コメント数: 33, 小説 ID: n429
二次創作ss

二次創作ss

(2020年8月1日 23:57:16) [ID: 3a588965]
名前
コメント
33:. [2020年8月2日 0:20:33] ID:20269fb9
グワ!誤送信!
・ルビ挿絵含めたもの(pixiv)→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13409757#1
・身内ネタの元(べったー)→ https://privatter.net/p/6195595 p2,3,6
32:. [2020年8月2日 0:19:10] ID:20269fb9
【注意】
・「コメント表示順序の切り替え」をお願いします
・伏せ字の影響により若干残念な結果
・ルビ含めたものはpixiv
31:. [2020年8月2日 0:17:32] ID:20269fb9
砂を踏み踏み、二人の言葉は紡がれる。
今宵はここまで、夜の帳は開けていく。

ワルツはまだ終わらない、終わらせない。
三拍子で刻まれるリズムに、神父はそっと身体を預けた。
30:. [2020年8月2日 0:17:10] ID:20269fb9
ぐ、と神父の体が引かれる。そのまま無理矢理公園の中に。街灯がスポットライト宛ら、煌々と二人を照らしている。

「……こりゃ朝までコースだな」
「どちらが折れるかデスか?それなら勝ちましたネ(笑)」
「……あークソ。話し過ぎたんだよ」
「ン?すみません聞こえないのでもっと具体的に」

1、2、3。1、2、3。
散々飽きた音色とテンポで、脳内楽譜は流れ出す。
1、2、3。1、2、3。そこでターン、そこでターン。
クソが、あの時とおんなじじゃねえかよ。

「オレの事話し過ぎたって!!」
「ですから具体的にどうぞ」
「オレだってさあ……」
29:. [2020年8月2日 0:16:42] ID:20269fb9
「……流石ワタクシ!幽霊には厳しいかと思いましたがネ」
「何言ったんだよ」
「はて。なんの事やら」

帰路に着いたであろう彼女を、神父と道化は見届ける。どうやら本当に覚えてはいない様で、二人の姿を目にしたものの特に反応を示す事はなかった。
ああ、もうあの会話も、オレの記憶の中でしかない。神父はあの瞬くルビーを忘れまいと何度も何度も記憶の中で反復した。

「で、何を言い過ぎたんですか?」
「言うかバカタレ!!」
「ならワタクシ、言うまで踊らさせて貰いますが?」
28:. [2020年8月2日 0:16:14] ID:20269fb9
月明かりは流れていく。
世界を照らす様に、ただ時と共に流れていく。
夜明けは、すぐそこに。


————————













水瀬 廃


7/28
27:. [2020年8月2日 0:15:53] ID:20269fb9
「………かーえろ」

やはりダッツは美味しかった。ぶらぶらと公園にいたはいいが、やる事がないとつまらない。すずめも見逃したし、帰ろっと。
公園の前を、談笑している男女が通る。私も生きてればなぁ、とか思ってしまう。センチメンタルな気分は良くないと分かってるけど、なんかそう思ってしまう。
けど。
私は。


「(……私は、アイツを殺したいから、ここにいる)」


義務感からじゃない。
誰かに言われた訳でもない。
私が殺したいから、私はここにいる!
なんだか、初心に戻ったみたい。なんでかは知らないんだけど。
ただ、何かの間違いが正された様で気分はよかった。今日すずめを逃したのも、なんとなく許せる気がする。
家に帰ったら何をしよう。テレビ見て、寝よ!
26:. [2020年8月2日 0:15:32] ID:20269fb9
「ですから、意味のない置き土産でも」


そっと、手を取られて。
耳元で。



「あの人も、偉そうに言って結局『間違ってる』んです。
人生自体、ネ♡」



言い返せぬまま、暗転。
25:. [2020年8月2日 0:15:10] ID:20269fb9
OKを出す様にひらひらと片手を振って、彼はベンチにだらしなく座っている。寝てると言ってもいい。
今なら何をされるのか、いや何をするのか全く予想はつかないけれど、何となく、私の勘がヤバいかもしれないと囁いてくる。
違う、ヤバいんだ。
彼の瞳は、もう、色を成していない。
冒涜的で、何もかもが狂ってしまう程の、言い表せない色。


