いながら空を見ると、日が昇りかけていた。「朝だ…みんな………」

意識は薄れていくも深呼吸をして、
最後の力をふり絞るように、
左の肺をフル活用して、
切れた腹から出る腸だのを無視して、
その場に 鶏鳴を響かせた。

36:黒尾 [2020年4月22日 11:08:33] ID:ea561233
..


畴視が業徒とおしゃべりをしている頃、黄鶏。
何回か すりおろしのミンチにされるところだったが、猫叉が『亀』の亀一と馬者丸を貫いた際にぽいっと地面に捨てた
槍を拾ってなんとか攻防を継続できている状況である。
そんな黄鶏のほうは、ふう、……ふう、……… と 息を荒らげている。止血の方は済んでいるようで、まだ生きられそうだ。
しかし自分でもよく今の今まで生きていられてるなと思う。…まあ、今更「諦めますはいさようなら」なんて死に方はできないだろう。
そんな死に方しようものならあいつら、俺に三途の川にすら踏ませてくれないだろうし。
なにより、皆が自分の背中を押して支えてくれている気がすると、体はボロボロながらも闘気はみなぎってくる。

(切られたのが右だけで良かった。)両肺やられていたら今頃肺に血液が満タン入って空気を取り込めずにしんでいた。
猫叉の詰めの甘さに感謝しつつ、「げほっ」と血を吐く。
目の前の猫叉も、「ハァ、きみ、ずいぶん、耐える、ね、速くさ、しんでくれないかな、…!」なんて息を切らしているから、
畴視達を逃がしてから大分体力を削いだらしい。「それは、こっちの セリフ、だよ、っ」と、
黄鶏は猫叉がふりかぶってきたところを、敢えて懐に飛び込んだ。
「懐が がら空きですよ、お兄さん」
35:黒尾 [2020年4月22日 10:46:43] ID:ea561233

畴視は言った。「お前も僕も何も変わらない。求めるものが多すぎるのも同じだ。」と、
仙人や皆との幸せな日々を思い出しながら言う。畴視は、あの日々が続くことを、いつも通りの幸せを、皆の笑う顔を求めていたのだ。
「けど、ただ求めるだけじゃなくて、行動しなきゃいけなかった。求めてばかりの者は 周りに何も与えない。
与えないから、いずれは持っている分のなにかを失って、枯渇しまうんだ」

『じゃあ、僕と君の手元に何もないのは、誰にも何も与えなかったからなんだね』



瞬きをしてまた目を開けると元の世界に戻っていて。
業徒はずっとこちらを見ている。瞳孔が大きくなったり小さくなったりするのがなんだか猫みたいだ。否、ヤギか。
さっきのは幻聴だろうか幻覚だろうか。はたまたこの業徒がなにか“見せた“のか。

そんなことを考えていると、空から、はらはらと雪が降ってきた。
そうか、今日は元日だったな。一日中戦っていたから何月何日なのかなんてどうでもよくなっていた。
この地獄から抜け出せるなら、もう何何年でも月何日でもどうでもよかった。
雪は降っていたがなぜか寒く感じなかったのは、きっと陽が昇りかけているからだろう。
34:黒尾 [2020年4月22日 10:15:41] ID:ea561233
ここはどこだ。気付くと畴視は真っ黒な空間にひとり、ぽつんと立っていた。先程まで自分をじっと見てお喋りしていた業徒は居ない。

すると、畴視の正面に ゆっくりと現れたのは猫叉。
『少し話をしようよ。聞きたいことがあるんだ』黄鶏が相手をしていたはずだが、まさか…なんて思って猫叉を睨む。
…しかしよく見ると実体ではなく、攻撃してくる素振りも見られなかったので畴視は「少しなら構わない」と言った。「その代わり、僕の質問にも答えろ」
『いいよ』なんて快く答える猫叉の姿は、陽炎のように段々ぐらぐらと揺れだして。
『僕と君とじゃ、何がちがうの?』

と。畴視はきょとんとした。『あれ、意味わからなかったかな~…簡単に言うとまあ…
昔からそうだけど、君が求めてるものは手に入るのに、僕が求めてるものはいつも手に入らないよってね__あの馬の子を味方にしたいなあって思っても(なぜかあの子が前に出てきて)手に入れられなかったし、
戦いが思い通りの展開にならないし、十二支の称号だって、十分に努力はしたのにね、
君のせいで、手に入れられなかったし』
どうして?と猫叉は言った。

『君がいなかったら、こんなことにはならなかったのに』
33:黒尾 [2020年4月22日 9:58:54] ID:ea561233

(ぎくり、) 自分は感情を押しころすのが下手なんだなと改めて思う。「図星だったりしたんですか」いやいやそれより…
「おい、山羊の雑魚、どうして僕が未来を視ることができるというのだ?」
新・十二支には口外していない筈だが、…いや、『猫』だ。あいつならリークしかねないか。
なんて考えつつ問うてみた。すると業徒は「当然わかっていますとも」と言った。どこまでも変な奴だ。

畴視は 仙人が殺され、新・十二支からの、この戦争への招待状…手紙を手にとった時から、少し先の未来を何回も視てきた。
視た未来の中では、仲間たちの中に、仇を打たず、いつもの暮らしを続けることを告げると「続けられない」と 自責の念で己の命を絶つ者もいた。
戒めにと己に目もあてられないほどの傷をつける者もいた。皆が暗い顔をしていた。

だから少しでも仲間に生きていてほしくて、希望をもって欲しくて、見えていた未来を少しずつ変えて引き伸ばして今日まで過ごしてきた。
そして畴視はこの戦争の中で 見える筈だった明るい未来へ皆を導くためのサインを見逃し、幾つも判断を間違えた。
あのときしがみついてでも巳己を引き留めていれば巳己は死ななかったかもしれない。
もう少し速く到着していれば羊楽も救えたかもしれない。
自分が常に未来を視ていれば仙人は死ななかったかもしれない。
この様だ。死んだ皆になんて言われるかわからないな。そんな感傷に浸っていると、

『ねえネズミくん、』

という声が聞こえた。
32:黒尾 [2020年4月21日 23:33:35] ID:092fe2c2
【第十二戦:眠り猫と黒山羊と鶏鳴】

「?いいえ、別にそんなことには興味がないので」なんて言って首をかしげる『山羊』の業徒。
「貴方を殺したとしても僕には(死体を処理する時間が増えると感じるだけで)何も得がないですから」
と、淡々としゃべる。その言葉を信用しきった訳ではないが、畴視も首をかしげた。
「じゃあ、なんでここにいる?」すると業徒、またしても首をかしげ、「貴方こそ、ここで何をしているんですか?」
と言った。質問をするとまたそれに対して質問返しをされるという。..(なるほどこれは話にならん。)なんて諦めをつければ畴視は質問をやめた。
「何をって、仙人の仇を討ちにきたのさ」業徒は周囲にあったものに腰掛け、畴視をじっと見つめる。
「貴方、本当は見えていたんじゃないですか?
__この先の未来がどんなものか」
31:黒尾 [2020年4月21日 22:37:20] ID:092fe2c2

黄鶏が立ち上がったまさにその頃、畴視は業徒と対峙していた。「貴方の仲間は善戦していますよ、もうじき、どうなるかは知りませんが」
畴視はごくり、と唾を飲む。(一番遭いたくなかったな……だってこの雑魚、)
この雑魚(業徒)だけは能力が割れなかった。物理攻撃的な能力なら全部避けきれる自信があるが、干渉能力であれば勝てるかわからない…
ええい、そんなことはもう考えるなと自信の心にケリをつけ、

「教えてくれてどうもありがとう雑魚。__この畴視様をころしに来たな?この身の程知らずが」


(十二支ー2 新・十二支ー2)
(第十一戦__終)
30:黒尾 [2020年4月21日 20:22:22] ID:092fe2c2


一方、焼け野原にて、畴視一行。

「おい雑魚…………目を開けろ、立て、息をしろ………………………ああ……駄目かぁ……」

横たわる豚沌を揺さぶっては何度も何度も声を掛ける。己を庇ったがためにしんでしまった。
混乱する畴視は 心肺蘇生を試みてみるが、そもそも畴視のそばにいる豚沌には下半身が無かった。


…数刻前、畴視と豚沌は黄鶏の「遠くへ行け」のサインで遠くまで逃げてきた。焼け野原の近くの道路を一直線に走っていた時だ。

「『山羊』の『新・十二支』__業徒」

という声は聞こえたものの、肝心の姿が見つからず、(罠か…??!)なんて畴視は走り続ける。がしかし、その判断は間違っていた。
畴視あぶない、と言って豚沌が畴視を突き飛ばした時には既に豚沌の踏み込んだそこは大きな音をたてて爆発した。(__地雷?!こんなところに?!)
そういえばそうだった。焼け野原の周りは卯月達を爆/殺させたときの爆風でひびわれていた。
しかし今さっき彼等が踏んでいた地面は綺麗に舗装されていたのだ。
「足元はちゃんと見ないと、転びますよ」
なんて言って上から落ちてきた(降りてきた)のは、『山羊』の業徒。
29:黒尾 [2020年4月21日 17:39:15] ID:092fe2c2
声が聞こえる。『立て、黄鶏』と。