「サヨウナラ。もう会う事もないでしょうし、どうせワタクシ達の記憶も消えてしまいます。
ええ、ワタクシ達など唯の泡にしか過ぎないのです。
ワタクシは、ワタクシの持ち主に従うのみでございます故」


小さく、私にだけ聞こえるような声で。
私じゃなくても、誰かに_少なくとも、彼自身ではないように感じたけれど_言い聞かせるような。
24:. [2020年8月2日 0:14:40] ID:20269fb9
「…何故?」
「言い過ぎた」
「アラ♡それは好都合。こんな可愛らしいお嬢サン、一つ二つ爪を剥いでやれば全部話してくれそうですネ」

そう言って長い足をこちらに歩ませる。頭ひとつ分相手の方が高い。神父の彼と並んでも然程苦労はなかったが、流石にここまで差があれば
見上げないと顔が見えない。
何より発言が物騒なもので、普通にちょっと印象は悪い。普通親友でもこんな事冗談で言わないでしょ。言わない…言わないよね…?
それより、何でこっちに立ち塞がるのか。

「え、えっと…?」
「ウソですって♡そんなヤバンな事ワタクシがするとでも?ええ。致しません!」

からからと喉の鳴る様子に、張り付いたような笑み。何よりそこにいるのに、いないような、圧倒的な現実感のなさ。何だか怖くて、身体が竦んで動かない。
ああ、怖がらなくても、なんて戯ける様に一つ言えば、髪の束を綺麗に翻してまた一言。

「どうしますゥ?」
「オレらのこと全部」
「……それでいいんですネ?ワタクシ、ホントに来たのさっきですし。取り返しつきませんヨ?」
「ン」
23:. [2020年8月2日 0:14:19] ID:20269fb9
そういえば、お兄さんのフリをする時に弟は神父だ、とか言っていた。ここまで毒突く神父がいるものかと内心思うが、現にこうして呼ばれているなら、そうだと言う他にないのだけど。
面倒そうに顔を背けるお兄さんが、いかに彼が厄介な人間かをひしひしと感じさせてくれた。

「うるせえ近寄んな」
「そんな言い方しなくても。麗サンが『帰ってこないなら入れてやらんぞ』〜って。ワタクシ、神父サマが飢えて死んでしまうのだけは面白くないですもの!おサイフ持ってすっ飛んできましたヨ」
「ンな御託はどーでもいいんだよスリルジャンキー。やって」

お喋りな彼は長い髪を垂らしているが、月明かりが反射して紫がかって見えている。
…ん?いや、紫かもしれない。ここまで明るい紫、ないと思うけど。あったとて私の髪色もオレンジだし、多分、そんなにおかしくはない。筈。
22:. [2020年8月2日 0:13:49] ID:20269fb9
「ブラボ〜!!!!♡♡
やっぱりニンゲンって素晴らしい。死して尚紡がれるストーリー、復讐の為に走っていながら、勝手にその殺しを正当化!
ええ、実に愉快!実に愚か!どうしてこうも、必要以上に保守的になってしまうのでしょうネ」



闇夜に溶ける様に、誰かが立っている。
甲高いギャラリーの様に声を上げて、両手ではつはつと拍手を送られる。
多分、私の事なんだろうけど。
………それにしたって、


「失礼じゃない!??」
「エヘ♡勿論ワタクシ世界が無礼講です故?ね〜神父サマ♡」
21:. [2020年8月2日 0:13:28] ID:20269fb9
そうして、全てが繋がって。



「私は、アイツを"殺したい"!」



いつからだろう。
最初はただ憎らしくて、殺したいとしか考えてなかった。
だけど、いつの間にか『○す』のは手段になって、必要のない言い訳を重ねる様に理由が膨れ上がっていた。
そんなのおかしいのに。
そんなのあり得ないのに。
だって、私は。
アイツを"殺したい"だけなんだから。
20:. [2020年8月2日 0:13:06] ID:20269fb9
私は。
私は、

私は、彼を○す為にここにいる。
ごめんなさいを言わせる為に。
さようならを言う為に。
だから、私は。


「…わ、わたしは、」


一つ瞬きをする彼を、そっと眼前に見据えて。


「私は、」


あの憎たらしい情景を、目に浮かべて。


「私は!」
19:. [2020年8月2日 0:12:07] ID:20269fb9
間違ってる?
何が、と口を動かすが彼は答えない。ただ、何かを見据えて遠くを見ている。
その青い瞳には、何も映っていないけど。

「…兄貴は、オレを弟にしたいんだよ。だから間違った愛情表現をするんだよ」

こちらを見ない。独り言の様に、呟かれる。
取り残された様な疎外感を感じながらも、言葉が再び紡がれるのを待つ。

「オマエは、ソイツに何をしてほしいワケ?その過程で『○す』必要はあるワケ?なあ。」

…‥勘か、それとも殺気が漏れていたのかは知らない。
だけど、殺そうとしているのは本当だから、面食らってしまう。
こちらを向いた彼は当たりを引いて上機嫌なのか、意地悪そうに口元が歪む。

「手段と目的、理解してる?オマエは本当に『殺そうとしている』だけか?」
18:. [2020年8月2日 0:11:46] ID:20269fb9
「……なんで、私が見えるの?」
「知らん。オレだって聞きてーよンなもん。
こっちに来てからってのは覚え、……いや受肉してるとは言え悪魔もどきやらクソ猫やらあンのバカやら……
……はークソ……」

最後の1人だけ妙に恨みがこもっていた。恐らくはお兄さんか、また別の人か。私には分からないけど、その殺意に溢れる様な目は、何かを掴もうとしていながら確かに掴みきれていない様子だった。つまり知らないって事だ。ちょっと残念。この時点で、私が得るものはほぼなくなったと言えるだろう。
どうぞ、と次を促す。

「はいかいいえでいい。オマエ、さっきのオレをオレの兄貴と考えろ。
兄貴と自分が似てるって感じたから黙ったろ」

図星だ。
黙りこくる選択肢はなさそうだったので、素直に肯く。どうでも良さそうな相槌が打たれた後に『一応役に立ったワ』なんて声が。

「兄貴もオレに対してしつこいもん。オレの所感だけど、兄貴とオマエとの共通点って『間違ってる』。ズレてんだよ、何かが」
17:. [2020年8月2日 0:10:56] ID:20269fb9
「……ちょっと嫌がらせしたかった。カード使ってやりたかったのと、コイツの顔で前科作りたかった。ユーレイ捕まえたとは正直最初は思ってなかったけど」

『ホントオレってツイてねー、最悪』。背もたれの音が鳴るまで体重を掛けて、今まできちんとされていた足も宙に浮いてはもう一方の足へ。
面影のひとつさえない姿を見て気が抜ける気分だったが、幽霊という事を知られていた事に気付いて、ぞっと身震いしそうになる。
なんでかって、つまり彼は生きた人間だ。
生きた人間は、死者と話はできないはずなのに。
話せたとて、黄泉戸喫の様になってしまうかもしれないのに、それでも知っていながら相手をした。
ツイてないというよりかは、本人にも問題がありそうだ。

「オマエ、兄貴見てどー思った?」

質問だよ質問、と突然振られたソレに困惑する私を呼び戻す。正直に『弟が好きな金持ち』と答えてやれば、ちょっとウケたのか笑ってくれた。いや、笑われた?この際細かい事はいいや。
促す様に手を振る彼を見て、当初から気になった質問を投げかけてやる。というより、全てはこの為のお膳立てとも言っていい。
16:. [2020年8月2日 0:10:34] ID:20269fb9
「………なんでお兄さんの、フリ、なんて、」
「オイオレの番だろ。オマエはなんかに固執してる、違う?」

強めの言葉で制止されて、荒削りな言葉で問い掛けられる。隠していた様だが、元の彼はこういう性質なのだ。むしろこれのもっと裏まであるのではないか、とさえ考えてしまうのだけど、それ以上考えると帰ってこれなさそうな気がしたのでやめておく。