馬者丸…もう駄目だ立てない。足が言うことを聞かないよ

『関係ねーよ、はやく立て』

流浪、俺は腹が切られてるんだよ。肺に血が流れてて苦しい

『お前が護るんだろ』

皇虎、俺はもう何も護れやしないんだよ、護れてたら君も他のみんなも今頃生きてるはずだよ

『……お前なら、大丈夫だから、』

皆してそんなに悲しい顔をするなよ

『『『…頑張って』』』



.
「__あれ~立っちゃったね~!結構弱らせたと思うんだけど、」
猫は驚き「不思議だね、」と言うとあはは と笑う。黄鶏はゆっくりと起き上がると 、
「…笑ってんじゃねえよ」ぎろり、と猫叉を睨み付けた。
28:黒尾 [2020年4月21日 17:23:41] ID:092fe2c2
唐突にこちらへ投げられてきた翼を裂いては
「なになに、なんの真似…__う”ッ?!」
なんて言う猫叉。大量の羽毛がはらはらと舞い散る。(裂いたな、馬鹿が)
黄鶏は 千切って体から取り外した翼を相手に裂かせ、はらはらと散る羽毛で撹乱したのだ。
その間に相手に接近して、鳩尾に一発、力を込めたのを何度も。
…なるほど。こいつは窮地に立っていながら頭が働くみたいだ。なんて分析をしている猫叉は、まだ黄鶏よりは余裕がありそうだ。
鳩尾に確実に入った攻撃の数々によろめきつつ、黄鶏の肩を踏み台にして飛んで 次に繰り出される蹴りを回避した。
一方の黄鶏は自分や目の前のこいつ(猫叉)に対する怒りと、痛みだけで意識を保てているような危篤状態で。
(傷口は相手がふらついてる隙にいくらでも埋められる閉じられる止血できる__)なんて考えていると、
「君のこと、頭良いと思ってたけど、やっぱ君、頭悪いみたい!」と、猫叉は笑った。「__な、」
切られていた。恐らく右肺と腹。肺に血液が入り込んでゴロゴロいう。思わず黄鶏はうずくまった。
「ああ、猫でもないのにそんな声出しちゃだめだよ…まあ無理もないか、
つらいだろ、苦しいだろ、すぐ楽にしてあげるね__」
なんて遠くからゆっくりと歩いてくる。
「げほ、げほ……ゲホッ”」しゃべろうとすると口から血が出てきてどうしようもない。
左足が痙攣を起こしている。立てない。黄鶏はぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締めた。
27:黒尾 [2020年4月21日 15:27:38] ID:092fe2c2
足首を掴む手は段々強くなる。「…こんなことされて、動けない訳、ないだろうが」
(あ~~まずい__)掴まれた足首をバキッ、と折られてしまう前に猫叉は黄鶏に爪撃を食らわせようとふりかぶる。
…が、スカッ、と引っ掻いたのは空気で。いつの間にか足首を持っていた手は猫叉の首を掴んでいた。
(チッ…こいつ、合図を送って『子』と『亥』を逃がしたな)
首を掴む手首はどうやら切断され損ねたらしい。そこまで耐久できまいと、手首に爪をたてる。「ぐ……」
鈍い声を出すと 黄鶏は猫叉から手を離し、一旦、距離をとる。
「ゲホッ、……乱暴は好きじゃないんだよねえ、やっぱり君たち 不愉快極まりないね…切り刻んでやろうか?」
挑発なんて今まで何回もしてきたしされてきたが、挑発されてこんなにも腹が立ったのは初めてだ。
というか「動けないわけない」と言ったが、もちろん余裕なんてものはない。呼吸するだけで胸が苦しいから、
いつものように挑発返しなんてしない。
(重い…これじゃ動けなくなる)なんて黄鶏は翼の根本を握って、ぐぐぐ…ぶちっ、ぶちぶちぶち……と引き千切る。
左右両方引き千切るとそこから血がゆっくり流れてくる。目眩で倒れそうな感覚から痛みで抜け出そうとしたのだ。「誰も助けられない翼はいらない」


弱くなくなったはずなのに
護れる力があるはずなのに
立ち向かう勇気だってあるのに
皆は
なんで!
どうして遠くへいくんだよ!



何の考えがあってか黄鶏は引き千切った翼を猫叉へ向かって投げた。「??!」
26:黒尾 [2020年4月21日 14:58:05] ID:092fe2c2
時は現在。


「あああ……」


黄鶏は枯れて消えそうな声を出す。
『亀』と共に喉を串刺しにされたのは、黄鶏ではなく、 馬者丸だった。
一瞬のことだった。馬者丸は、黄鶏の肩を掴んで、うしろへ突き放した。
尻餅をついた黄鶏は一瞬のことに目を見開く。
刃が引き抜かれると、馬者丸は 黄鶏を振り返って、
苦しさで眉は上がらなかったが 少しはにかんで 人差し指を口元に当てる。
「..あいつが…寂 しく… ない..ように………」

俺もいくよ、と。
ごふっ、と血を吐いて、その場に崩れ落ちた。黄鶏は、今までに感じたことのない感情に駆られた。
頭に熱が集中する。視界がぐわんぐわんと揺れる。急に汗が吹き出てくる。過呼吸になりそうだ。
『猫』はそれを見るなり嬉しそうに笑った。
「この槍、血で塗れてるのに、切れ味すごいよねえ…君は色々動けそうにないから、うしろの二人を先にころそうかな~」
槍をぽいっと捨てると、猫叉はがりっ、と地面で爪を研いで、本物の猫のようにぐーーんと伸びる。
まるで黄鶏だけ時が止まったままのようだ。浴びた馬者丸の血は、顔にもっと熱を持たせるようで。


猫叉が畴視や豚沌のほうへ向かおうとすると、足首をぐっと掴まれた。「動けないわけないだろ クズ」
25:黒尾 [2020年4月21日 14:34:24] ID:092fe2c2


…馬者丸は躊躇いはしたが止めないでおこうとも思わなかった。己の傍で畴視を敵から隠すように立つ豚沌に、
「おまえなら 皆を護れるよな」俺はもうじき毒で死ぬと言って、豚沌の肩をぽん、と叩いた。「あとは託した」


__嫌な予感は的中し、亀一の背後に忍び寄る影を見る。(まさか、味方ごと__!!)
伸ばした手が、届きますように。あのとき 何も掴めなかった手を、黄鶏に向かって、ちぎれそうなくらいに伸ばした。


(..これで、いいはずだ。)

御前は間違っていないと、言ってくれるよな…流浪
24:黒尾 [2020年4月21日 9:51:04] ID:092fe2c2
「ごちゃごちゃうるさい」


うつむいてぶつぶつ言ってそれ以上の行動を起こさない亀一をも排除対象に入れたのか黄鶏は翔んで間合いに入っていった。
「黄鶏、待て」突発的に行動したようにしか見えない黄鶏を引き留める馬者丸の声も届かず。