「……そうだけど、」
「ン。じゃあオレだ、何であのクソゴミカスクズのマネしてたって話よな」

あっさりと終わった。てっきり根掘り葉掘り聞かれるものだと思っていたので肩透かしを喰らった気分だし、ある意味ではちょっと安心した。冷静を保って_まあ、今でさえ保ててるか怪しいけど_すずめの話をするのはちょっと難しいから。
それと同時に、お兄さんの呼び方も気になる。悪口のオンパレードだ。どうやら嫌われているのは本当らしい。フリだったけど、アレは。そこまで完璧なのか、それともそういう含みを持たせた言い方だったのか。
そこまで深読みする必要は、多分ない。
15:. [2020年8月2日 0:09:54] ID:20269fb9
「オレんトコにも住み着いてるワ、ユーレイじゃないけど。居場所も失くして、現在進行形で間違えながら生きながらえてるヤツが、ひとり。
………兄貴も多分、そっち側の人間」

下品な笑い声がこだまする。
多分、今までウソをついていたのだろう。兄貴なんて発言をされては、そんな事は見え透けてしまいすぎる。
最初から最後まで、騙されきっていたのだ。

「………………だれ、」

声を絞り切るので、私は精一杯で。


「変なモンが見える、ちょっと悪運の強いソシャカスでェす(笑)」


ああもう、厄日だ。
14:. [2020年8月2日 0:09:18] ID:20269fb9
ごつ。



「バカだな」



惚けた様な顔を、私はきっとしていただろう。

「ずっと何かを間違えて、ソレに縛られてンだろ、オマエ。大方移動型ジバクレーってトコ?」

悪寒が、背中を駆け巡る。
雰囲気が変わった。先程までの厳粛な姿でも、本当の兄の様な慈愛の姿でもない。
宛らアウトロー、宛らチンピラと言った尖ったその口調には、どこか悟った様な諦めも感じる。
何より彼の顔は、今までと全く違う様な、不敵と呼ぶに相応しい笑みを。
13:. [2020年8月2日 0:08:57] ID:20269fb9
返事を。
したいのに。
声が出ない。

「………ぁ、」

彼は何事かと言った様子でこちらをまじまじ見つめる。
私にも分からない。
分からないけど。
気付いて、しまった。

私は、お兄さんと、同じじゃないの?

お兄さんは、もう弟さんと兄弟になれない。
私は、もうすずめと友達には戻れない。
それって、同じじゃない?
それって、とっても悲しいことじゃない?
それって、
12:. [2020年8月2日 0:08:36] ID:20269fb9
「お兄さんと弟さん、どんな事で喧嘩するの?」
「……………なんでも。オレの事が嫌いなんだ。かなり長い間離れていたから、兄弟とさえ認識してくれない」
「そうなの?」
「……アイツにとっては20年だ。20年も会ってないのに、兄弟だ、なんて、…オレが痴がましいのかもしれないが」

……20年、と言われると、思っている以上に長い。20年もあれば赤ん坊が大人になる。新卒が中年になる。退職した初老が死ぬ。
私の人生が、始まって終わる。
人の人生は20年で変わってしまう。言い換えれば20年で人は変わってしまう。
20年も弟に会えなかったというのなら、つまり、

「(それは、もう)」

他人なのだ。
どんなに同じ血が流れていようが、どんなに同じ癖であろうが、どんなに彼と弟が兄弟だと証明されようが、その弟さんにとって、彼は他人だったのだ。
悲しい事だろう。
20年も会えなかった。20年も「会っていない」と自覚していた。いつか兄弟になれると信じていたのに、なれなかった。その絶望は、苦しみは、私には解らなかった。

「……なあ。君は、誰と会うつもりだったんだ?」

それはまるで兄の様な、柔らかな笑顔。こちらに優しく問い掛ける姿にどうすればいいか、考える。
なんだ、あんた、全然勝ち組じゃないじゃんか。
一言言いたいのを飲み込んで、返事を。
11:. [2020年8月2日 0:08:16] ID:20269fb9
「……弟と、喧嘩してな…」