そして動きの鈍い今、止めに入ろうとしても間に合わないのではないかと躊躇う馬者丸。
槍は遠くへ投げたしその攻撃が誰かに命中していたら敵の手の中にあるか壊されているかのどちらかだ。
(槍が届いていなかったのならもう何も考えたくはないが)

という訳で黄鶏は首を斬れるものを持っていない。そして己は刃物なんてあまり持たないし、なんとかしてこいつをころせないかと
思考停止していた頭を再回転させる。そして翔んで亀一に急接近するまでに思いついた方法は二つだ。
頭突きか顎を蹴り上げてから撲/殺のどちらか。(頭突きは最悪でも脳震盪を起こすだけだから__)
なんて思って空中で蹴りの体勢に入った黄鶏には、畴視の「避けろ!!!」
という声は聞こえなかった。


「そうだね亀一、君はうさぎくんのところへ行ってちゃんと謝った方がいいよ」

ざしゅ、と。亀一のうしろから、亀一ごと、十二支を貫くのは、『猫』。
23:黒尾 [2020年4月20日 22:47:51] ID:f7c57c3c


『亀』の亀一は、なぜか怒っているような、悲しそうな表情で。
自力で瓦礫から抜け出てきたのか、皮膚は所々擦れて血が出ている。
「卯月は..最後まで…逃げ続けた私を……許すことは…ないでしょう…………ああ…」
なんてぶつぶつ言っては錫杖を杖のようにして這い出てくる。
彼からは、今まで抱えてきたであろう後悔や悲しみの念が溢れるように流れ出ている様な感じがした。
この人はそれでも戦おうとしているんだな…と。
顔を上げても黄鶏は表情を変えることなく 亀一のその言葉を耳にし、ぽつりと言った。

「…はやくころしてあげないと」

畴視たちも 言った黄鶏自身も、「?」と目を丸くして驚く。「…卯月のところへ行って…謝れば…..許してくれるでしょうか…」
と言うと亀一は錫杖をどん、と地面に突く。「それなら…ここでしぬのが妥当なのでしょうか……」
22:黒尾 [2020年4月20日 18:40:38] ID:f7c57c3c
【第十一戦:亀の年を鶴が羨む】

「……黄鶏、大丈夫か」
地上へ降り立つと馬者丸達が駆け寄ってくる。はは..と笑うと「縫い付けてた腕が取れちゃった」
なんて、腕と腕の繋ぎとしての役割を果たしていた『蜘蛛』の糸が切れたらしく、
黄鶏の片腕は無くなっていた。止血のしようがないな、なんて乾いた声で笑うと仲間に背を向ける。
…今、自分がどんな顔をしているかわからない。けど、あまり見せたくないような表情なんだなっていうのはわかった。
仲間が、敵が一人しぬ度に自分が何の為に戦っているのかわからなくなるのがたまらなく辛い。
それでも戦い続けなければいけないのが本当はとても辛い。だけどそんなことを言って
『じゃあこの戦争をすぐやめましょうね、』『じゃあ平和にしましょうね』なんて誰も言わない言ってくれない願っても誰もやってくれない
誰も明るい未来は見てくれないしここに居る皆だってきっと見ていない
から終わらせたい、はやく。
終わらせて楽になりたいのだ。
そんな気持ちを抱えつつ、「あと何人だっけ…」と振り返る。
畴視も馬者丸も豚沌もいつものようではなくて、ちょっと困った顔をしていた。

「…あと…三人ですよ……」


..居ないはずの、五人目の声が聞こえた。
「『亀』の『新・十二支』__亀一………ずっと……卯月に謝りたかった……死んで..しまったのですね…」
21:黒尾 [2020年4月20日 17:29:45] ID:f7c57c3c
「させるか」



__猫叉を助けようとして伸ばした影狼佐の手は、残念なことに、猫叉に届かなかった。
横槍を入れられる、とはまさにことことである。
物理的に、強引に入れられた横槍は、見事に影狼佐の首にクリティカルヒットをし首と胴を切り離す。
「!!」
そのまま落下していく中、ふと空を見ると、『酉』とおぼしき人物がこちらを向いているのがわかった。

そしてとうとう、長い空中戦(?)を繰り広げたあと、がしゃん………と瓦礫や新・十二支の面々は様々な形で地面に着地した。
猫叉と防御のカタい亀一は生存していたが、首を斬られた影狼佐はそのまま槍と共に ころん、と転がっていた。
「くそっ…………くそっくそっくそっ!!!!絶対にコロしてやる…………」思い通りにいかない展開に猫叉はぎりぎりと歯ぎしりをしつつ、
瓦礫を殴り潰す。


(十二支ー4 新・十二支ー3)
(第十戦__終)
20:黒尾 [2020年4月20日 17:11:19] ID:f7c57c3c
「狼くんっ」

落下していく中で味方の名前を呼ぶ。「__!」『狼』の影狼佐は少し速く落下していたがその声に反応すればこくりと頷く。
狼が先に瓦礫に埋もれて傷を受ければ、(狼の能力により)この塔の崩壊に己が巻き込まれなくて済むのではと考えた。
影狼佐は猫叉を上に飛ばそうと手を伸ばす。



一方、先程まで塔から飛び降りた面々を回収していた黄鶏は崩壊する塔をじっと見つめる。
「今だ、投げろ雑魚!」という畴視の合図で、
ぎりぎりと握りしめていた槍を、勢いをつけて、崩壊する塔一直線にぶん投げた。
19:黒尾 [2020年4月20日 16:40:50] ID:f7c57c3c

がたがたがたがたがたがたがたがた…


………がしゃーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!