ほれみろ!
ちょっと、ってかだいぶ笑った。だって、こんな偉そうで金持ちの外国人が深夜彷徨いてる理由が、兄弟喧嘩!もうこれ一生ネタにできるしSNSならまずバズる。絶対。
…まあ私は死んでるから一生なんてないし、SNSもやってないけど。
それはともかく、弟さんもなかなか曲者の様だ。金と権力に押されないのは度胸があるのか、それとも、知らない…事はないだろうけど。

「喧嘩するんだ」
「交代だ。何をしていたんだ」

とか言ってたら返された。腹立つ。多分こういう所が嫌われるんだろうな、と内心思いつつ。
どうせああいう類の話だろうし、やんわりと否定してやれば詮索もされまい。
そもそも私、貞操観念は堅い方だし。

「多分、お兄さんが考えてる様な事じゃないよ」
「それでも、俺に知る権利はあるだろう?」
「……まあ、知り合いを見つけて。追いかけてたら、お兄さんが来ただけ」
「本当に?」

…怪訝そうな顔をするものだから嫌になる。話した所で、私の事なんて分からないだろうけど。『質問は一回まで』と一言返してやれば、犬っころの様に眉を下げた。やっぱりそういう所が嫌われているんだと思う。知らんけど。
10:. [2020年8月2日 0:07:50] ID:20269fb9
「店員さんの気まずそうな顔と来たら」
「まあたかが4ユーロのアイスにアレだからなァ」
「…ユーロって何円?」
「1ユーロ120円程度だ。もっと細かく言うなら4ユーロ20セント前後」

と言う訳で、ダッツ。公園のベンチに座るのも年単位で久しぶりだが、ダッツの美味しさの前にはその感慨もまあ霞む。
いつもなら手が出せない様なコイツもさらっと買ってくれる所を見る限り、かなり金は持っている。それか世間知らず。
ともかく、そんなヤツが何で夜中にうろちょろしているのか。
聞いてみたかったが、それよりもガン無視していたツケが回ってくる方が先だ。

「で、名前は?」
「水瀬廃。ウォーターの水にショールの瀬。…えーと、廃れるで、廃」
「ご丁寧にどうも。しかしオレはイタリア人だからな!英語を使うのは厳密には間違いだ」
「けどお兄さんお金持ちじゃん」

ブラックカードなんぞ平気で持ってる様な人間が、第二言語に英語を選ばない訳がないだろ。ビジネス面において共通言語になる英語を取るのは必須と言えよう。日本語も話せる辺りもっと色々できそうだが、まあ、置いておいて。
確かにそうだな、と笑う彼になんだかズレているような感覚を覚えた。

「…何してたんだ、あんな所で」
「交代。お兄さんは何してたの」

質問は交互じゃないとフェアじゃない。食い気味に一言放ってやれば、話したくないんだがと頭を掻く。何があるのかは知らないけど、こういう人程内容はバカらしいのを私は知っている。今回も、予想通り。
9:. [2020年8月2日 0:06:19] ID:20269fb9
「……じゃあ、家教えてくれよ!そこまで付いてやろう」

で?
発言も宛ら、挙動が明らかに不審者だ。深夜、虚空に話しかけている男なんて通報されない訳がない。とっとと通報されてほしい。いや通報されろ。

「……キミィ、オレの事嫌いかい?」

足を止めて、こちらを覗き込む。少し寂しげな声からして、相当弟にも嫌われているのかもしれない。でなければ、見るからに『弟大好きです』と言う通りにふんぞり返って『お前なんて知らない』と言うだろう。弟に嫌われているからこそ、冷たい反応をされてなおこの柔和な態度を取れるものだと予想した。…多分。きっと。
まあ、無視安定。

「……………今さ、オレ、いいもの持ってるんだ」

いいもの、と言われて興味の惹かれない人間はあまりいないだろう。私も多分に漏れず、彼を振り向く。
手には一枚のカードを、
カード…を………??