文字に起こすと 子供が積み木でも崩しているような効果音だがしかし、実際にその場に居ると全然違うように聴こえるのがわかる。
建物全体が揺れ、それから床が崩れ落ち始めた。猫叉は「やってくれたねえ…」なんて言って笑うが焦っていた。
どうやって脱出しよう。己の能力ではどうにもできなさそうだ。無駄に爪をたてても折れて落下死するだけだろう。
なら誰を使おう。向こう(十二支)のように空を飛べるような者もいなければ落下の衝撃を和らげる者もいない。
そういえば味方は何人居た?蛙は死んだが己を含め数えて4人は居た筈だ。
…いや、この塔が崩れる直前には3人しか居なかった。(このどさくさに……逃げやがった……のか!!?)
落下していく新・十二支の中には、

『山羊』がいなかった。
18:黒尾 [2020年4月20日 16:17:11] ID:f7c57c3c
パチン、と
咄嗟に猫叉が指を鳴らして出てきたのは、

「『亀』の『新・十二支』__亀一」
ひどく悲しそうな顔をしたその男は、錫杖で槍の攻撃を受け止めた。
(この生意気な猫くんになら結構な打撃を喰らわせられたはずだけど、
くっそ、この人に出て来られたらどうしようもないな)
ぐぐぐ…、と更に力を込めると黄鶏の攻撃は弾かれる。
そうこうしている内に馬者丸達は残りの新・十二支と刃を交えていた。「なんだい、急に殺る気になったみたいだけど……」
なんて笑う猫叉は馬者丸に爪撃を食らわせるもぎりぎりのところでクナイに食い止められる。
「でも君、さっきより少し動き鈍いし、そもそも防戦一方じゃないか!!」なんて嬉しそうに笑う。が馬者丸も気にはしなかった。
「時間稼ぎが出来れば十分だからな」


「翔べ!!」
畴視は叫ぶ。と 同時に十二支側はぱっ、と退いて、壁面に空いた穴に飛び込んだ。
「みんなで飛び降りて心中するって訳?」バカだね~、なんて言いかけて猫叉はぴた、と動きを止める。床の震動を感じたのだ。
「退避__」と猫叉が叫ぶのと、床が崩れるのは同時だった。

17:黒尾 [2020年4月20日 15:43:17] ID:f7c57c3c
猫叉は目を見開く。
「おやまあ」

畴視もまた距離を取り、隠し持っていたナイフを取り出した。
「…最初から、和解する気なんてなかったからさ 今ここで全員始末してやろうと思ったけど、案外カンが良いんだね?
そこの馬くんは良いなあ、うちには到底持てない機動力だ__『糸』か『憑依』があればこっちのものにできたのになあ~」
と馬者丸を見る。馬者丸の方は、腕に刺さったメスを引き抜いて、傷口に入り込んだらしい毒の処理を試みていた。
「……使えないやつと交換したかったよ、ほんと 今まで死んでいったやつらは死んで当然だったんだろうな」
まるで味方のことすら自分が操る駒のようにしか思っていないその言葉に、黄鶏は尋常じゃない位の怒りを覚えた。
猫叉はその怒りを感じとったのか嬉しそうに目を細め、
黄鶏の方を見る__が、床がミシ…とひび割れる音がすると黄鶏は先程居た場所に居らず。
「__!!」猫叉が上を向くと、黄鶏が己の間合いのそばまで(いつの間にか蛙の頭部から槍を抜きとって)飛びこんできていた。
「誰かの死を御前が冒涜するな」

そう言って黄鶏は、大きく槍を振りかぶった。
16:黒尾 [2020年4月20日 14:50:38] ID:f7c57c3c
「え」
ぐらりと視界が揺れる黄鶏。それは敵に刺されたとかそういうのではなくて、馬者丸が黄鶏を横に突き飛ばしたからである。
「気にするな…__ッ!!」馬者丸はよろめいて一瞬顔をしかめるもすぐ体勢を立て直した。片腕には何か塗られたようなメス
(医療用ナイフ)が二本突き刺さっていた。
「…馬者丸」
突き飛ばされるまで意識がぼーっとしていたのは、
少し前に全身に喰いこんだ蜘蛛の糸に分泌されていた神経毒が体内に廻っていたせいか。
しかし青藍にも刺さっていた。頭部を貫通する何かが。
注射器?いや違う。馬者丸も黄鶏も攻撃をはね返す能力なんて持っていない。
馬者丸が、槍を投げた。

海岸を歩いている時に拾った、流浪の槍だった。
15:黒尾 [2020年4月20日 14:34:30] ID:f7c57c3c
「__さあさ、ダンマリ決め込まないでそろそろ話そうよ」なんて頬杖をついてもう片方の手をひらひらと振って遊んでいる。
畴視の方も覚悟が決まったようで、「僕の方はいつ始めても構わなかったが、なにか?」と強気に出る。
本当は自陣が不利な状況下にあったことは痛いほどわかっていたし、
自分も泣き出して逃げ出したいくらいに追い込まれていた。でも畴視は
(綺麗事も言わないし、泣き言も言わない。)。
そんな畴視に あっそう、と猫叉は言うと 「そう、そうだね、じゃあ、話を始めようか…」と、あくびをしながら話しだした。

「和解する気にはならなかったようだね、ネズミくん。僕は悲しいよ。和解したら、何もかも終わるのにね、どうしてだろうね?」
「…貴様らの目的は何だ」「目的?目的を聞いて何するの?…和解するつもりがないなら尚更教えたくない」
「そっちだって大勢人を殺しておいて今更和解の話を仕掛けるなんて、沸いているのか?頭が」
こういった風に、話し合いは平行線を保つばかりで数十分。
猫も鼠も、このままではカタがつかないと思ったのか溜め息をついた。「仕方ないな、仲介人でも入れようか」
なんて猫が手を挙げた。と同時に


「『蛙』の『新・十二支』__青藍」


と 、青藍が名乗り何かを投げるのと、黄鶏が倒れるのはほぼ同時だった。
14:黒尾 [2020年4月20日 9:31:29] ID:f7c57c3c
【第十戦:井の中の蛙大海を知らず】

「貴様も変わらず間抜けな顔をしているな、負け猫」
そんな皮肉を交わしている彼らは現在、十二支、新・十二支を合わせて九名である。
『子』の畴視、『午』の馬者丸、『酉』の黄鶏、『亥』の豚沌、『猫』の猫叉、『蛙』の青藍、『狼』の影狼佐、『亀』の亀一、『山羊』の業徒。


斜塔の最上階には天井があり、壁面も穴がぼこぼこ空いていて、
真ん中に即席で用意されたような石作りのテーブルやイスが置かれている。
こんなところを交渉の場として選ぶのはどうかと猫叉のセンスを疑うが、
先に席についたらしい彼に「座りなよ」と言われると畴視はゆっくりとイスに腰かける。
イスは双方ひとつしか用意しておらず、残りの面々は代表者のうしろに立っているといった様子だ。
緊迫した空気の中、黄鶏は猫叉のうしろの新・十二支をひとりひとり見。(そうか、あれが、あいつが、例の__)
13:黒尾 [2020年4月19日 21:45:29] ID:3f3998ce
.


「あそこだ」畴視の予知で見つけたそれは、その外観がまるでピサの斜搭のような建物だった。
扉のないその中へ入っていくと、螺旋状になった階段が四名を出迎える。「この最上階に行けば良いのか」
階段で行けば大分時間が掛かるが…なんて考えるが こちらにも“準備する時間“が必要だ。
だからわざわざ飛んですぐ上に到着できるはずの黄鶏にまで階段を登ってもらっている。
そして数刻経ち、最上階まで登ってくると、目の前に重厚な扉がそびえ立つ。
畴視はすうっと息を吸うと、ゆっくり吐き、その扉をぐぐ…と押し開いた。
部屋の中に居た物影は畴視を見て笑う。「ここには階段しかなくてさ、僕達も登るのに疲れたよ。


『猫』の『新・十二支』__猫叉………やあ、久しぶりだねドブネズミくん」

(十二支ー4 新・十二支ー5)
(第九戦__終)
12:黒尾 [2020年4月19日 15:47:44] ID:3f3998ce
ぴしゃ、と周囲に散る血液は凛鹿のものだ。
首にぶら下がっていた手榴弾は不発することなく役目を果たし、凛鹿の頭を吹っ飛ばした。
「……!」凛鹿の胴体はマネキンのようにぐらりと揺れて倒れ、その懐から紙のようなものがひらりと落ちる。
黄鶏はそれをひろげて書いてあることを見るなり、「ああそうか」と呟いた。
相手にこの手を打たれてはこちらも『ノー』とは言いきれない。


「作戦変更…答は、イェスだよ」

さあ話の続きをどうぞ、ねずみくん?と言えばひろげた紙をびり、と破った。
11:黒尾 [2020年4月18日 22:29:14] ID:7cafc137
凛鹿は ぽかん とした顔で、「え?『ノー』?それって、イタリア語で『イェス』って意味でしたっけ?」
そんな凛鹿に黄鶏は言う。
「『いいえそれに賛同しません』って意味だよわかんないの__イタリア語でも『ノー』は『イェス』の意味にはなんないだろ」
きっぱりいい放つそれに畴視は(頼もしいな)と思った。自分は一瞬、『これ以上仲間が死なないなら和解しても良いのかもしれない』
なんて思ってしまった。情けない。ああ、そうですか…………と眉を下げて言う凛鹿。しばらくうつむいてがちゃがちゃやりだす。
「…黄鶏」馬者丸は、何か罠を仕掛けているのではないかと黄鶏を見ると、黄鶏も警戒しているらしい。
漸く顔を上げた凛鹿の首には、手榴弾がぶら下がっていた。「なっ__」
「『イェス』と言われても『ノー』と言われても、しぬように頼まれたんですよ。僕は争いが嫌いですし、ちょうどいい。
あなた達の目の前で自決すれば、あなた達は何らかの形で必ず傷付くってね……良いですよね、誰かに頼りにされるって。