ブラックカード。


「何か欲しいもの、あるか?」

釣られてしまうのも仕方ないと思うんだけど。
8:. [2020年8月2日 0:05:27] ID:20269fb9
「…ところで、名前は?」
「………………」

で、出た〜〜。信頼されたいから名前聞き出す奴〜〜。勿論黙りを決め込んでやる。名前を名乗る気もなければ、今日の1時間以外で彼と関わる事はもうないだろうし。
沈黙の中で、靴底がかつかつと音を立てる。

「……流石に言えないか?」
「…………………」
「………オレはシルヴィオって言うんだ。イタリア国籍だが、弟が日本に居るもので」
「……………………」

そんな話聞いてもないのに、ベラベラ喋るのがバカらしい。もう戻ってもすずめは居ないだろうから、コイツのせいで今日の豪運は全ておしゃかだ。もう二度と喋らないでほしい。祖国に帰ってくれないと、思わず呪ってしまいそう。

「……オレの弟はすごいんだ!あんまり懐いてくれないんだが、神父をやっていてな」
「………………」
「そうだ、行ってみるかい?教会に」

最悪な提案に頭を振る。行くわけないじゃん、絶対なんか変なものが移りそう。幽霊とか。
お釈迦様なんて信じたところでって感じ。仏教か他のかは知んないけど、もう知ることもないんだからどうでもいい。
そもそも、お釈迦様がいるなら私はここにいないんじゃないかなあ、とか、そんな事を言ったら怒られそう。
7:. [2020年8月2日 0:04:42] ID:20269fb9
「(……とか、思っていた時期が私にもありました)」


今私は、舗装されたアスファルトの上を歩いている。
何故か。
もげそうになるほどの馬鹿力で、手首をしっかり掴まれているからだ。

どうやら彼は特異体質か、はたまたもう死んでいるのかは置いておいて、私を生者と同等に扱う事ができるらしい。普通に腹が立った。圧倒的にフラグじゃん、アレ。
初めての事例なので、これを事細やかに問い質したい。しかし当人は私のことを「家出少女」もしくは「夜の仕事」だと考えているらしく、先程から家族にも頼れだの待っている人間を困らせるなだの、説教じみた事を呪詛の様に口にしている。何様のつもりなんだ。
ともかく、彼は私を「生きている人間」だと思い込んでいる。
ならばわざわざ私から幽霊でーすと晒す必要もない。そもそもそんな事したら精神病院にブチ込まれるのがオチだろう。今韻踏んでなかった?なんかちょっと気分がいい。
だから、何も言わずに俯いて、月光をてらてらと反射する路面をじっと見つめていた。
最悪、怪談話で語られる通りどこかのタイミングで脅かしてやればいい。齢18で化け物扱いは癪に触るが、まあ、致し方ない事だ。
6:. [2020年8月2日 0:04:18] ID:20269fb9
「家出か?それとも援交?なんであれオレには帰す事しかできないが。ほら、こっち」

バカめ!腕を取ろうとする彼を見て内心ほくそ笑んでいた。
何しろ私は幽霊だ。姿こそ捉えられど私に触れれる事など到底あるまいて!
お人好しもここに極まれりというか、気の毒な感じもしたのだが、それよりもやはり相手が「人間」である事に対しての安堵は大きいものだ。相手の腕が空を切ったところで、さっさと逃げてしまえばいいのだから。
今日こそ、私は全てを成功させる。
5:. [2020年8月2日 0:03:56] ID:20269fb9
言いたい事はいくらでもあるのだけど、そのあまりに異様な存在に喉から声が出ない。
とにかく、彼は私を"視て"、声を掛けて、引き留めたのだ。それだけは確実な事実であり、信じたくないと言うより、信じられない現実であった。
先ほど述べた様に、私は「幽霊」なのだ。人にはまず視えることはない。
だのに、彼ときたら!