__ではさようなら」


そう言うと凛鹿は、ピン、と紐を引っ張り 手榴弾を起爆させた。
10:黒尾 [2020年4月18日 22:05:35] ID:7cafc137
「……は??」畴視は目を丸くする。和解?こいつは何を言っているのだ。
「このまま戦っても、痛み分け延長戦になってどちらの勢力もくたばってしまうでしょう?
…あなた方も僕達も、これ以上犠牲を出したくない…」なら、と手をぱん、と叩く。
「和解をしましょうよ、。こちらも例の件については、申し訳なかったと思っておりますし…」
例の件、の言葉に先程ようやく目を覚ました黄鶏はピキ、と青筋を浮かばせる。
「…そんなに黙らずに、イェスか ノーか、言ってくださいよ」畴視が口を開く前に、黄鶏が口を開く。「決まってるじゃないか、そんなこと、」

「答は、ノー、だよ」
9:黒尾 [2020年4月18日 21:46:00] ID:7cafc137
からんころんと下駄を鳴らし、どこかからか飛び降りてきたのは『鹿』の凛鹿。
さらさらとした髪は着地した際にふわりと揺れ、隠れていた片方の目が露になる。
「遠雷は………死んだみたいですね、ああ、悲しい」なんて言って顔色も変わっていない。
本当は悲しくないのだろう。というか どうも思っていなさそうな顔だ。
「…殺しにきたのか、きっとそうだな」と畴視。馬者丸達も無言で構える。
すると凛鹿は首を横に振った。「いえいえ、僕はそんなことはしません。人を殺害することなんて、
できるような者ではありませんし……僕の話を、聞いていただけますか?」そう言うと口元に人差し指を当てる。


「僕と__僕達と、和解しませんか?」
8:黒尾 [2020年4月18日 16:07:03] ID:7cafc137
【第九戦:鹿を追うものは山を見ず】

畴視たちは 今、交差点まで歩いてきていた。先程目を覚ました豚沌はまだ元気である。


ちぎれそうな黄鶏の腕を 黄鶏の体に残っていた糸と ピンのようなもので縫い付けると馬者丸は息を吐く。
「聞け、」と畴視。「敵は残り6名。『猫』『蛙』『狼』『亀』『鹿』『山羊』。
猫の能力は把握しているので必要はなかったが、他の雑魚共の能力を予知で粗方把握した。いま話す。」
ひとりは 能力を見れなかったが…と畴視。
「向こうの雑魚、生き残っている者は全て体力を温存している。…我々が圧倒的に不利だ。」
だから……と言いかけた時、ガタンと音がなった。
「あ、……話の途中に失礼しました。


『鹿』の『新・十二支』__凛鹿と申します」
7:黒尾 [2020年4月18日 15:10:20] ID:7cafc137
「ええいちょこまかと…」なんて言う『狐』…に馬者丸が打撃を加えようとすると、畴視が手で制す。そして何か合図をしている。
(脱け殻…?)「このチビは後回しにした方が良さそうよのう…んん?そこに倒れているのはしんでいなさそうだな?」
と孤慰十は目を覚ましつつある黄鶏..と馬者丸の方へ近付いてくる。
馬者丸はすうっと息を吸って、地面を力強く踏み込む。(一か八か……もう、誰にも、死なせない)
そして地面を蹴り、近付いてくる孤慰十の間合いまで走れば たんっと跳び、孤慰十の背後を取る。
そして項を力を込めてクナイの柄側で突いた。この間約2秒である。豚沌には気絶させてしまうが孤慰十をひっぱがせるはずだ。
そしてテンポよく孤慰十の脱け殻の方へ跳び、舌打ちをして起き上がりかけた孤慰十の首に思いきり蹴りを入れた。
べきっ、と骨の折れる鈍い音を立てて、首がひん曲がった孤慰十は恐らく死亡しただろう。
ふう…と息をつく馬者丸は、「これで…ダブルスコアだ」と。畴視も頷いて、「捻り潰してやる、雑魚共」と小さく呟いたのだった。

(十二支ー4 新・十二支ー6)
(第八戦__終)
6:黒尾 [2020年4月18日 14:24:53] ID:7cafc137
片足がないらしく、義足をつけているらしい彼..『狐』は若干びっこをひきつつこちらへ向かって歩いてくる。
前記の通り、近距離戦は得意ではなさそうだがなぜか近付いてくるのが妙だ。
「!」
畴視は予知で異変に気付いたようで、口を開く。「奴と目を合わせるな!!」…と叫ぶも空しく。
豚沌が畴視に攻撃を仕掛けようとかかと落としを喰らわせようとしたのである。
やはり途中まで近付いてきていた孤慰十の体はばったりと地面に倒れていた。まるで魂が抜けたようである。
「はははは、この体はよく動くのう…愉快、実に愉快じゃ、」
なんて振り落とし様に言う。(豚沌に乗りうつったのか…?!)馬者丸は気絶している黄鶏を なにかあっても助けられるように
己の間合いの内側の中に寝かせておき、クナイを素早く豚沌(に乗りうつった孤慰十)に投げようとした。が、暴れている体が豚沌の為、
仕留めるのを躊躇う。豚沌からの蹴りをかわした畴視は、「なるべく体を傷付けずにこの雑魚の動きをとめろ!」
と 馬者丸に叫んで 空間をえぐるような勢いの蹴りを間一髪でかわしていく。
(起動力ならこの僕が遥かに上だ、しかし当たったらひとたまりもないだろう…
避け続けている間に残りの雑魚にこの雑魚の動きを止めさせなければ…)
5:黒尾 [2020年4月18日 13:02:50] ID:7cafc137
「お前ひとりを死なせる訳ないだろう!!」
ぷつん、と糸が切れる音と、己の体に誰かがぶつかる音と そんな声が聴こえたところで黄鶏の意識は途絶えた。


一方、業徒。(__え)
十二支が集結している場所へ丑、卯、申を葬った時に残った不発弾をすべて投下した直後のことだ。
新・十二支..味方諸とも爆○するつもりでいたが、十二支の面々がそこから飛び出していくのを見て戸惑う。
(味方のほうは出てこない…)無理もない。味方は微塵になって室内の床に転がっているのだから。…その数刻後。

どーーーーーーーん、

と、周辺に爆発音が轟く。「__!」黄鶏を救出してギリギリのところでそこを脱出した馬者丸も、爆風に飛ばされた。
先に畴視と避難していた豚沌に黄鶏ごと受け止められ、「悪いな」と一言。
そんな四人の前にまた一人、誰か現れた。


「『狐』の『新・十二支』__我の名は孤慰十」
4:黒尾 [2020年4月17日 23:56:22] ID:4b4b24d6
(__え)
糸の体には、糸自身の生成した頑丈な糸がぎっちり絡み付いていた。どの位置 間隔に糸がどれだけ配置されていて
どのくらいの柔らかさだとかわかるわけないのに、というか君の手は血塗れだけど、えっと、なんだこれ。
…というか、(君の両腕にもぎちぎちに絡みついてるじゃん。死ぬほど痛くないのかな?)
黄鶏が糸をぎりぎり引っ張る度に糸の体を、黄鶏の腕をその糸が締め付ける。「いて………痛..いなあ……ねえ、その糸、毒があったら どうする?」
そんな挑発ぎりぎりの黄鶏の耳に届くはずもなく。
(あと少しで千切れる)ありったけの力で糸を引っ張れば、
『蜘蛛』の体は微塵に裂け、黄鶏の右腕も衝撃で危うく削ぎ落とされそうになる。
左は手首部分に糸が半分まで食い込んでいる。(あちゃー、..ぎりぎりしねなかった…皆はちゃんと出れたかな?)
首にひっかけようとした糸は切れていたらしく、落胆する。

…すると一瞬、体がふわっと軽くなって 宙を舞った気がした。
3:黒尾 [2020年4月17日 23:37:28] ID:4b4b24d6
「もう、すぐ言わないでよ 」


つまんないなあと不機嫌に言う声は羊楽のものではない。その影が表に出てくる前に
黄鶏は畴視達にサインをおくる。味方..十二支にしかわからないサイン。あまり絡まない畴視や豚沌に通じるかはわからないがやるしかない。(やらないといけない。)
できるできないじゃなくてやらなきゃいけない。…最悪、なにかあれば馬者丸がなんとかしてくれるだろうし。
黄鶏は羊楽からの攻撃を避ける際、空間の所々にぴんっと張る糸が仕掛けられているのを見つけた。
「さあさ、もっと遊ぼうよ?」

「『蜘蛛』の『新・十二支』__糸」

「御前かよ」
できたばかりの泉のように溢れ出てくる憎悪を押しころしつつ黄鶏は宙に張り巡らされている糸を数本纏めて掴んで、ぐいっと自身の方向へ引き寄せる。
特殊な糸なのかは知らないが強度が強いらしく、両手に食い込んで血が滲む。けどそんなことどうでもいい。すぐにこいつをころす。
今の俺は多分よく動く。心ってすごいなって改めて思った。昂る気持ちを抑えながらふうーっと息を吐いた。
敵襲が来たということは恐らく我々の位置が知られている。ということはまた何かしらの大打撃を喰らう可能性がある。
引っ張られたことに驚きつつ、糸はにこーっと笑う。「諸ともって訳?みんな一緒にしぬ?いいよ楽しかったし!」
(命を、なんだと思ってるんだ。)
黄鶏はにっと笑う。「え?皆?何言ってんの?」

「しぬのは御前とオレだけだよ、バーカ」
2:黒尾 [2020年4月17日 22:30:18] ID:4b4b24d6
【第八戦続き(戦闘までのやりとり大分カットします)】

十二支の四名(子・午・酉・亥)が集まっていたそこに、誰かやってくる。
ふらふらと、まるで酔っているみたいに動いて見える。
「なんだ」十二支の一同は身構え、そのおぼつかない足取りの人影をじっと見た。
暗い影から出てきた彼は、十二支の『未』、羊楽。「…生きていたのか?!」畴視は驚き かけ寄ろうとするが豚沌が止める。「怪しい」
羊楽は ぎぎ……と 音が鳴っていそうなくらいに人間みのない動きで矢を取る。そして弦を引き、ぱっと手を離す。
それを、腕が壊れそうなくらい何度も何度も繰り返すのである。
「__やっぱり変だ」飛んでくる幾つもの矢をすれすれで回避しつつ黄鶏。畴視と豚沌は顔を合わせた。
「ああ変どころじゃないさ!!だってあの雑魚、既にしんでいるんだからな!!」
1:黒尾 [2020年4月17日 22:09:52] ID:4b4b24d6
n289
↑前回までの内容と注意事項

・更新速度はなまけものが瞬きする並みにゆっくり
・前よりはマシになったかと思ったらもっと語彙力なくなってて要約できなくなってたので
しょうもない上につまらないと思うと思いますがどうぞ暖かい目でお見守りくださるようお願い申し上げます(土下寝)
・ハピエン目指してますが救いようのない展開になる可能性もありますので何卒…

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