「ほら。こっちだ、家まで付いてやるから」

突き落とされる事はあれど、手を差し伸ばされるのは何年ぶりだろうか。
もう怖くなってくる。何が見えているのか分からない。いや、私なのだけど。
後退りをすれば、はてと首を捻る様子が窺える。どうやら警戒されている事に気付いたようで、両手を広げて敵意のない事を伝えようとしている様だ。
違う、私はそっちが怖いんじゃない。お前の存在自体が怖いんだ。
そんな事など露知らず、一生懸命に彼は手を振る。微かに「見えてるだろうか」なんて声も聞こえてくる。確かに、月明かりだけの中で手を振られても普通見えないだろうけど。そこじゃない。
私は相も変わらずそこに立ち竦んでいた。恐怖もある。それと、彼が何者かも分からない以上すずめにも彼にも手は出せない。とんだ邪魔が入ってきたのに正直腹が立つ所もある。そんな反抗の意味も1ミクロンほど込めておいて、そこに足を据えている。
…痺れを切らしたのか、上がっていた腕を落とした。これで諦めてくれれば、と考えたが、相手は相当以上にお人好しの様で、こちらにずんずん近づいてくる。逃げようとも考えたのに、足がそこから動かない。月光に照らされ光る眼光がヤケに鋭くて、まさにカエルを睨むヘビの様。
4:. [2020年8月2日 0:00:06] ID:20269fb9
「そこのお嬢さん、何をしてるんだい?」


そんな考えから、現実に引き戻される冷たい声。
口調は明るいはずなのに、何故だか腹の底から冷えていく。
寒い。死んでからは感じなかった感覚が蘇る様に、息を吹き返す様に、全身が凍りつく様に寒くなる。
振り向けば、そこには、


「Ciao♡こんな夜更けに危ないだろう」


瑠璃を湛えた瞳。
凛としたその姿勢。
厳粛な声。
何もかもが、おかしいぐらいに完全な存在。

彼は、まるで私を○すかの様に。
そこに、立っていた。
3:. [2020年8月1日 23:59:45] ID:3a588965
私の名前は水瀬廃。廃ちゃんだとか呼ばれるけれど、心臓はとっくに音を上げるのをやめている、謂わば死人と言うヤツだ。
死因は井戸に落ちて、じゃない、突き落とされた。私は何も悪くないのに、頭から落ちていく時の絶望感ときたら。
殺したのは皇篶芽。人を殺せそうな_別に殺された訳じゃないけど_アホ毛が特徴的なサイコ野郎で、現在も多数の人間を殺しながら、のうのうと人生を謳歌している。現在進行形で人類の敵で、地雷なのである。
そんな彼を見つけたのは昼頃だった。
勿論顔を認める時はあるのだけど、絶対どこかで見失ってしまう。不毛な鬼ごっこにも正直疲れが出てきて、最近のやることと言えば疲れた顔の人間観察だけだ。
今回もまた彼の凶器もどきを目にしては、今日こそ○すと追いかけ始める。珍しく見失う事はなく、赤い夕焼けに照らされながら木々の隙間を縫って歩く彼を見た時には、正直踊りたくなるぐらいに嬉しかった。
もうすっかり日は沈み、月が煌々と地面を照らす。
今日。
ここで。
私は、お前を○す。
その為だけに私はこの世にいる。勿論彼氏が好きだとかそう言うのもあるけど、それ以上にコイツの存在が私にとって大きすぎる。所謂未練というヤツだ。幽霊だし。
…まあ、幽霊というのも案外気楽なもので、誰にも視られない、怪しまれない。正直、今のままでもいいとさえ思う。
というより、戻れない。
だからごめんなさいも言われなければ、さようならも言える事はない。
それは、なんだか、寂しい事だと思うんだよね。
だから私は、アイツを○す。ごめんなさいを言わせる為に。さようならを言う為に。
だから、私は。
私は?
2:. [2020年8月1日 23:59:14] ID:3a588965
間違いだらけの曖昧マインド


たん。たん。たん。
乾いたコンクリートが軽い音を立ててゆく。
今思えば、この中にいると気づいた時にはもう遅かったのかもしれない。
歩いて、歩いて、歩いて……
あの時からもうどれぐらいの時が経ったのだろう。1年は確実に経ったと思うんだけど。
私はただ、一人を追い求めて。
一人のために。

それを、殺しに来た。
1:. [2020年8月1日 23:58:51] ID:3a588965
・‪@minamguchi__ 宅水瀬廃誕生日記念
・身内ネタ
・自宅が出しゃばる
・長い

小説の削除

削除キー